中年ホームレスの転機
2016年1月25日
28歳の誕生日、俺はすべてを失った
同棲していた彼女に金も仕事も家具もすべてを奪われ
親友、親、元嫁すべての人間に見放された。
「もう死にたい」
誰もいない公園のベンチでそうつぶやいた
28年の人生で初めて死にたいと思った
今までそれなりに苦労してきたつもりだった
小学校三年生の時、父の暴力とギャンブル癖がきっかけで
母は夜逃げ同然で父から逃げた
俺は母が大好きで父は大嫌いだった
小学三年生の俺は何も考えず母について行った
母はほとんどお金を持たずに夜逃げしたため、部屋を借りることができず
親戚の家にやっかいになることになった
それからは最悪の日々だった
親戚の兄ちゃんに毎日のように殴られた、母は金を稼ぐためほとんど家に帰ってこなかった。
親戚の家に一人ぼっち、おかげで一人遊びがうまくなった
朝から晩まで、母は帰ってこなかった
殴られていることを誰にも言えなかった。
母と会話する時間もほとんどなく会話する時間があったとしても言えなかっただろう
俺はほとんど放置プレーで、毎日のように親戚の兄ちゃんに殴られた。
そんな日々は俺が小学校6年生になるまで続いた
母は朝から晩まで、いや朝帰りすることも少なくなかった
小学校もあと少しで卒業という頃、やっと親戚の家を出ることができた
母が再婚したのだ
当時の俺は思った。
俺が殴られているときにかーちゃんは男とヨロシクやってたわけだ
おかげで11歳で精神科に通院することになった
当時は殺してやりたいと思うほどだった
もちろん俺がでかくなるまで育ててくれたのだ
今では感謝はすれど恨みはない
まぁそんな過去があったが死にたいと思ったことは一度もない。
だが今は心の底から思う
「死にたい」と
俺の人生はこのまま終わる。
まだ携帯の料金が払えていたころに見ていた、なろうの小説のように、異世界に転生!!
なんて奇跡は現実には起こらない
家も金もなく、路上でのたれ死ぬ
これが現実なのだ。
俺が死んでも誰も気にしない
自殺する勇気はないが・・・
早く死にたい・・・
そう思った瞬間、体の力がスッと抜けて強烈な眠気が襲ってきた
ついにその時が来たのだ
「死」
少しほっとした、やっと死ねる
死んだらいいところに行けるかな?
無理だろうな・・・
でも今よりは幾分か楽になれるだろう・・・
怖いな・・・
そんなことを思いつつスッと目を閉じる・・・
トントン
ん?なんだ?
ユサユサ
「こんなところで寝たら死んじゃいますよ?」
目を開けると、黒のスーツにトレンチコート姿の男が
俺の体を揺すっていた
なんだよ・・・やっと死ねると思ったのに・・・
ほっといてくれよ・・・
周りに人影はない、こんな俺に興味を示すとは物好きなやつだな・・・
「あなたホームレスですよね?」
なんだこいつ?ホームレスにホームレスですよね?って聞くやつがいるかよ
「あ?なんだ?ほっといてくれよ・・・」
「否定しないとゆうことはYESととっていいですね?」
「うざいよお前・・・寝かせてくれ」
「死にますよ?雪降るみたいですし」
男はニコニコしている・・・なんなんだこいつ・・・
よく見ると顔は童顔でジャニーズ系のさわやかな顏してるのに
なにかドス黒いオーラみたいなものを感じる・・・
「俺は死にたいんだよ!邪魔すんじゃねぇよ!」
「ふーん死にたいんだ・・・」
男はそう言って俺の目をじっと見つめてくる・・・
なんだこいつ・・・?
はっ!まっまさかこいつそっちのけが・・・
「んー今こいつそっちのけが・・・って思いましたよね?」
!!!こいつ心が読めるのか!?いや・・・声に出てたか?
「こいつ心が読めるのか!?って思いましたよね?」
!!!やっやっぱり心が読めるのか!?
「な、なんだよ気持ちわりぃな・・・」
「気持ち悪いって・・・まぁ半分当たりで半分はずれですね・・・
読唇術は使えますけど、あなたの場合は使う必要ないです」
「どういう意味だ??」
「おもいっきり顔に出てますから・・・」
確かに元嫁にも嘘はすぐにばれた・・・嘘はつくがすぐにばれるタイプだ俺は
「なんでもいいけどマジでほっといてくんない?」
「なんで死にたいんですか?」
こいつ遠慮ってものを知らないのか・・・?
「あーうぜぇ!そんなのお前に関係ないだろ!!」
「たしかに関係ないですね、じゃぁ質問を変えます」
男はそう言うといきなり俺の顔の前にばっっっと手をかざしてこう言った
「5000万ほしくないですか?」
その男の質問に思わず俺は思ってしまった
「今ほしいと思いましたよね?」
最後まで読んでいただきありがとうございます。