終わってなかった恋。
時は十二月。年の終わりが近づいてきた。シャーロットの店も年末のかき入れ時であり、多忙を極めていた。
この国でも年末ともなると厳かになる。前世でいう大晦日だ。この国においては、身内や静かな人達と過ごすのが定番だった。その大晦日を明日迎えようとしていた。
大晦日前日。本当はこの日も営業する予定だったが、シャーロットは臨時で休むことにした。年末年始の準備もしたいこともあった。
「いやぁ、今年も働いた働いたー。今日はオフぅ」
アルトがカウンター席に座って伸びていた。店は休みだが、アルトが遊びに来ていた。彼は冬休みということもあり、早い時間から来ていた。
「お疲れ様でした、アルト」
「わあ、シャーロットのお茶だ。いただきます!」
シャーロットは彼にお茶を出した。あとこのことにも触れておく。
「それで、お給料の話。今までのもやっぱり、払いたくて。少しずつになっちゃうけど」
「だからいいって。俺が好きでやってるんだから」
アルトはいつもこうして断る。シャーロットはどうしても払いたい。
「悪いよ。アルトの大切な時間使ってもらってるんだよ」
「うん。大切な時間だよ。好きな子の力になれるのに、それ以上のことってある?」
「うん……ん?」
アルトはさらりと言ったが、シャーロットは首を傾げた。
アルトはあの夢の中で解放すると思っていた。彼の思いが詰まったような錠前も自ら壊した。アルトの恋心はそれで終わったものだと。シャーロットはそう考えていた。
「首、こてってした! 可愛い!」
アルトは頬を赤くしていた。テンションも高い。以前のあるとそのままだった。
「アルト、あの……」
「シャーロット。あの時に、俺が終わらせたと思ってたの?」
シャーロットが戸惑っていると、アルトも察してはいるようだ。
「それは、うん……」
「えー。全然だよー? あくまであんな風にさ?シ ャーロットを困らせることはしないってだけだし」
「それは、まあ、うん……」
「ってことで。いつもの俺がいいってなるとさ、こうじゃん? シャ、シャ、シャーロット大好きな俺じゃん!?」
アルトは一人で盛り上がって、両手で顔を隠していた。
「あと、チューとか、アレソレとか。け、け、結婚とか、いつかはしたい! そういうの変わらないんで!」
盛大に照れながら、宣言をしてきた。アルトの思いは変わらずだった。
「……」
いつかは、とアルトは言っている。彼の中では『あの日々』が無かったことになっているのだろうか。今日までの彼の素振りからしても、シャーロットはそう思えていた。だとしたら、彼女としても気まずくなくて済んだが。
「アルト。気持ちは嬉しいけど。私、やっぱり恋愛はちょっと」
シャーロットはアルトのことは好ましく思っていた。それでも、自分の気持ちの方が追いついてない。
「待つよ。君への好意は全開にしつつも、ちゃんと待つから。君が振り向いてくれるまでね」
「……アルト」
「――時間はたっぷりあるからさ?」
「!」
シャーロットはドキリとした。いつか聞いた言葉だった。今のアルトは、『あの頃』アルトとは違うだろうに。――どうしても重なってしまった。




