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ある日、空から剣が降ってきた。  作者: まいなす
第一章 “白き山裾城”決戦
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70話 オールマイティートッテモツヨイソルジャー

 

 樹精エントとやらの枝で作った巨大な弓が軋む。

 結構、力がいるんだよなあ。

 ミシミシという自分の筋肉の音が耳をくすぐる。


 点々だった十五匹の獲物が豆粒大になっていた。

 お馴染み、でっかい狼に跨った槍兵である。

 彼らといっていいのか微妙だけど便宜的に彼らということにして話を進めると、彼らは鏃のようにVの字の隊列を組んで全速力で駆けていた。


 ちょっと前までは匂いを嗅いだりして立ち止まったりしていたようであるが、今はもう、彼らにとっての獲物を捕らえたのか、まっすぐこっちに向かってくる。


 そして、射程に入った。

 手始めに先頭にいるやつでいっか。

 

 傷口が開かないように注意しながら引き絞りきった弦を離す。


 ばしゅ。


 そんな音を立てて、矢が放たれた。

 風を切って斜め上方向に飛んでいった矢は、綺麗な放物線を描いて見事五百メートル先の獲物の脳天をぶち抜いた。


 断末魔を挙げることなく、Vの字隊列の先頭を走っていたウォーウルフは慣性の法則に従ってしばしの間地面を転がったかと思うと、黒い靄になって消える。


 それを見て他のウォーウルフたちが警戒の咆哮を上げた時には、すでに五本目の矢を手に取って弦にあてがっていた。


 ウォーウルフたちがジグザグに動き始める前に、四本目の矢が標的の口に入って後頭部へ抜けていく。

 あと十一か。


 思ったんだけど、魔族ってある程度、知能はあるみたいなんだよなあ。

 法則性のないジグザグ走行する彼らに感心しつつ、矢の放ち方を変える。


 だんだん距離も近づいてきたし、山なりではなく、直線的に彼らを狙う。


 続けざまに五射、いや六射。


 すべての凶矢がヒュンヒュン叫びながら、それぞれの獲物の脳髄を弾けさせる。

 残りは五。


 距離を詰められていたので弓を捨てて脇の地面に差していたクレイモアの柄を掴みとった。


 ウォーウルフたちは闘いを愉しむように狂った雄叫びをあげて槍を構える。


 五対一か。


 こんな状況、ついこの前にもあったけど、今度は後ろには誰もいない。

 やっぱ気楽でいいな。


 ゆっくりとクレイモアを下段に構え、その次の刹那。

 瞬間的な脚力で前に踏み出しながら身体を一回転させる。


 そうして付加した莫大な遠心力の力を殺さず、少し跳んでから重力も加算。

 乗算された威力を纏わせたクレイモアを上から下へ振り下ろした。


 本気で。

 すべての筋肉を使って。


 どん――ッ。

 クレイモアが触れた瞬間、そんな豪快な破壊音を立てて大地が爆ぜる。


 収束していたエネルギーが一気に指向性をもって膨張拡散する。

 それはまるで隕石が落ちてきたかの如く。

 衝撃波が大気を大きく震わせ、地鳴りが草原を支配した。


 こうして、前方にめくれあがった地表が音速を超えた榴弾となって。

 飛びかかってきていた五匹のウォーウルフたちを枯葉のように吹き飛ばし、引きちぎって、文字通り跡形もなく消し飛ばしたのだった。

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