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ある日、空から剣が降ってきた。  作者: まいなす
第一章 “白き山裾城”決戦
52/198

51話 ヒトは技名をどうして叫ぶのか


 どうしたもんかなあ。

 そんなことを思いながら僕も動くのを止める。

 そしてふて腐れてる剣を自然体で構えた。


 ここで、風が凪ぐ。

 嫌な予感が脳の片隅でよぎる。


 彼女はゆっくり大剣を振りかぶる。

 隙だらけだったけど、面白そうなので見逃して眺めつづけることにする。

 するとその大剣に風が集まるように吹き荒れた。

 掃除機みたいに風が吸い込まれていく。

 しばらくして大剣の周りには可視できるほどの風が纏わっていた。


 あれ、ちょっと不味いかもね。

 僕は腰を落とし、足を肩幅大に広げ、剣を抜身で抜刀の構えをとる。

 この世界に来て、初めてマトモに構えさせられたなあ。

 

「【北風の一撃】……ッ!」


 何やら恥ずかしい技名らしき台詞をヒルデが叫ぶ。

 それと同時に振り下ろされた大剣から風が放たれた。


 荒々しく吹きすさぶそれは、すべてのものを抉りながら僕の方へとやってくる。


 訂正。

 戦闘力50なんて言って悪かったよ。

 ヒルデの戦闘力は間違いなく500くらいはある。


 抜刀の風圧で彼女の魔法攻撃とやらを相殺した僕は肩をすくめて、あっちで未だに正規兵たちに囲まれて半裸してるユーリへと目を見やった。


 戦闘の行方をじっと見守っていた彼女はニコリと笑って唇を動かす。


『ね? 強いでしょ?』


 まあね。

 僕は踵を返すと、森の方へ走る。


 全速力だから並みの相手じゃ追ってこれないはずだ。


『あれぇ~? マスターってば逃げちゃうんですかぁ~? 敵前とーぼーだぁ~っ!』


「む、あとで煮込むぞ」


『…………ごきゅり』


 こんな平地じゃ二次元的にしか動けないし、こっちが不利すぎる。

 だから、探索済みである僕に地の利のある森の中ならまだ何とかできそうかなって思ったしだいである。

 だいたい僕の剣技は一撃で相手をぶち殺すことにのみ特化させてるんだ。

 殺さない、っていうのはちょっとやりにくいぞ。

 こんなことなら師匠の言うこと聞いて真面目に『殺さずに再起不能にできる』技を伝授してもらうべきだったなあ。


 言い訳は終わり。

 まあ、何事も経験だよね


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