表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

60/532

独房でのアリバイ証明。

「わたくしはこれにて。約束の日までは誰一人とも迎えには参りません。ごきげんよう」

「はい。ありがとうございました」

 シャーロットは独房の一室に閉じ込めらた。鍵もしっかりと施錠された。

 水が落ちる音がする。生きる為の水道は通っていた。蛇口をひねれば水が出てくるようだ。あとは、トイレだ。窓は人が通れそうもない、外の景色がわかるくらいだ。空は曇っている。

「……」

 静かだ。暗くて、一定のリズムで水音がするだけ。

 静かだ。水音だけ。何も。誰もいない世界だ。

「……」

 シャーロットは腕時計を見る。時間はさほど経っていなかった。携帯していた鞄は取られなかった。手慰みにとカイゼリンが見逃してくれたのかもしれない。

 変哲もない仕事道具や調合した薬だ。新鮮味もなく見飽きたものでもある。でも、することがないので、シャーロットはそれらを床に広げて眺めていた。そして片付けた。思ったより時間の消費にならなかったからだ。

 あとは、モルゲンがくれた通信機器だ。彼は何かあったら連絡をしてくれとは言っていた。

「私は、安全なんだ。あの人に比べたら」

 これから大変なのは、むしろモルゲンだった。彼は、容疑者確定ともいえる行動をとることになるのだから。

 曇り空を通して夜を迎えたのがわかる。シャーロットはろくに眠れないまま、一日を終えた。


 翌朝。この日もまた、曇っていた。シャーロットは眠れはしたが、ごつごつの床で疲れはとれていなかった。

「……大丈夫かな」

 手筈通りなら、今頃ビラが都中にまかれているはずである。内容は。――――女神像の破壊予告。愉快犯だととりあわないのがほとんどだろう。まさか、象徴である女神像が破壊されるなんて。シャーリーだってかつては想像もつかない。

 ただ、モルゲンを信じて待つしかない。シャーロットは祈り続けていた。

 

 夜となった。ここが最も危険といって良いかもしれない。実際にモルゲン達が。

――都の女神像の破壊工作をすることになるのだから。

 といっても、あくまで脅しである。女神像破壊をしかけるも、ぎりぎり位置はずらす。像の近くには大穴を開けはするようだ。――次は本気だぞと。

 もう、関与している。大罪に足を突っ込んだ状態だ。それが、モルゲンの覚悟だった。事の信ぴょう性を増す為に、彼はその手段をとった。

「先生、みなさん、どうか無事で……」

 シャーロットはひたすら祈り続けた。

「リッカ、今頃大丈夫かな……」

 いつもは近くにいるモフモフがいない。彼は心配になる様子も見せていた。リッカも今回こそは巻き添えにならなようにと、シャーロットは願うばかりだった。


 次の日を迎えた。シャーロットはろくに眠れないながらも、生きていられることに感謝した。モルゲン達はどうなったのかもわからない。シャーロットはただ、待つしかない。

 本日。計画通りにいけば、小規模ではあるものの予告通りであった。金糸雀隊も出ることになるだろう。都ならばもっと人員も割けるはずであり、学園にも警備しに来てくれるはずだと。

 この日の夜から深夜にかけて。――女神像を破壊した者が現れるはずだ。

 女神像さえ破壊されなければ、容疑も何もない。ただ、何が何でもシャーロット達を犯人にしたがる傾向があった。どんなこじつけで容疑者にされるかわかったものでもなかった。現に、モルゲンも犯罪しているのだ。

「うまくいきますように……」

 もう空腹過ぎて、お腹もすかなくなってきた。シャーロットはただ、祈りを捧げ続けていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ