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ある日、空から剣が降ってきた。  作者: まいなす
第一章 “白き山裾城”決戦
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190話



「そふひふぅー?」


「ええ、そう。まあ、愛人みたいなものよ」


「いは、ひっへるへどは」


 っていうか、鶏肉うめえwww。


 終戦後、三日目の夜。

 一通り身体を修復できた僕は砦の最上層にある城の一室にお邪魔していた。

 こっそりユーリに会うためにである。


 それで、『やあ、おひさー』と彼女が一人になったところでひょっこり出てきたんだけれど、まるで僕が来るのを待ってたかのように小さく笑ったユーリは、僕が眠っている間に取り決められたことを淡々と報告したのだ。

 んで、たった今、彼女がケテルの王様の愛人にスカウトされていることを僕は知ったのだった。


「それできみはどうしようとしてるわけ?」


 鶏肉、ちょううめえwww。


「私はそれを、受けようと思ってるの」


 大量の肉を食っていた僕は少し咳き込んだ。

 脇に置いてあった木製ジョッキに入っていたお酒を流し込む。

 いや、まあ、予想ついてたけど、それが逆に期待外れっていうか。


 まあ、いっか。


「ふうん。いいんじゃない? 今じゃ、もうすぐ滅びる国のお姫さまが、一気に大国の側室だなんて玉の輿もいいとこじゃないか。っていうか、そもそも向こうは援軍の見返りを求めてきてるんでしょ。その上で、こっちの国の人間の生活の保障とかしてくれるんだったら、釣りがくる申し出なんじゃない? 上手くして世継ぎとかジャンジャン産めれば国を乗っ取れちゃうしね」


「……………………」


 どういうわけか無言のジト目で睨んでくるユーリなのである。


「なに」


 鶏肉を骨ごと呑み込んでから聞く。

 対面に座っていた彼女はゆっくりとティーカップに入ったお茶を一口飲んで、唇を湿らせた。

 それからティーカップをテーブルに置くと、ぷいとそっぽを向くのである。


「いや、なに。黒字になってるよね?」


「ええ、そうね。そうなんだけれど。むう」


 今度は頬を膨らませるユーリなのである。

 だから、なに。


 首を傾げつつ燃料の補給に勤しんでいるとしばらくしてユーリは小さなため息を吐いた。


「ところで、イズィはこれからどうするつもりなのかしら?」


「僕? まあ、東に行こうと思って」


「東へ? どうして?」


「閉じる道もあるなら、開かれる道もあるというわけさ。ドワーフの坑道はもうじき氷で閉ざされるんだろう? これでケテル帝国は春まで安泰だ。でも、東の死海は凍って渡れるようになるそうじゃないか」


「つまり次に魔族が攻めるのは、死海の対岸にある雪の国、ギルアドルエというわけね。……また戦うの?」


「まあね。その必要があって勝てる見込みがあったら。それに、傭兵ギルドの本部もあるんだろう? だったら、そこそこ強さのある仲間も今のうちに集めとかないと。きみを護るにはあの盾だけじゃあ、ちょっと不安だし」


「あら、ヒルデはちゃんとしてくれてるわよ?」


「だったら僕はここにいないでしょ。がっつり侵入しちゃってるし」


「もう、イズィだって知ってるでしょう? 私が無理やり言ったのよ。じゃないとあなたが出てきそうになかったし。それにお風呂くらい、女の子なんだから入らせてあげてもいいとは思わない?」


「完全に気配を殺してたのにどうしてきみが気づけたんだって疑問はこの際おいといて。なにこの砦、風呂なんてあったの?」


「入っていく? 今ならもれなく、良いものが拝めるわよ?」


 悪戯っぽく笑ったユーリを半眼で見る。


「いや、いいよ。興味ないし」


 再び小さくため息を吐いたユーリはやれやれと首を横に振った。


「……まあ、いいわ。雪の国なら、色々準備しなきゃいけないわねえ。じゃあ、防寒装備と保存食料は三人分用意しておくからもう少し待ってちょうだい」


「ああ、ありが……」


 んん?   

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