32話 愉快なゲぇム
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んで、アンミの母親の墓が荒らされていた。
彼女の墓は掘り返され、土に帰ろうとしていた遺骸が地面の上に転がっている。
『うげぇ~』
剣が声を上げる。
遺骸の衣服ははぎとられ、まあ、何というか悪趣味だ。
彼女は股を広げた状態で、馬鹿げたことにそういう行為を行った跡が見て取れる。
アンミの手から花が地面に落ちる。
彼女は眼球が飛び出そうなくらい、目を見開いていた。
見回すとアンミの母親の墓だけではなかった。
僕が埋めた死体もぱっと見た感じで数十体以上が地面の上に転がっている。
男の遺骸は装飾品や装備が無くなっており、女の遺骸はアンミの母親と似たような惨状だった。
腐りかけてる、というかほとんど腐ってデロデロなのによくやるよなあ。
ため息をつく。
と、ここで視界に入れないようにしていたのだけど、とうとう端っこのほうにとらえてしまった。
あっちの方で傭兵たちが百数人くらいの大所帯で集まって何かをやっているのが見えるのだ。
そっちへゆっくり歩いていく。
アンミはついてこない。
彼女は母親を前にして、力が抜けたように座り込んでいる。
途中で傭兵を見張ってたらしい正規兵の格好をした人間が縄でぐるぐる巻きにされてボコられていた。
その縄を解いてあげると、正規兵はよろよろと立ち上がって砦の方へ歩き始める。
しばらく、円形に溜まっている傭兵たちの外円部にたどりつく。
「何をしているんですか?」
近くの傭兵に聞いてみた。
大きな斧を背負って頭をハゲちらかしている傭兵さんである。
「なんだぁ? お前、今まで寝てたのかあ?」
どうやら僕のことを同業だと勘違いしているようだ。
まあ、見た目は僕も彼らと似たようなもんだしね。
『むしろ彼らよりマスターの方が怖いですよぉ~? その顔の火傷跡がなかったらちょっと目つきの悪い青年って感じですけどぉ~、それがあるからシチリアあたりにいるマフィアのこわぁ~い若頭って顔になってますからねぇ~』
お前、こっち産なくせちょいちょい僕の世界のことを挟んでくるよな。
深くは突っ込まないけど。
僕はハゲ散らかしてる傭兵さんの勘違いを有効に使うことにする。
「ええ、まあ。それで何をしているんですか?」
それで彼の話を聞いてみると、傭兵たちは一晩中とある愉快なゲームをしていたらしい。




