ありがとう
……その後の事は、覚えていない。
私は眠っていたのだろうか、また夢を見た。
いつものように、姉さんがどこかへ行ってしまう夢ではなかった。
立ちすくむ私に、姉さんが厳しい表情を見せている夢だった。
どうして私は怒られているのだろう。
悪いことをしてしまったから? 私は何をしたんだろう。
私がとんでもないことをしてしまったと気づいたのは、この時だった。
――ほら、何か言うことは?
姉さんが言った言葉に、小さな私は、何度も何度も、泣きじゃくりながら呟いた。
その言葉を聞いて、姉さんは満足そうに、先程の厳しい表情が嘘のように優しい表情を見せて、私の頭を撫でた。
目を覚ますと、誰かの声が聞こえていた。
ぼーっとした頭を覚ますように、目を何度か擦る。その時に見えたのは、部屋を後にする、数人の男女。
少しだけ視線を右へとずらすと、彼がいた。
また夢かと思った。でも、その姿は、間違いなくそこにあって。
私は泣きじゃくりながら、彼に飛びついた。彼は一瞬痛みに顔をしかめながら、それでも私を小さく抱きしめてくれた。その彼の胸に顔を埋めて、何度も何度も呟いた。
――ごめんなさい。
もう少しで大切なものを失ってしまうところだった。
――ごめんなさい。
もう失ってしまって帰っては来ないものに固執して。
――ごめんなさい。
いつの間にか、私は彼を好きになってしまっていた。
――あ り が と う。
こんな私に、優しく接してくれて。
何度も何度も呟いたその言葉に、彼は抱きしめた手を離して、私の頭を撫でた。姉さんと同じ――暖かい笑顔で。
――よく言えました。
これで完結です。なんだか投稿してて悲しくなってきました。自分の作品の残念さに。
というわけで、次からは本気で書いて投稿しますので、是非見ていただけると幸いです。




