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河童と一緒に魔王倒し隊〜友情編〜  作者: 大石次郎


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14話 半島の戦い 後編

ヒカルは残存装備に加え、妖精族達が収集していてくれた勇者の鎧、アダマンタイト製の軽装鎧を装備していた。武器は間に合わせに片手剣だが概ね龍鱗の剣と同程度の火属性のフレイムシミターと氷属性のアイスカトラスを装備。


モモミチも収集された聖女の遺した流星のバックラーを装備。ミリンミリンは先祖も装備したトリトンマフラーと間に合わせに龍鱗のブーメランと同等の封魔(ふうま)手裏剣を妖精族から得ていた。いずれも強力であった。


激突しようとする両軍。今回はヒカル達は完全な野戦であることもあり、白騎竜に乗っていた。


「コレが一番、有効なはずっ!」


初手の合体技による超広範囲攻撃を封じられたノブミは、


「トゥルース・マナレイ!!!」


圧縮仕様の真なる魔力の奔流を西側の海岸線に集められた盾役の硬質系モンスター軍に撃ち込み、壊滅させ、再び魔王軍への海からのバリスタ掃射を有効とした。


味方の水棲亜人種達に高速移送される形で小舟で上陸しだしている希望の砦軍を合わせてもなお、1,5倍は物量差はあり、側面援護無しでは力負けしかねなかった。


「勇者達は護衛と共に魔将をっ!!」


「「「了解!!」」」


将軍に促され、隠れ身のマントを発動させたヒカル達は同じく隠れ身のマントを装備したケンタウルス族の少数の護衛と共に、乱戦に紛れ、敵陣へと突入を始める。


「プロテクト、レジスト、ストロング···」


小声で補助魔法を全員に掛けるモモミチ。ノブミもエリクサーで回復を図り、ミリンミリンは水を練るようにしてよく滑る粘液を生成してあちこち撒き、周囲の敵を転倒させて進行をサポートした。


ヒカルは遠距離攻撃の流れ弾の類いを斬撃を飛ばして弾いてゆく。


「おおおおおぉ······っっっ」


地響きを立てて移動しながら矮小な自身の分体の植物モンスター、プチトレントを無尽蔵に周囲の地中から発生させているカーストレント。


ヒカル達は近くまで迫っていた。


「なるほど、コイツが魔王領の最前線に投入されないのは収拾がつかなくなるからか···護衛の皆は後衛2人以外の白騎竜と東側に離脱してくれっ! 庇えない!」


簡潔に宣言し、ヒカルとミリンミリンは白騎竜から飛び降り、護衛達と分かれた。


「雑魚に絡まれる前に行こうっ!」


「「「了解!!」」」


ヒカル達はプチトレントの軍勢に突進を始めた。


「トゥルース・マナエクスプロードっ!!!」


真なる火炎の波動を放ちプチトレント群を薙ぎ払ってカーストレントの根元を焼き払い、全身を止めるノブミ。


「行っくぞぉ〜っっ!!!」


激流を放ち、それに乗って焼け焦げた道の上を滑走してゆくミリンミリン。ヒカルもその甲羅に掴まっている。


猛烈な蒸気も起こり、隠れ身のマントによって視認困難な状況を作り出された。


「小細工はぁああっ、通じないっ!!」


カーストレントは全身から毒、麻痺、眠り、混乱、沈黙効果の瘴気を放ったが、2人の耐性と防具の耐性がそれらを防ぐ。


「···啄木鳥より痛いんだぞっ?!」


霧の中から渦巻く激流に乗ったミリンミリンがダゴン殺しを構え、人面のある左側面から内部に突入し右側面に突き抜けた。


「ぐぉおおおーーーっっ??!!! 我が頭部がぁっ???」


「いや頭って、脳ミソなかったぞ??」


「···縦に斬ってみるか?」


空けられた穴の中心に続けて入り込んでいたヒカルは逆手に持ったフレイムシミターに最大の魔力を込めた。


「やめろぉおおおーーーーっっ!!!!」


一閃。カーストレントは炎の刃で内部から両断された。


炎上しながら2つに分かれて倒れ朽ちてゆくカーストレント。ヒカルも落下してゆく。


「あちちっ? 自分の攻撃で死ぬわっっ」


フレイムシミターは砕けていた。


「ヒカルぅ~!」


激流に乗ってミリンミリンがヒカルを回収した。


「本体が死んでも分体は死なないタイプみたいだし、ここが敵軍の真ん中だぞ? 霧が晴れる前にズラかって、本陣に戻らないと!」


「モモミチとノブミの位置わかるか?」


「気配はもう覚えてる···皿サーチっ!! ···あっちだぞっ!」


激流に乗って移動する2人。ヘバり気味のノブミを白騎竜達と、伸縮できるホワイトプロミスの鎚・改の柄を伸ばしたモモミチが必死でプチトレント達から守っていた。


「クワァーっ!」


「ちょっと水借りる、ほっ」


封魔手裏剣と、水を纏わせたアイスカトラスの凍り付く斬撃で周囲のプチトレント群を一掃するミリンミリンとヒカル。


「遅いって!」


「悪い悪い」


「相手が初手で状態異常狙わなかったらちょっとヤバかったんだぞ?」


「とにかくっ、離脱しましょう。これでわたくしは今日、後がないです···トゥルース・マナリターン!!」


ヒカル達は霧と隠れ身のマントの力に紛れ、一応真上にかなり高度を上げてから自軍の本陣の、マーキングしていた後衛部隊待機地まで一気に高速飛翔して帰還していったのであった。


_____



魔将カーストレントが討たれたことと、増援、海からの側面攻撃、一旦本陣後衛に下がったヒカル達の内、ノブミと負傷者の手当てに回ったモモミチ以外の2人が前線に復帰したこともあり、半島後半の魔王軍及びプチトレント群を壊滅させることに成功した。


水棲種や飛行種のいくらかは魔王の島へと遁走していった。


夕暮れになる頃、妖精の達と希望の砦の人間達、味方の水棲種達の軍勢は半島の端の岬付近に一先ず野営地を組んでいた。


「おおっ、お前達! 無事だったかぁ! よしよし。ケンタウルスのみんなもよかったっ」


先に逃がした白騎竜2騎もケンタウルス族達と共に無事帰還していた。


「一先ず来るとろまで来たんだぞ。でも、ノブミと、モモミチも治療頑張り過ぎてダウンしちゃったぞ?」


2人は治療術の得意なエルフ族等の手でテントで治療を受けていた。


「俺達も休んで、装備の補修や補充をしたいところだが、希望の砦の司令官なんかとも話しときたいな」


野営地を組むまでも中々の慌ただしさで、2人は司令官や将軍、味方についた水棲種族の代表等と話せていなかった。


2人は何本目かのエリクサーを飲みながら、司令官達がいるはずのテントに向かった。


「ヒカル! ミリンミリン! さすがだなっ。魔王領のド真ん中に風穴が空いた! 魔将もあと2体だ。我々も遥々(はるばる)海を越えてきた甲斐があったよ」


希望の砦の司令官は酒は控えていたが、興奮していた。


「助かったよ」


一見常識人だが、明確な貴人や厄介そうな相手以外には基本フランクな山里育ちのヒカル。


「でもすんごい雑な揚陸だったんだぞ」


「海路の道中と揚陸に関しては我々水棲種族の協力も忘れないでもらいたい。まったく、ロクに泳げもしないのにムチャをしたものだ」


鯱型亜人ワーオルカ種の族長が言った。他にも主だった水棲種の代表がテントに来ている。


「連絡取り難いにしてももう少し穏便に進路を組んでくれればこちらも大慌てせずに済んだのだがの」


妖精の将軍は言いながらも上機嫌ではあった。


「それはまぁ、こちらも半島が近付けば連絡がつくだろうからというか、勢いというか···」


劣勢の司令官。


「結果的に多勢を複雑に展開させずに畳めたのはよかった。カーストレントに関しては際限なく増援してきそうだったし」


「アイツの分体、本体と自分達以外の他の魔物に攻撃してたからそんな便利にも見えなかったんだぞ···」


「あー、そっかぁ」


等と雑談になりかけたが、


「首尾は悪くなかった。我らも腹を括るとしようかねぇ」


テントにいたフード被った女の集団の1人がフードを取りながらいった。


「···? えっ、ラミアの女王様ですかっ」


人の大きさで足もあったがまさしくラミアの女王であった。他の女達もフードを取ったが、ラミア郷で見た顔の女達であった。


変化が不十分で蛇眼や舌の長い者もいたが。


「ほほほっ、船に乗るには小さくならないと」


「同伴して、船室は広く取るし、参戦はしてくれないし···弱ったもんだったよ」


困惑顔の司令官。


「我らはここぞという時に手を貸す。とはいえ船を沈めてきた輩は海中で始末させたがね、ふふっ」


沈められた船の被害者が存外少ない理由でもあった。


「我らも」


女王はヒカルに歩み寄り両肩を掴んだ。


「魔王の城攻めには参戦してくれよう。ただし、勇者よ、魔王討伐後は今度こそ···」


女王はヒカルの耳元で何事か囁いた。側のミリンミリンには聴こえていた。


「センシティブ!」


飛び上がるミリンミリン。


「お黙りっ、河童!」


「いやぁ、どうでしょうっっ」


ヒカルは赤面して困り、女しかいないラミア族のハーレムの容赦のなさを知る司令官や将軍、他の亜人や妖精族の代表達は気まずい顔をするばかりなのであった···

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