その、先。
それは思いのほか静かだった。
誰もここまで静かだとは思いもいなかったのだ。
だから、油断していた。
紙をびりびりとちぎるように
その切れ端がはらはらと落ちていくように
そんなものだったのだ。
君はそれでも僕に笑いかけたね。
やっぱりねって言いたそうだった。
誰も誰に対しても責めることができなかった。
誰もが被害者であり、だれもが加害者であったからだ。
逃げるところはどこにもなかったから、
誰も逃げようとはしなかった。
みんな黙ってた。
そのことが他のどんなことよりも怖かった。
僕は君の元に向かったけど、僕はどうすればいいのか分らなかった。
君の顔を見たら泣きそうだったし、声を出す勇気もなかった。
そしたら君は
僕の頭をわさわさとなでた。
驚いて見上げると君はなんだか悲しそうだった。
みんな知ってたんだ。
そんな日が来ることを、みんな知ってた。
教えてくれなかっただけだった。
それにいらだちを覚えるけど、もし自分が大人だったら、
きっと僕もそうするだろう。
暗闇は広くなって僕たちは闇に溺れた。
誰かが僕の手を握った。僕の知ってる手だった。
消えていった。
真っ白になった。
全てが無になった。
「破壊」をテーマに小説書きたいなっておもって書いたら、こんなことになりました。
ただそれだけの話だということをよろしくお願いします。