127話
ヒルデに『何でもない』と返す。
それから僕は痛くなる脳みそを抱えて剣に問い詰める。
なんですでにそんなヘロヘロなわけ?
『えっとですねぇ~。さっき【ティタノマキア】の出力を上げちゃいましたよねぇ~? それでそのぉ~、頑張ったぶん私のスタミナがガクガクッと減っちゃったっていいうかぁ~。燃費の問題というかぁ~、その。えっと、マスターぁ。怒ってますぅ~?』
怒ってないよ。
ぜんぜん怒ってない。
過ぎさりしことをいちいち気にするタイプじゃないし。
『やったぁ~っ! ひゃっふう~ぃ! マスターのそのさばさばした性格ステキぃ~!』
ところでお前、なんで事後報告なわけ?
返答次第じゃ地獄見せるぞ。
『あれやっぱり怒ってるっ!? マスターめっちゃ怒ってますねぇ~! だって仕方がないじゃないですかぁ~! あの時は時間もなさそうでしたしぃ~っ! マスターが私を急かすからぁ~!』
ノリノリでレッツゴーとか叫んでたやつが何を言うか。
そう思ったけれど、追求するのは止めにした。
僕は首を横に振る。
剣に責任を求めても時間の無駄なのだ。
なんせゴミだけど見てくれは兵器なんだもの。
だから責任は全て僕にあると言える。
そして自分を責めても仕方がない。
だから、これからのことを考えよう。
残存兵力は落馬してる者も含めて騎馬兵六百ちょっと。
そして瀕死の状態の者も含めて重装歩兵が二百人ちょっとくらい。
ベヒモスの数を減らしたおかげで両端の方にいた重装歩兵がわりと生き残っていたらしい。
それは良いことなんだけどなあ。
これからどうするか。
それが問題だ。
まず陣形を立て直すのは必須。
そのためには時間を稼がなきゃならない。
魔族第二陣の行軍スピードは徐々に速くなっていく。
すでに砦の投石機の射程に入って、その攻撃を受けていた。
しかし彼らは、例え隣にいたものが巨石で弾け潰されたって怯んだりはしない。
ただただ、愉しそうだった。
あの中に突っ込んでいったらどんなに痛快だろう。
僕の口角が勝手に吊り上がるのを感じた。
†。oO(『じつは寝ぼけて出力を上げすぎちゃってオーバーヒートしちゃったなんて、……言えない』)




