表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

35/532

アルトと学園デート。――乙女心全開編。

 シャーロットは失念していた。アルトとの待ち合わせの場所まで決めていなかったのだ。階段を下りていったところで、寮長とばったり会った。

「おお、シャーロット君。丁度良かった。アルト君が迎えにきていてね。玄関で待っていてくれているよ」

「はい、ありがとうございます」

「――ああ、そうだ。制服も用意されているからね? 君の部屋にすでにあるんじゃないかな」

「はい、わかりました……?」

 突然の制服に関する話。ニヤニヤしている寮長を不思議に思いつつも、シャーロットはアルトの元へと向かった。

 またしても寮生達が遠巻きに見ていた。リッカがモフモフ欲に駆られるのなら、こちらは近寄りがたい憧れの存在といえた。

「……」 

 視線が集まるアルトは居心地が悪そうだった。それでも、彼の顔はパッと明るくなった。シャーロットの姿を見かけたからだ。

「おはよー、シャーリー!」

 アルトは手をぶんぶん振っていた。その姿は大型犬を彷彿させるものだった。

「おはよ、アルト――」

「……あの、さ。シャーリーにお願いがあってさ。制服着てくれないかな? もちろん、嫌だったらいいんだけど! と言いつつも、着て欲しいです、お願いします!」

 アルトが着ているのは制服だった。一方、シャーロットは昨日洗って乾かしたものの、若干汚れが残っているいつもの服だった。

「また待たせることになるけど。いい?」

「全然いいです!」

 それならと、シャーロットは自室に戻ることにした。


「ぐーすぴー」

 部屋に戻ると、リッカは仰向けになって寝ていた。大爆睡だった。が、すぐに飛び起きた。

「はっ!? シャーリー、僕寝てた!」

 そう、リッカは寝ていた。それでもいいんだよ、とシャーロットはええ顔をした。

「うん……」

 リッカはすぐ落ちた。また爆睡していた。

 寮長の話し通り、クローゼットに制服がかけられていた。サイズのことが気になっていたが。

「おお」

 試しに着用してみると、サイズが伸縮し始める。シャーロットにぴったりのサイズとなった。デザイン自体はシャツにブレザー、スカートと定番のものだった。

 アルトが着ていたのも、ブレザータイプのものだった。そういえば、アルトは制服はきちんと着ていた。シャーロットはぼんやり思い出す。

 リボンの種類がいくつかあったものの、シャーロットは待たせるのも悪い気がしたので、一番左のものを選んだ。アルトのネクタイと同じものだったが、色が被っても彼は文句を言ったりはしないだろう。リボンを着用すると、あとはアルトの元へ。


「お待たせ、アルト」

「シャーリー!」

 野次馬寮生達は散り散りになっており、ぽつんとアルトが待っていた。彼には悲愴感は全くなく、終始笑顔だ。

「お待たせ、とか。こんなんデートの待ち合わせじゃんか……!」

 アルトはいちいち萌えていた。制服姿の彼女を見たことにより、興奮もしていた。

「おおお、制服シャーリーだ! こんなん制服デートじゃんか……!」

 シャーロットの周りをぐるぐると回る。三百六十度シャーロットを堪能していた。

「おおお、リボンとネクタイ同じ色だ! こんなん運命じゃんか……!」

「き、奇遇だね?」

 文句どころか、感激までしていた。シャーロットは黙っておくことにした。適当に選んだことを。

「じゃ、じゃあ、行こうか。シャーリー、お手をどうぞ!」

「お手を、って」

 顔を真っ赤にしながら、アルトは手を差し出してきた。手を繋ぐということだろうか。シャーロットが逡巡していると、アルトがみるからに落ち込んでいた。

「だよね、まだ早いよね!……はあ、いつかは繋ぎたいなぁ」

 落ち込みと思いきや、切り替えは早かった。夢まで見ていた。

「そ、そう……?」 

 シャーロットは彼がちょっとわからなかった。抱きしめはするわ、未遂だがキスもしかけてくるわ。かといって、極端に奥手にもなったりする。

「今日はよろしくね」

「よろしくされたんで、頑張ります!」

 張り切るアルトとシャーロットは学園巡りを開始した。


「ね、シャーリー美味しい?ほおばるシャーリー可愛いなぁ」

 学園の購買部は休みということで、外の売店でフルーツサンドを購入した。ベンチで並んで座り、食べている。というより、食べているのはシャーロットだけだ。

 アルトの食は進んでない。胸がいっぱいでとのことだった。

「湖、綺麗だねぇ。シャーリーはもっと綺麗だけど!」

 アルトは一人で照れていた。二人は湖のほとりにいた。済み渡った湖を、二人並んで眺めていた。晴れの時に見せたかったとアルトは言っていた。

 確かに今は曇り空だ。今頃外も吹雪いていることだろう。

「温水プール! 今回は外側から見るだけだけど。水泳部が練習してるし、水着まで用意されてないでしょ? シャーリーの水着姿とか。ああ、にやける……。駄目だ、妄想禁止!」

 こちらの世界に温水プールがあることにシャーロットは驚いていた。それもあって、アルトの話を聞いてなかった。

 ごめんと聞き返そうとすると、アルトは羞恥プレイを強要されたと嘆いていた。シャーロットは距離を置きたくなっていた。

「ほら見て! 綺麗でしょ? ふふ、花と戯れるシャーリーは良いなぁ……。ずっと見ててぇ……」

 そこに至るまでに長い階段があった。実際は自動階段となっており、彼らを乗せて進んでいった。

 そこは空中庭園。季節関係なく、色とりどりの花が植えられていた。空も近く、上から見る景色は絶景あった。

「――で、ここが鈴が鳴る樹。この樹の下で両想いになった二人は、永遠の仲になるんだって……!」

 木々に鈴が鳴っている幻想的な空間に連れてこられた。風の音と共に鈴が鳴る。耳に響く良い音だった。アルトはちらちらシャーロットを見ていた。

 シャーロットはこれまでを振り返り、素直な感想を抱いた。――アルトは乙女だなと。

 そして、彼が案内してくれたこれらのスポットは見事にデートスポットだった。モルゲンが案内してくれた場所と被った場合、初めてのふりが出来るか。シャーロットは気にしていたが杞憂だったようだ。

「告りたいなぁ……。でもなぁ……」

 アルトはまだ、ちらちらシャーロットを見ていた。

学園案内のはずなんですけどね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ