委員会の真のトップは。
委員会の拠点に着くと、シャーロットは事務処理に追われることになった。
「励みなさいな、シャーロット。ああ、わたくしも忙しいこと忙しいこと!」
最奥に鎮座して押印しているのはカイゼリンだ。ひたすら書類に判子を押していた。
「ねえ、リヒター? こちら、どうしたものかしらね」
「そちらは、部活動の申請書です」
「それはわかっているわよ。どうしたものかということよ!な、なんですの、このような部活は!?」
よほどふざけた内容なのか。カイゼリンが怒りに震えていた。
「失礼致しました。中等部の男子生徒によるものです。――『美女部』とやらです。直接お伺いしましたが、当人はいたって真剣でございました。なんでも、学園の選りすぐりの女生徒を集めて、嫁を探すという至高の目的があると。そう仰っておりました」
「きゃ、きゃ、却下よ!」
「かしこまりました。私の方にて、先方にもお詫び申し上げておきます」
申請書を受け取ったリヒターは、書類を破いてゴミ箱に入れた。
「ふう。――次も、部活動に関することね。予算増やして、ですって。このままだと廃部だ、ですって。もっと、節約なさいな。こちらも破棄で良いかしら、リヒター?」
「お待ちくださいませ、カイゼリン様。削りようによっては、存続も可能かと思われます。経理に長けた委員もおりますので、その者に向かわせましょう」
「ええ、わかったわ。では、そうしてちょうだい。保留にしておきましょうか」
「寛大なご処置、感謝申し上げます。――ああ、すみません」
カイゼリンから丁重に受け取ると、リヒターは近くの委員にお願いしていた。ついでに、交渉が得意な生徒にも声を掛けていた。
「ねえ、リヒター。次はこちらですけれど――」
「はい、参ります。カイゼリン様」
すぐにカイゼリンの元に戻り、リヒターはまたアドバイスをしていた。
「……」
シャーロットは二人のやり取りを見ていて思った。これはどう見ても――。
「……やっぱ、思っちゃいますよね。リヒターさんありきだって」
隣で作業していた委員が話しかけてきた。他の委員一同、頷いていた。
「ええと……」
シャーロットはどう答えたらよいかわからなかった。確かに、実質リヒターが仕切っているようなものだった。
「でも、カイゼリン様のカリスマ性や、心の広さ。カイゼリン様あっての自治委員会ですからね」
「はい、私もそう思います」
シャーロットはこれには返すことが出来た。これもまた、委員全員で頷いた。
「……っと、リヒターさん見てる。サボっていると思われましたかね。いけないいけない」
リヒターはこちらの方を見ていた。カイゼリンの相手をしながらだった。監視されていたのだと、委員達はより真面目に取り組む。
「――して、カイゼリン様。そちら間違っております。以前も申し上げましたが。何故同じ過ちを繰り返されるのでしょうか」
「な、なによ、リヒター! たまたまだというのに、なんだというのかしら!」
「……失礼致しました。では、別件となりますが――」
リヒターはどこか不機嫌だった。自分達の会話が聞かれていたのかと、シャーロットは考えた。その後フォローをしたとはいえ、カイゼリンを下げてリヒターを上げる発言をしたこと。そのことによる機嫌の悪さだとしたら。
「……気をつけよう」
カイゼリン本人にも当たるほどだ。シャーロットも発言は気にすることにした。
「ん?」




