『未来の息子は、母上を初恋に導く(後編 ―因果の真実―)』
前編を読んでくださりありがとうございます!
後編では、セオドアが託された役目と、リチャードの胸に残る「初恋の因果」がついに交わります。
ハッピーエンドまでの道のりを、どうぞ見届けていただければ嬉しいです。
リチャードの胸は混乱と動揺で満ちていた。
「未来から来た息子」――そんな荒唐無稽な言葉を信じられるはずがない。
だが、セオドアの瞳は揺るぎなく、必死に訴えていた。
「……これを、見てください」
掌に置かれたのは、金属の環に透明な結晶をはめ込んだ小さな魔道具。
内部には細かい歯車のような文様が刻まれ、淡い光がまだかすかに脈動している。
リチャードは目を細め、その形を一瞥した瞬間に息をのんだ。
「……これは」
思わず腰のポーチに手を伸ばし、同じものを取り出す。
二つを並べると、結晶の光が重なり合うように淡く脈打った。まるで“同じ存在”であることを示すように。
「――“時環の羅針盤”」
低く呟いたリチャードの声には、驚きと苛立ち、そして抑え切れぬ動揺が混じっていた。
「知っているんですか……?」
セオドアが縋るように問いかける。
リチャードは苛立つように唇を噛んだ。
「知っているどころではない。これは王家に伝わる秘宝の一つだ。王家の血を継ぐ者しか触れぬはず……。
お前がどうしてこれを……!」
セオドアは慌てて頭を振り、声を震わせた。
「ぼ、ぼくだって……! 触るつもりなんてなかったんです! でも……気がついたら光に包まれて……ここに……! 帰り方もわからなくて……ずっと、途方に暮れて……」
言葉の途中で声が詰まり、涙がこぼれそうになる。
リチャードは思わず息を呑んだ。
――震える声も、涙に揺れる碧の瞳も、必死に訴える姿も、作り物には見えない。
「……ふざけてなど、いないのだな」
「違います! 本当に……ぼくは未来から来てしまったんです。どうしていいかわからず……でも、父上に会えて……安心しました……」
小さな声で絞り出されるその言葉に、リチャードの胸が痛む。
嫉妬と混乱が押し寄せながらも、確かに今、少年は救いを求めているのだ。
「……全く。お前というやつは……」
リチャードはため息をつき、羅針盤を見つめ直した。
「確かに二つの羅針盤が存在する時点で、お前の言葉は否定できん。王家の秘宝が偽物であるはずがない。……つまり、お前は本当に未来から来たのだろう」
セオドアの瞳に安堵の光が宿り、強張っていた唇がかすかに緩んだ。
「……信じて、くれるんですか?」
リチャードは顔をそむけるようにして低く答えた。
「信じざるを得ん、というだけだ」
だがその声音には、どこか諦めきれぬ複雑さと、ほんのわずかな優しさが滲んでいた。
リチャードは羅針盤を握りしめたまま、目の前の少年をじっと見つめた。
――間違いない。
金の髪は自分譲り、そして碧の瞳はエレノア譲り。
その存在は、紛れもなく「未来の息子」だった。
胸の奥に広がるのは、安堵と苛立ちの入り交じった感情。
どうしようもなく複雑だが――それでも確かに、この少年を突き放すことはできない。
(なんという因果だ……。エレノアの“初恋の相手”が、僕と彼女の子どもだったとは……)
思考が揺らぐ。
守るべき存在であるはずの息子が、同時に自分の恋敵。
嫉妬と困惑に胸が焼かれる一方で、不思議な親近感が芽生えはじめていた。
「……父上?」
セオドアは掌に載せた羅針盤をじっと見つめ、それからおそるおそる顔を上げた。
「……あの、変じゃないですか?」
「何がだ」
リチャードが低く問い返す。
セオドアは言葉を探しながら続けた。
「この羅針盤は……本来なら外に出るはずのないものなんです。大切に保管されていて、ぼく以外が持っているなんて考えられないのに……」
彼は不安げに父を見上げ、唇を震わせた。
「なのに……どうして父上も同じものを持っているんですか? まさか……父上も未来から来たんじゃ……」
その言葉に、リチャードの眉がぴくりと動いた。
(……言えるわけがない。“エレノアの初恋相手を確かめに来ました”などと!)
彼はわずかに視線を逸らし、苦々しい声で答えを濁す。
「……王家の研究には複雑な事情がある。今のお前には理解できん」
「えぇ……? なんだか誤魔化してるように聞こえますけど……」
セオドアがじとりと疑わしげな目を向ける。
「黙れ。父に疑いの目を向けるとはいい度胸だな」
リチャードは咳払いをして話題を切り上げるように言った。
「……ともかく、お前がここに来てしまった以上、因果を守るために果たすべき役目がある。エレノアを過去の僕のもとへ連れていけ。それが済めば……未来に帰す方法を教えてやる」
セオドアは羅針盤を握りしめ、困惑した顔で問いかけた。
「……でも、どうしてぼくが母上を過去の父上のところに連れていかなきゃならないんですか? そんなの、理由が分かりません」
リチャードはしばし黙し、視線を逸らした。
(……認められるものか。彼女の初恋が、息子であるお前だったなどと)
「理由を深く知る必要はない」
抑えた声でそう告げる。
「でも……」
セオドアは唇を噛みしめ、不安げに眉を寄せた。
「ぼくはただ、未来から来てしまっただけなんです。役目だなんて……」
「お前にしかできないことだ」
リチャードは即答した。
「僕では因果を乱してしまう。だが、お前なら繋げられる」
セオドアは納得がいかないように首を傾げる。
「……本当に、それで未来に戻れるんですか?」
リチャードはわずかに目を細め、淡々と告げる。
「役目を果たせば帰し方を教える。それが条件だ」
少年はしばらく考え込み、ため息をついた。
「……なんだか、父上の言い分ってズルくないですか?」
リチャードは口元を引き結び、わざとらしく咳払いをした。
「父の言葉に文句をつけるとは、随分な口の利き方だな」
「だって……」
セオドアは苦笑し、肩を落とす。
「本当に帰れるなら……やりますけど」
リチャードは小さく息を吐き、少年を見つめる。
「……それでいい」
その声音は淡々としていたが、ほんのわずかに安堵が滲んでいた。
セオドアは視線をそらしながら、こっそり小声でぼやいた。
「……結局、父上に振り回されてる気しかしないんだけどなあ」
「聞こえているぞ」
「ひっ……!?」
リチャードの鋭い視線に慌てて口をつぐむセオドア。
その様子に、リチャードはほんの少しだけ口元を緩めていた。
父から言い渡された役目を胸に抱えながら、セオドアは庭園を歩いていた。
ぎこちない足取りで庭園の方へ進み――そして、彼女を見つけた。
亜麻色の髪が陽光を受けてふわりと揺れ、碧の瞳が無垢にきらめいている。
まだ幼い少女の姿でありながら、気品とやさしさをまとっていて――思わず息をのむほどだった。
(……っ、母上……かわいい……)
胸の奥で言葉にならない衝撃が弾ける。
未来で見慣れているはずの母の姿とはまるで違う。
けれどこの小さな横顔に宿っている面影は、確かに自分の知る「母上」だった。
(こんなに小さな頃から……母上はこんなにもきれいで……やさしそうで……)
頬が熱くなる。
「母」として敬ってきたはずの人を、今は同年代の少女として目の前にしてしまっている――その矛盾が胸をざわつかせた。
そんなセオドアの背後から、低く押し殺した声が響いた。
「……おい」
「っ……父上」
セオドアは慌てて振り返る。リチャードは腕を組み、じとりとした視線を向けていた。
「連れていくのはお前の役目だ。立ち止まって見惚れるために来たのではない」
セオドアは小さく息をのんだ。
「……すみません。ただ……母上があまりに……」
そこで言葉を濁すと、リチャードは小さく苦笑を漏らした。
「……もっとも、見惚れてしまうのも分からなくはないがな。だが、それを息子にまで突きつけられるのは……どうにも面白くないな」
その言葉にセオドアは顔を赤くし、慌てて視線を逸らした。
「ち、違います! ぼくは……ただ、その……」
言い訳を探しても言葉は出てこない。胸の鼓動ばかりが早まっていく。
(……いけない。ぼくの役目は、母上を――いや、エレノア嬢を過去の父上のもとへ連れていくことなんだ)
セオドアは深く息を吸い込み、震える足で一歩、また一歩と彼女へ近づいていった。
夢見心地のまま庭園を眺めていたエレノアは、背後からかけられた声にようやく現実へ引き戻される。
「……君が、エレノア嬢だね?」
驚いて振り返った少女は一瞬きょとんとし、碧の瞳を大きく見開いた。
そして小さく瞬きをしてから、かすかに微笑みを浮かべる。
「……ええ、そうですわ」
澄んだ声に、セオドアの胸が強く震えた。
未来では何度も耳にしてきたはずの母の声。
けれど今は、幼く澄み渡った音色が、まるで宝石のように心に響く。
(どうしよう。こんなにかわいいのに、どうやって落ち着いて話せばいいんだ僕……!)
内心で悲鳴をあげながらも、セオドアはなんとか笑みを作ろうとした。
彼女に怪しまれないように、自然に答えを返さなければならない。
背後からは、リチャードの視線がじとりと突き刺さってくる。
(失敗したらどうなるか……考えるだけで怖い……!)
セオドアは小さく息を吸い込み、エレノアに向き直った。
(……余計なことは言わない。連れていくだけだ。失敗はできない……!)
「……泣いてる子がいるんだ」
それだけを告げ、彼はそっとエレノアの手を取った。
突然のことに彼女は驚いたように瞬きをしたが、セオドアの真剣な眼差しに押され、ためらいがちに歩みを合わせる。
まだ彼女の視線には映っていない。
だが、庭の奥――木陰に小さな影がうずくまっているのを、セオドアは確かに見ていた。
小さな肩が震え、かすかな嗚咽が風に混じって届いてくる。
(……過去の父上。そこへ、母上を連れていけば……)
セオドアは胸の鼓動を必死に抑えながら、ただ無言でエレノアの手を握って進んだ。
できるだけ言葉を減らし、余計なことはしない――その思いを胸に刻みながら。
やがて木陰の先に、小さな影が見えた。
三歳ほどの男の子がうずくまり、黄金の巻き毛を涙で濡らしながら肩を震わせている。
エレノアはその姿に気づき、小さく声を漏らした。
「……まあ」
彼女の碧の瞳が少年に向けられた瞬間、セオドアは静かに手を放した。
エレノアは泣いている子に心を奪われ、彼の仕草に気づくことはなかった。
(……母上。これで……いいんですよね……)
安堵と寂しさが胸の奥でせめぎ合う。
セオドアはもう一度だけ彼女の背中を見つめ、そして足音を忍ばせるように静かにその場を離れた。
次の瞬間、エレノアは泣きじゃくる小さな少年へと駆け寄っていった。
その後ろ姿を、セオドアはもう見ることはなかった。
エレノアは少年の前に歩み寄り、そっと膝をついた。
その光景を目にした瞬間、リチャードの胸は強く揺さぶられた。
(……懐かしい。あのときの自分……そして、彼女の微笑み。
初めて心を奪われたのも、この場面だった)
孤独に泣いていた幼い自分を包み込むように寄り添う姿――
それは記憶に刻まれた、恋の始まりそのものだった。
リチャードは目を細め、深く息を吐く。
だがその胸の奥には、懐かしさと同時に鋭い痛みも走っていた。
――この因果を導いたのは、他ならぬ息子なのだ。
「……父上!」
不意に背後から声がして、リチャードははっと振り返った。
そこにいたのは、緊張から解き放たれたように駆け寄ってくるセオドアの姿。
まだ肩で息をしながらも、碧の瞳は喜びに輝いていた。
「無事、やり遂げました!」
リチャードの胸に、誇らしさと同時にどうしようもない複雑な思いが込み上げる。
彼はただ静かに息を吐き、少年の言葉を受け止めた。
「……よくやった。役目は果たしたようだな」
リチャードはため息まじりにそう告げた。
けれど、次に小声で続ける。
「……とはいえ、彼女と共にいたのがお前だというのが……どうにも気に入らん」
「えっ……どういう意味ですか?」
セオドアはきょとんとした顔で首をかしげる。
リチャードはわずかに目をそらし、咳払いでごまかした。
「深い意味はない。ただ……彼女のそばに立つのは本来、僕の役目だからな」
「……えぇ? それ、八つ当たりじゃないですか……」
セオドアが困ったように眉を下げると、リチャードはさらにむっとした顔をした。
「父に対して随分な言い草だな」
「だって本当に分からないんです! ぼく、何をやり遂げたのかも知らないんですよ!」
その言葉にリチャードは返す言葉を失い、しばし沈黙する。
やがて苦笑しながら、少年の頭に手を置いた。
「……まあいい。いずれお前も気づくだろう。」
セオドアはますます不満げな顔をしたが、それ以上は追及できなかった。
「……約束通り役目は果たしました。だから――帰り方を教えてください!」
その必死の声音に、リチャードは目を細めた。
(……せめて最後くらいは、父として応えてやるべきか)
「慌てるな」
リチャードはセオドアの手にある羅針盤へ視線を落とし、自らの腰のポーチに収めた同じものへ軽く触れた。
互いに確かめ合ったそれは、形も文様も寸分違わぬ、王家に伝わる秘宝だった。
「……見ての通りだ。お前が持つものと、僕のものは同じだ」
リチャードは静かに言葉を続ける。
「帰還の術に必要なのは、その羅針盤だ」
セオドアはぎゅっと手の中の羅針盤を握りしめ、真剣な眼差しで父を見上げた。
「……教えてください、どうすれば未来に戻れるのか」
リチャードはゆっくりと視線を合わせ、言葉を選ぶように口を開いた。
「いいか、セオドア。帰る方法は単純だ。お前の羅針盤を握りしめ、意志を未来へと向ける。ただそれだけで道は開く」
セオドアは瞬きをして、思わず息をのんだ。
「……そんなに簡単なんですか?」
「簡単だからこそ、危ういのだ」
リチャードは声を低め、続けた。
「心が乱れれば時は途切れる。恐れや迷いに囚われれば、羅針盤は応えない。……そしてもう一つ」
そこでわずかに間を置き、少年を射抜くように見つめる。
「決して振り返るな」
セオドアはごくりと唾を飲み込んだ。
「……振り返ったら?」
「時が千々に乱れ、帰るどころか迷子になるだろうな」
リチャードはさらりと答え、肩をすくめた。
「ひ、ひどいですよ父上! もっと安心させてください!」
慌てるセオドアに、リチャードはわざとらしく小さく苦笑した。
「安心しろ。……お前は僕の息子だ。やり遂げると信じている」
セオドアは胸を熱くし、両手で羅針盤をぎゅっと抱きしめた。
「……はい!」
セオドアは震える手で羅針盤を握りしめた。
透明な結晶の奥に淡い光が宿り、脈打つように強さを増していく。
(……迷うな。振り返るな。未来へ――帰るんだ)
リチャードの言葉を胸に刻み、セオドアは深く息を吸った。
鼓動が早鐘のように響き、全身に緊張が走る。
光が指の隙間から溢れ、彼を包み込み始めた。
その瞬間、セオドアは思わず顔を上げ、リチャードを見た。
「父上……!」
声は震えていたが、その瞳には決意の光が宿っていた。
リチャードは静かに頷き、短く言葉を返す。
「行け。未来で……必ず生きろ」
光は一気に広がり、少年の姿を包み込む。
次の瞬間、まばゆい閃光とともに、セオドアの姿は庭園から消えていた。
リチャードはしばらくその場に立ち尽くしていた。
幼いエレノアが、泣きじゃくる自分をそっと抱きしめている。
小さな手に包まれた温もりは、彼にとって初恋の記憶そのものであり、決して失われることのない大切な思い出だった。
だが――その場で彼女と共にいた少年の存在だけは、長い間、嫉妬と執着の象徴だった。
自分ではない“誰か”がエレノアを動かし、自分のもとへ連れてきたという事実が、ずっと胸を刺していたのだ。
けれど今、その少年がセオドアであると知り、しかも息子が役目を果たして未来へ戻ったことで、心の奥を覆っていた黒い感情はゆるやかに溶けていく。
もちろん、嫉妬が完全に消えることはない。
だが――それ以上に、息子を誇らしく思う気持ちが勝っていた。
「……セオドア。よくやった」
誰に聞かせるでもなく、静かに呟く。
彼は腰のポーチから羅針盤を取り出した。
結晶は淡く光を帯び、セオドアを送り届けた時と同じ脈動を宿している。
「さて……僕も帰るとしよう」
低く息を吐き、羅針盤を強く握りしめる。
光は瞬く間に広がり、彼の全身を包み込んでいった。
視界が白に染まる直前、リチャードはもう一度だけ振り返る。
泣きじゃくる幼い自分を抱きしめるエレノアの姿――初恋の記憶がそこにあった。
胸が熱く締めつけられる。だが、その未来は確かに繋がったのだ。
そして次の瞬間、光が弾け、リチャードの姿は庭園から掻き消えた。
残されたのは、初恋の記憶の光景と、風に揺れる木々のざわめきだけだった。
未来へ帰還したリチャードは、再び日常の時を歩み始めていた。
過去の因果は乱されず、エレノアの胸には「忘れられない少年」の記憶が静かに残っている。
だが、その正体を彼女が知ることは決してない。
「リチャード様……?」
傍らで見上げてくる彼女の微笑みに、リチャードは小さく息を吐いた。
胸の奥にはまだ、拭いきれない棘のような感情がある。
エレノアの初恋を導いたのが息子だった――その因果を思えば、不快さは今なお完全には消えない。
だが同時に、息子が未来を守ってくれた誇りと安堵も確かにある。
複雑に絡み合う感情を抱えたまま、彼はゆっくりと口を開いた。
「君が過去に出会った少年――いずれ、また会うことになるだろう」
「え?」
驚きに目を瞬かせるエレノア。
だがリチャードはそれ以上を語らなかった。
代わりに彼女の手を強く握りしめ、視線を真っ直ぐに注ぐ。
「……だが、忘れるな。君の隣にいるのは、いつだって僕だ」
その声音には、嫉妬も執着も、そして深い愛情も滲んでいた。
エレノアは一瞬きょとんとしたのち、頬を染めて小さく笑みを浮かべる。
「……リチャード様って、本当に時々意地悪です」
彼はふっと口元を緩めた。
「ふん。意地悪ではない。……君を取られたくないだけだ」
軽口のように交わされる言葉。だがその裏に隠された想いを、互いに理解していた。
過去の記憶がどれほど美しくとも、今ここにある絆の方が確かで強い。
夕暮れに照らされた二人の姿は、まるで“初恋”さえ凌ぐほどの結びつきを映し出しているかのようだった。
――初恋の正体をリチャードが明かすことは、きっと永遠にない。
だが、それでいい。
二人の未来は、すでに揺るがぬものとして固く繋がっているのだから
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!
実はこのお話には《番外編》をご用意しています。
テーマは「エレノアが初めてリチャードを異性として意識する瞬間」。
雨宿りの東屋で、二人の距離が一気に縮まります。
甘さ多めでお届けしますので、どうぞお楽しみに!
(次の金曜21時に投稿予定です)
感想やブックマークをいただけると、とても励みになります。未来の息子がますます元気に登場しますので、どうぞよろしくお願いします!