表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
河童と一緒に魔王倒し隊〜友情編〜  作者: 大石次郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/20

13話 半島の戦い 前編

斥候によると半島には魔王軍の勢力が結集しつつあった。攻めるには希望の砦との連携は必須。


将軍との協議を経て、希望の砦との迅速な連絡はミリンミリンを護衛に付けたノブミがトゥルース・マナリターンで行うことになった。


「ちょっと魔法式が複雑になりますが···サイレンス」


軽くて飛ばし易いミリンミリンと共に、隠れ身のマントを着たノブミは沈黙魔法を掛けた上で、妖精族の砦の屋上で霊木の灰と聖水で結界を重ねて纏い、トゥルース・マナリターンを発動させて希望の砦へと飛び立っていった。


「大丈夫かな?」


「来るの大変だったけど、帰るのは一飛びだね」


見送ったヒカルとモモミチ。


「海路の援護はワータートル、ワードルフィン、ワーオルカ等の海の亜人達が行う。海辺までの地下トンネルを使って連絡を取らせた」


「忍者達が?」


「いやっ、特に忍者職の者達でもないが···」


鋭く忍者に反応するモモミチに困惑する将軍であった。


···早朝飛び立ち、昼過ぎにはノブミ達は無事、連絡を済ませ戻ってきた。ただしノブミはバテてしまい。半島への出陣は明日、日の出と共に行われることとなった。


_____



妖精族の軍が死守していた山地の半島までの魔除けの街道抜け、ヒカル達を含む砦の軍勢は昼過ぎには険しい山地を抜け、もはや街道等跡形もない半島へと侵入した。


これを迎え撃つ魔王軍の第一陣。陣営に魔将らしき個体は見られなかった為、損耗目的の小手調べと判断され、ヒカル達は温存され、亜人族を含む妖精の軍勢は自力で第一陣を打ち破った。


相手の思惑通り、それなりの被害は出て消耗した軍は斥候が確認していた半島の前半で大規模野営地の設置が可能な魔族に破壊された旧ケンタウルス族の郷跡に駐留して休息を取ることとなった。


「酷い様子だな···」


郷は完膚なきまでに討ち滅ぼされていた。


「砦に生き延びた人々もいましたが、これまで何度も闇の者達の現れた呪われた島をずっと見張ってきた勇敢な種族です」


ケンタウルス族は耳と尾と下半身が馬の姿に変身できる強壮な種族。神の尖兵として率先して戦う、戦士の種族でもあった。


なお、平時は徒競走と狩猟農耕、あるいは医学の研究に勤しむ勤勉な種族でもあった。


···翌朝、最低限度継戦可能な8割の兵の回復を済ませた砦の軍勢は再び行軍を始めた。


「次、魔将がいなくてもオイラとノブミも初手だけ参戦するぞ? 数が減って疲弊もしてる。このまま当たると最初より被害が大きくなるからなぁ」


「最近リザレクション覚えたから死にたてで遺体のコンディションよくて、家畜の新鮮な血とか肉があれば1日20人くらいなら復活できそうだけど」


「ダンジョン攻略の冒険者パーティーじゃないから規模が違うよ、モモミチ」


「ん〜っっ」


不慣れな集団戦に困惑気味のヒカル達であった。


程なく、砦の軍は半島中盤の魔王軍第二陣と相対時することとなった。


ヒルギガースやサイクロプスといった巨人族が目立つ構成。魔将の姿は確認されず。


「来いっ、雨雲!!」


雨雲を引き寄せ、突進と遠距離攻撃を始める敵陣に豪雨を降らせるミリンミリン。


「トゥルース・マナエレクトン!!!」


水を介し、真なる電撃の超広範囲攻撃で第二陣の魔王軍に甚大な被害を与えるノブミ。


これを皮切りに第二陣との妖精の軍との激突が始まった。


数時間に及ぶ戦いは初手のミリンミリンのノブミの攻撃が利いて、妖精の軍が完勝したが、さらに3割の兵が継戦不能となった。


「希望の砦の船団が予定通り間に合ってくれればよいが···」


ドワーフの将軍も弱音を吐かざるを得なくなっていた。


半島の最後の野営地は、小さな聖域で護られた地下の聖堂以外を全て破壊された泉の精霊の祠跡。


モモミチも他の癒し手達と共に治療に奔走したが、妖精族の軍の消耗はピークに達しつつあった。


「休んでいてと言われても、居心地が悪いな···」


「オイラやヒカルは頑丈だけど、通用するレベル装備の替えがもうないんだぞ?」


最初は軽症者の治療の手伝い等もしていたが、それも一段落するとヒカルとミリンミリンは手持ち無沙汰となり、健在な地下の聖堂を訪ねてみることになっていた。


ちなみにノブミはテントで爆睡している。半島攻めでは真なる魔法は一撃だけとはいえ、そもそも短い期間で連発はしている為、常に眠いらしかった。


全て聖水で満たされた地下湖の小島に祠の本体はあった。素朴な石造りで、御神体は強い魔力の籠もった土器の水瓶。そこに満ちた輝く水その物が泉の精霊王であった。


「今は休眠中なんだよな?」


「半島から染み出る聖なる地下水のせいで、魔王軍の海の侵略は上手くいってないみたいだぞ」


「働き者だ···」


2人が感心して水瓶を覗き込んでいるも、瓶がより強く光り、水面から収納魔法の要領で1本の凄まじい水の力を蓄えた槍が露出された。


「「ええーっ?!」」


(勇者達よ···この槍はダゴン殺し。かつての勇者の仲間の河童族が用いた、最強の水の槍。先代の魔王に砕かれ、ワタシが年月を掛けて修復していた。持ってゆくといい···)


泉の精霊王の思念は遠ざかってゆき、水瓶の光も鈍っていった。眠りに就いた気配であった。


「御先祖様のっ! 大事に使うんだぞっっ」


ミリンミリンは霊槍ダゴン殺しを手に入れた。


_____



過去には確認されている半島を守護する魔将が、半島の先端付近で手勢と待ち構えているのは確定となっていた。


海からの希望の砦の軍との共同戦線を張らずして対抗するのは困難な情勢。


妖精の軍は連絡を取ってタイミングを合わせることに苦心した。


「回りクドいが仕方あるまい」


ノブミの消耗を避け、将軍は日が暮れる前に最も足の速いケンタウルス族の生き残りに既に制圧した半島前半エリア介して山地の街道まで戻らせた。


街道の入り口から魔除けの街道を通す形で使い魔を砦に送り、砦から改めて地下通路を介して使い魔を協力する海辺の水棲種族に飛ばし、あとは水棲種族のネットワークで希望の砦の船団の進行具合を確認させた。


結果、夜明けには船団は昼過ぎにも半島後半の西側の特定の揚陸地点に到達する予定であることが判明した。


「いきなり後半に揚陸するつもりだったのか? ムチャする」


「将軍さんが時間確認してなかったら詰んでたかも?」


「連絡でこんなに苦労するなら、なにか対策しておくべきでしたね」


「上手く魔王に勝てたら『連絡、大事』て子孫に書き残しといた方がいいんだぞ? まぁ河童族は伝わらないだろうから、ノブミ達に任せるけど···」


情報伝達についてヒカル達が話し合いつつ、時間調整を考慮した妖精族の軍勢は結果的に大急ぎで祠の野営地を後にして、半島の後半エリア、希望の砦の軍の揚陸予定の西の浜近くを目指した。


「船影確認! 攻撃されていますっ」


「陽動を行うっ。結果的に相互に陽動し合う形となる! 分断してやれ!!」


浜の側の岸辺で報告を受けた将軍は号令を発した。遥か前方の半島最後の魔王軍は3倍の勢力はありそうであったが、増援船団は水棲の魔物の軍勢に攻撃されながらもすぐ側まで来ていた。


雄叫びと共に妖精の軍勢の前進が始まり、それが浜を越えたことで揚陸を直接潰すことが不可能になると、魔王軍に明らかに動揺が起こっていた。


遠距離攻撃や飛行種や水陸両用種による攻撃を陸戦にも回さざるを得なくなったことで、海戦の勢いもなくなり、その機に乗じて希望の砦の軍勢は浜に近付き、あるいは船からのバリスタ攻撃を陸の魔王軍に撃ち始めた。


「無益な段でヘルクラーケンを失ったことが、今さらに口惜しい···」


半島後半の軍勢を統べる、古木と老人の中間のような魔将カーストレントは苦々しく呟いた。


「西側に硬質種どもを展開。船は一隻ずつ沈められる物を確実に沈めろ。全体の揚陸阻止はやめだ。数を減らせ。雨雲は即時払え、同じを手を食うな」


カーストレントはバリスタの攻撃を受ける西の内側に硬い性質の魔物を配置して防壁とし、戦力不足で手が付けられなくなった海戦は弱った船を狙い撃ちする方針に改めさせた。


さらに半島中盤戦同様にミリンミリンが雨雲を集めだすと、即座に魔法使い系種の魔物達に雨雲を打ち消させ、合わせ技による超広範囲電撃を阻止させた。


「勇者ども、この魔将カーストレントにっ、もはや小細工は通用せぬっ!!」


言い放ち、巨木の怪異の姿に変化するカーストレント。


妖精の軍勢とヒカル達は、初手の範囲攻撃がままならないまま、半島最後の魔王軍と激突しようとしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ