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魔法学校の次元使い  作者: Tsuki
入学編
8/13

入試1 筆記試験

 「ここが魔法学校か・・・・・・・さむっ」


 冷たい風に身を縮こませる。

 少し長くなった黒髪が風に吹かれふわりと舞った。


 「髪、そろそろ切るか・・・・・・」


 俺は今、国立ブレンシア魔法学校の前に立っていた。

 

 あれから願書を提出し、遂に入試の日がやってきたのだ。


 ここであの時のアドルフとの会話を思い出す。


 『そして最後の三つ目だ。友達を作れ、人脈を作れ。お前は軍の人間以外に知り合いすらいないからな、一人では出来ないことが世の中に必ず存在する。だからこの機会に色んな人と出会い、知り合い、話すのだ。そうやって困った時助け合える仲間を作れ』

 『分かりました』

 『そういえば、入試一日目は筆記試験だったな?」

 『はい、そうですが』

 『なら、エスト、お前に任務を与える。その入試当日、他の受験者と話す機会があることだろう。そこでだ。筆記試験の全てが終了し軍に帰還するまでに一人で良い、友達を作れ』

 『はい、頑張ります』

 『うむ、それと入試期間中のオルフォードとの接触は避けろ、入学してしまえば、どうとでもなるが、試験中に騒ぎになれば試験の合否に関わる』

 『了解です』

 『それと私から一つアドバイスを教えよう。それは――』


 ふと、学校の時計を見ると、筆記試験の時間が迫ってきたので、俺は試験会場へと足を向かわせた。


 廊下を歩いていると沢山の人とすれ違った。

 すれ違う人皆こっちを見てくるけど、何か注目されるされるような事をしたのだろうか。

 耳を澄ませてみる。


 「うわー今の子可愛くない?」

 「確かに、黒髪って珍しいよね」

 「何で男性用の服なんか着てるんだろう?」

 「バカ、そんなの考えれば分かるだろう、ボクっ娘なんだよ」

 『それだ!』


 ・・・・・・聞かなかった事にしよう。 

 同じ受験者の中にエミリアがいるかも知れないんだ。

 目立つのは、あまり良くない。

 少し早歩きになりながら、自分の番号の教室を探した。


  しっかり確認してから教室に入り、自分の番号が書かれているところに座る。周りはそれぞれに筆記試験に向けて勉強してしている人や筆記用具の確認をしてる人、他の人と話している人がいる。


  魔道具が作った今時の子持っていそうなバッグから筆記用具と受験票を取り出し、机に置く。

 余分に持ってきた鉛筆と消しゴムを確認していると、右隣からあわわわ、といかにも慌てていそうな声が聞こえたので横目でそちらを見てみた。



 そこには、豊かな森林を感じさせるような深い緑色の髪を肩までたらし、涙目で歪んでいるが少したれ目気味でこちらも同じく緑色の眼、そして清楚な服を押し上げる二つの大きな胸の膨らみ。


 そんな美少女が目の前にいた。

 彼女はさっきからずっとバックの中をあさっていた。

 彼女の机には受験票以外置かれていなかった。


 「無いよ~、昨日ちゃんと入れたのに~」


 と、言っている。

 この状況から察するに彼女は筆記用具を忘れてしまった、もしくはどこかで無くしてしまったようだ。


 こんなとき先ほどアドルフの言葉の続きを思い出した。


 『それは、いきなり自然に話すは会話の達人でもないと不可能だ。だが、困っている人を助ける。ここから会話を広げるのはそう難しくない。実践してみると良い』


 「困っている人を助けるか・・・・・・困っているよな?」

 

 うん、絶対困っている。だって泣いてるし。

 ということで鉛筆二本(一本はもしもの時)と消しゴムを持ってとにかく優しく話し掛けた。


 「ねえ君、筆記用具忘れたのかな? 良かったら俺の予備あるんだけど、使う?」

 「・・・・・・へ?」

 「あの、筆記用具忘れたんだよね?さっきからずっとバックの中探してたし」

 「え、え? あ、そうなんです!忘れて来ちゃったみたいで・・・・・・」

 「俺まだ予備あるし使っていいよ」

 「い、良いんですか!? あ、ありがとうございます!」


 彼女は俺から鉛筆と消しゴムを受け取った。


 「本当にありがとうございます! あの、私、リーサ=フェルグランドと言います。・・・り、リーサと呼んで下さい」

 「ああ、俺はエスト=レイモンドだ。エストで良い」

 「よろしくお願いします!エストさん!」

 「よろしく、リーサ・・・・・・ん?」

 「どうかしましたか?」


 フェルグランド? ってまさか!


 「リーサ、一つ聞いていいか?」

 「はい?」

 「フェルグランドってあのフェルグランド家の?」

 「あ! はい、私、名家って呼ばれているフェルグランド家の長女です」

 

 俺は思わず顔をしかめそうになった。

 よりによって話し掛けた相手が名家の人間だと・・・・・・まずい。

 とりあえず俺のことについて知っているか聞いてみる。

 もし、知っていたら・・・・・・。


 「あの、変なこと聞くようだけど、俺のエストっていう名前をどこかで聞いたことある?」

 「え・・・・・・いや、ありませんね。私、名前を覚えるの得意なんですけれど、エスト、という名前はあなたの自己紹介で初めて聞きました」

 「・・・・・・そうか、ありがとう」


 よし、良い情報を手に入れた。俺のことはそこまで知られていないようだ。

 他の名家はまだ確証がないがオルフォードの情報隠蔽も大したものである。


 「いえいえ、け、けれど、どうしてそんな――」


 「これより、座学と魔法学の筆記試験を開始します。まずは座学から、受験者の方は席に着いて下さい」


 教員らしき人物が教室の扉を開けて入ってきた。


 「ごめん、話は後で。試験がんばろうね」

 「え、は、はい! 頑張りましょう」


 ほどなくして前の人から答案用紙、問題用紙の順で回される。

 一枚ずつ取り、後ろに回す。


 「では、名前、受験番号を書いたら筆記用具を置いて下さい。私の時計で計ります。・・・・・・それでは、始め!」


 問題用紙をめくる音が重なり、響いた。


 国立ブレンシア魔法学校入学試験一日目、座学と魔法学の筆記試験が始まった。

評価して下さった方、ありがとうございます。

総合評価が100ポイントを超えました。

ブックマーク登録が50件を超えました。

皆様のおかげです、本当にありがとうございます。


本編ではやっとヒロインの一人が登場しました。

ここまで長かった・・・・・・。


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