サボったでしょ。
その後、リヒターは自力で目覚めた。時間ピッタリ過ぎて、シャーロットは一人恐怖していた。その後の授業も送れることなく参加した。
「……なーんか、怪しくね? 二人してサボりとかさー?」
「ううん? 私とリヒターさんは、委員会絡みくらいだし。遅刻確定したから、それなら委員会の仕事しようってなって」
「うっわ、悪い生徒」
早速、隣の席のロルフに突っ込まれた。シャーロットは委員の仕事の関係でと誤魔化していた。
「モルゲン先生、ブチギレてたからなぁ?謝っといたらー?」
「!」
シャーロットは恐怖した。元々謝るつもりだったが、謝りにくくなってしまった。
「っと、次の授業。始まるわー。シャーリーちゃん、サボっちゃだめだぜー?」
「うん、もう、サボらない」
初日でやらかしてしまった。シャーロットは今度こそ真面目に授業を受ける所存だ。
「……?」
ふと、視線を感じた。リヒターからだ。シャーロットが笑ってみると、彼はすぐにそらした。何だったのかはわからずじまいだ。
編入初日の授業はひとまず終わった。放課後となった。
「ジェム様。放課後は委員会の時間です。本日は内務作業になります」
「うん、よろしくね。それじゃ、ロルフ君。また明日」
リヒターが席まで迎えに来た。友人と雑談していたロルフにも挨拶をした。
「おー、頑張ってねー。――でさ、それでどうなったんだっけ?」
もう友人との雑談に集中していた。シャーロットはこう、ロルフの軽いノリが有難く思えていた。なんとなくである。
自治委員会の部屋まで、リヒターは説明をしていた。いつもの彼であるので、シャーロットは先程の謎の視線は気にしないでおいた。
「……おーおー、不良コンビじゃないかぁ?」
不機嫌まじりに声を掛けてきたのは。
「モ、モルゲン先生……!」
シャーロットは恐る恐る振り返る。そこには引きつった顔のモルゲンがいた。
「よー、シャーロット? 初日で俺の授業、サボりとはなぁ?」
「ごめんなさい、モルゲン先生。次こそは気をつけますので」
「ああ、そうしてくれ。あまりサボりが酷いとな? ……『特別補習』な?」
「……!」
モルゲンは妖しく笑った。彼の意味深で思わせぶりな態度に、シャーロットは狼狽えた。
「――モルゲン先生、我々は申したはずですが」
「……っと、自治委員会め。単なる補習だが? 後ろめたいこともないし、なんならお前も一緒に受けるか?」
度重なるコンプラ違反の指摘にも、モルゲンは気にしなくなった。なんなら挑発までしていた。教師とは。聖職者とは。
「気にすることありませんよ、ジェム様。真面目にやっている分には、モルゲン先生も何も言えませんから」
「うん、わかった」
「――では、我々はこれにて失礼致します。行きましょうか、ジェム様」
「うん。では、モルゲン先生。さようなら」
二人はこのまま自治委員会に参加しようと、向かうことにした。
「……おーい。リヒターの方だ。リヒターの方」
密かに観察していたモルゲンは、リヒターに言いたいことがあるようだった。
「まあ、シャーロットもだけどな。でも、リヒターだ、リヒター!」
「要領を得ませんね。大変恐縮にございますが、手短にお願いして頂けますと」
「それだ、それ! 俺とかにはそうだよな。というより、シャーロットにもそうだった。……前まではな」
近づいてきたモルゲンは、眉を寄せながらもリヒターに向けた。
「随分、くだけたんだなぁ? 喋り方変わるくらいにはな」
「……モルゲン先生の気のせいかと存じます」
これで話は終わりかと、リヒターは会話を切り上げた。モルゲンも今はいいかと、それ以上言ってくることもなかった。
「……?」
シャーロットには何のことやらだった。
「……」
そんな彼女を見たリヒターは一人頷く。
「……ええ、気にしないでください。私はこうがいい」
「はい、リヒターさん……?」
結局、謎のままだった。
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