鳥籠の夢。閉じ込められたカナリア。
少女は同じ夢を見ていた。
石とは違う、あれはコンクリートというものだ。その建物の屋上で、男性と共に落下した夢。そこで、愛しい人の名を呼んで。終わりを迎えた夢だ。
毎回願うことは、同じこと。
――片桐先生と出逢うことはありませんように。
夢はそこで終わらず。暗転した後、少女にとっては馴染みの場所に移されていた。
「はあ……」
暗闇の中、少女は膝を抱えて座っていた。溜息をつきながらだ。またか、と辟易もしている。
暗くとも、ある程度は確認は出来た。前方を見据える。鉄製の檻だ。その次に上を見る。カーブを描いていた。少女は内側からでも察していた。
これは、鳥籠のようなものだと。少女はこの檻の中で囚われの状態だった。
「鳥かぁ……」
カナリア色の長い髪は、暗闇の中でも目立っていた。
少女は、立って前へと歩いていく。変わりもしないことだが、それでも確認したいことがあった。
「開かない、よね」
試しに檻を掴んで揺らしたり引っ張りはする。これまでも何度も試しはした。結果、手応えは全くなかった。
「ふう。――落ち着いて」
少女は深呼吸すると、意識を集中させた。手に集まるのは、青い光だ。それはやがて、氷塊となる。少女はそれを扉にぶつけた。
鳥籠は揺れるも、それだけ。これもまた、手応えはなかった。
「やっぱり、アレをどうにかするしかないんだ」
鳥籠の扉にかけられたの、錠前だった。中型のが二つ。これもびくともしないものだ。さらに中央にあるものが、一番大きいものだった。
「……」
少女は再び座り込んだ。これは、夢だというのはわかっている。初めて認識した時は夢だとわからず、パニックになったものだが、今は大分冷静だ。
ここでじっとしていれば、やがて朝を迎えるだろうと。少女はいつものことだと、大人しくすることにした。ただ、じっとしていればいい。
「変な夢……」
得体の知れない視線。見守られているかのような視線。嘗め回すかのような視線。それらに耐えれ続けば、いずれこの夢が終わると――。




