開始時点から違うわけでして。
吹雪は止み、朝日が昇る。シャーロットとリッカは暖炉の前で、すっかり寝ていた。
「よし」
シャーロットは手短に支度を済ませた。視線を感じる。起きていたリッカがじっと見ていたのだ。
「シャーリー、もうお出かけ?」
「リッカ。うん、いつもより早いけどね。あの人には悪いけど、まあ、うん」
学園の開門時間に合わせて、シャーロットは出発することにした。今夜届けに来るであろう郵便配達人には申し訳なさはあった。ただ、シャーロットの手には既に推薦状があった。彼を待つ必要はなくなったのだ。
再配達の時に重複したら、処分することにした。
「ごはんとお水、あげるね」
シャーロットが立ち上がると、リッカは尻尾を振った。リッカは後ろ姿の彼女に質問した。
「僕、モルゲンのところいってればいいよね?」
「うん、そうだね。でも、学園までは一緒にいこっか」
「わあ、シャーリーと一緒だぁ」
リッカは体を伸ばしながら尻尾を振った。本当に嬉しそうだった。シャーロットは笑いつつも、彼に食事を与えた。がっつく。
「リッカのお腹が落ち着いたら、出かけようね。十分早いから」
リッカが食べている間に、シャーロットも朝の食事をとり始めた。いつもよりしっかりめだ。
「……」
これから自分がしようといていること。シャーロットは気鬱になりつつも、自分を叱咤した。
――今回が正念場だ。これまで得た知識を、経験を、思いを。シャーロットは無駄にするつもりはなかった。
シャーロットが出かける支度をしている間、リッカもお座りをして待っていた。彼も気合十分だ。
「シャーロット、朝ごはんたくさんだった」
「うん。リッカもね」
今日はたくさん食べる必要があった。これからの予定を考えてのことだった。
準備は整った。シャーロットとリッカは学園へと向かうことにした。
ちょうど開門の時間となっていた。シャーロットは学園の前に立つ。リッカはすでに侵入していた。モルゲンを呼びに行くと張り切っていた。
「――失礼します。当学園にご入用でしょうか」
今回はアルトを伴っていない。シャーロットは門番に呼び止められた。
「突然の訪問、失礼します。シャーロット・ジェムと申します。こちらの推薦状について詳しくお伺いしてくて。それで参りました」
シャーロットは推薦状を門番に見せてきた。紛れもなく本物ではあった。
「失礼致しました。ただいま、上と代わります。お待ちくださいませ――」
「彼女はこちらで預かる」
ざっと足音がした。やってきたのはモルゲンだ。子犬も抱っこしている。学園の教師ならばと、シャーロットをお任せすることにしたようだ。
「シャーロット・ジェム、だな。俺はこの学園の教師で、アインスト・モルゲンだ。今回の推薦の話をさせてもらおうか」
「――はい、お願いします」
この流れのまま、二人は教職員寮の面談室へと向かうこととなった。




