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ある日、空から剣が降ってきた。  作者: まいなす
第一章 “白き山裾城”決戦
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104話 軍議と兵力内訳とどや顔騎馬兵



 “白き山裾城”最上層。

 そこにある城の広間。

 午後のおやつ時に簡易の机と椅子が並べられるが、お茶会を開こうというのではない。

 そこには城に常駐していた守備隊の各役職、さらに集結した騎士たちが腰を下ろした。

 軍議である。


 まず、それは戦力把握から行われた。


「ビュイック・アーヴィン。弓兵、七十ばかり。重装歩兵、五十ほど」


「コベット・フィース。重装歩兵、一。つまりこのワシよぉ!」


「ケイスリー・ヘルヴァンヘイフォード。弓兵、二十。重装兵、二十。そして騎馬八百!」


 おおー。

 ざわめきとともに斑な拍手が起こる。

 そんなケッタイな感じで戦力把握は進められていく。

 すると集まった兵力内訳の全容が浮かび上がってきた。


「弓兵、八百。重装歩兵、九百。騎馬、千二百。技工兵、五十。総兵力およそ三千か……」


 ヒルデは難しい顔をして言った。


「足りないのはわかってはいたが。しかしもう少し、弓兵が欲しいところだ。民草から、募るか。いざとなれば、籠城には意味のない騎馬兵に弓を持たせることも考えなければ」


 確か、ケイスリーなんたらといったか。

 騎馬兵を八百連れてきてドヤ顔で拍手を受けていた若い騎士が落胆したように肩を落とした。

 可哀そう。


「なんだ、きさま。何か言いたそうだな」


 ユーリの後ろで小さく手を挙げてアピールしていた僕にヒルデの視線が突き刺さる。

 それにともなって軍議の場にいた全員の視線が僕に集まった。


「それよりも武器や防具は足りているのか? 特に矢は腐るほどあればあるほどいいと思うんだけど。あと食料と水は捨てがたいなあ。腹が減ってはなんとやら、っていう格言が僕の国にはあるんだ。そこんとこどうなってる?」


 僕の問いに、この要塞の備蓄庫係だという守備隊の騎士が小さく手を挙げる。


「その件なんですけど、……五日前までケテル帝国へ脱出することが可能だったわけですが、そのう」


「なんだ。はっきり言えッ!」


 ヒルデの叱責に肩を震わせた備蓄庫係。


「国を脱出する人間にケテルで少しでも生活の足しになるかと思って食料や水、お金になりそうな武器や防具類はほとんど配ってしまいましたすみませんッ!」


「はあああああああああああああああッ!? あ、いや、まあ、……くそッ。責められんな」


 ここにいるすべての人間の心を代弁したヒルデの声に、ユーリは微笑んだ。

 ユーリに見つめられて、備蓄庫係はもじもじし始める。

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