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河童と一緒に魔王倒し隊〜友情編〜  作者: 大石次郎


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4話 熱くて冷たい竜の舌

ドンカセに戻った一行はそれなりの価値のセイレーンの迷宮の戦利品を売り払い、あるいは加工用素材として装備品に仕立て、改めて戦力の補強を図った。


ヒカルは鉄の剣に合わせ、鉄製の兜と鎖帷子と盾を購入。モモミチは神聖属性のクレリックシールドと守備力を上げるディフェンドメイスを購入。


ノブミは普通の魔法使いの帽子やローブよりも高性能ではある、野菜のズッキーニをモチーフとしたシリーズの帽子とローブとブーツを購入。ミリンミリンは水属性と守備力を上げる苔亀(こけがめ)の腕輪と水属性のドルフィンブーメランを購入した。


「迷宮で拾った水系素材で炎耐性のアクセサリーは作れたのはよかった」


ヒカル達は、炎耐性アクセサリーさざ波の護り、を造っていた。


「水晶竜は住処には氷と炎の属性の魔物が多いらしいからね」


「水晶竜自体そのようですが。というか、少々遠いですね。残った手持ちチャリンで馬まで借りるのはちょっと厳しいかも、です···」


「また小遣い稼ぎクエストするかぁ? ここで氷耐性アクセサリーの代金も稼いどくんだぞ」


ヒカル達はドンカセでもう一働きすることを決めた。


_____



水回りの仕事ぶりに評価を得ていたミリンミリンには、町で湧き水がない地区の井戸へ引かれている地下水道の掃除。


町の各所の汲み取りトイレの浄化作業。


近くの水源の増水時の水の動きの正確な把握し対応指南等をこなし、見事目標額を稼ぐことを成功し、さらに町長に表彰され、町民から胴上げもされた。


「「「わっしょい! わっしょい! ミリンミリン様わっしょい!!」」」


「クワックワックワーッ! 容易いことぉっ。水回りの勇者ミリンミリン! この町の伝説として後の世まで伝えるんだぞ?」


「「「···」」」


特に戦うでもなく、主に泥まみれで作業補助に専念していた他の3人は何とも言えない顔で騒ぎを遠巻きにするのだった。


_____



一行は稼いだチャリンで氷耐性アクセサリー灯火の護り、を購入し、馬借で魔除け提げた馬を借りると、ドンカセから東にかなり進んだ先にある、水晶竜の住処に最も近い郷ドーサまで迅速に移動を済ませた。


「あっ、硫黄のニオイ結構あるね。ヒカルは温泉好きなの?」


「隠れ里の近くに温泉はあった。数少ない娯楽、かなぁ?」


「へー」


ドーサは温泉郷である。世界が平穏な頃はそれなりに賑わっていたが、今はすっかり寂れていた。


「馬はここまでですし、今夜は温泉宿でしっかり英気を養って明日の攻略に備えましょう」


「オイラ、熱い湯苦手〜」


「ぬるいとこもあるんじゃないか?」


「忍者の湯、とかあるかな?」


忍者の集まる湯はなかったが、一行は蒸し風呂客用の冷泉のある宿を探し利用することにした。


_____


男湯にて。


「クワーッ! クワックワッ!!」


「ミリンミリン、はしゃぎ過ぎだ」


蒸し風呂の側の冷泉で泳ぎ回るミリンミリンをたしなめるヒカル。


「オイラ達以外は蒸し風呂にたぶん地元の爺さん2人だけだったぞ?」


「お爺さん達が何事と思うだろ? あー、それにしても、温泉入ってると故郷を思い出すなぁ」


「ヒカルんとこは何代も山奥で修行ばっかししてたんだろぉ? なんか根暗〜」 


「根暗ってっ。まぁ人里に降りるの自体久し振りだったし、遠くを旅するのは初めてだよ」


「存分に楽しみたまえ」


「上から来たな」


「クワックワッ!」


気楽そうなヒカルとミリンミリンであった。


一方女湯では。


「あれ? ノブミ、意外と着痩せする方?」


「わたくしの胸部のサイズ感についてはコメントを控えます···」


センシティブな話題にヒヤヒヤするノブミなのであった。


_____



水晶竜の住処は水晶山脈の深部にある。山脈は魔法の石材の原石が露出する魔力の強い土地ではあったが迷宮ではない為、ドーサ郷で念入りにルートを確認しておいたヒカル達は迷わず直進できた。


が、安全というワケではない。


「ケェームッ!」


火を吹く芋虫型モンスターのブレスケムシーノ。


「ヒーホ!!」


顔のある大きな毛玉から猿の手足と尾が生えたような吹雪を吐くモンスターのビッグフット。


「ケェーーンッッ」


火と炎のブレスを吐く怪鳥モンスターのクリスタルコンドル。


「シュルル···」


いかにも火や氷のブレスを吐きそうだが、意外と石片のブレスを吐いてくる鉱石まみれの大トカゲモンスターのグラスリザード。


「···」


特に喋らないが非常に硬い、浮遊石モンスターのレビテーションロック。


等々が次々襲ってくる。


ヒカル達は、


「固い系は俺がやるよ」


「氷タイプはオイラはパス!」


「では氷タイプはわたくしが」


「じゃ、私は補助魔法掛けとくか。あの石のヤツは動き遅いし割れそうだけどっ」


役割分担を利かせ次々と撃破していった。


水晶山脈にはトラップの類いもなかったが、地形に擬態するモンスターはしばしばいた。これは、


「そこーっ!」


「あーいっ!」


「クワーッ!」


ミリンミリンが皿探知からの水攻撃で逆に奇襲して撃退。落石等や崩落の危険等もいち早く自動的に探知する為、大活躍であった。


「あんた、ミリンミリン! 優秀っ。ちょっとご褒美にお皿にボディオイル塗ってあげる」


「ちょっ?! モモミチっ、のほほほほほほっっ」


皿に美容香油を塗られてクネクネするミリンミリン。


「これはセンシティブですね。頭頂部に魔法で謎の光を当てておきます」


「···」


ミリンミリンに真顔で幻影魔法を使うノブミにコメントし辛いヒカルであった。


_____



水晶山脈の主、水晶竜のねぐらの奥の祭壇には金のゴブレットが置かれていた。


「「グルル···ザァアアッッッ!!!!」」


巨体の身を起こし、威嚇する水晶竜。炎と氷、2つの首を持っていた。


「プロテクト! レジスト! ストロング!」


物理と魔力の守備魔法を全員に、攻撃力強化魔法をノブミ以外の3人に掛けるモモミチ。


「取り敢えず、オイルは炎の首の完封を狙うんだぞ?!」


大量の水で渦巻きを造り始めるミリンミリン。


「爆破魔法で巨体で暴れるのを阻止しますっ。マナフレア!」


爆発を起こし、貴族の館のような巨大な身体を仰け反らせるノブミ。


「ノブミ! 俺が身体に取り付いたら尻尾を弾いてくれっ」


「了解!」


駆け出すヒカル。ミリンミリンの水の渦の攻撃で炎の首と頭部は砕け散ったが、氷の首のブレスは放たれた。


盾と守備魔法の加護で身を守りつつ直撃を避け、さらに駆け込むヒカル。モモミチのヒールで凍傷は回復された。


水晶竜は前脚による攻撃を放ったが、ヒカルは盾を砕かれながら飛び上がって避け、前脚を肩口まで駆け上がる。


「ザァアッッ」


尻尾ではたき潰しに掛かる水晶竜。だが、ノブミの爆破魔法で弾かれた。


首を駆け上がるヒカル。氷の頭部はブレスを撒き散らそうとしたが、ミリンミリンの鉄の槍とモモミチのディフェンドメイスの投擲で上顎の牙も左目を破壊され阻止された。


「せぇあっっ!!!」


駆け上がりきったヒカルの魔力を乗せた鉄の剣が水晶竜の氷の首を十字に斬り裂き、切断した。


地を揺らして倒れ、結晶化してゆく水晶竜。


ヒカル達の完勝であった。


「ふぅっ、サイズ差がキツかった···」


「勝利!」


「クワーッ!」


「売れそうな素材を拾えそうです」


一行は浮かれるのも程々に、ねぐらの奥の台座の金のゴブレットを手にした。


砕け、光となって4人の勇者達にさらなる力を与えるゴブレット。


(勇者よ、光と共にあれ···)


偉大な先人の思念の声が響いていた。

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