あの子の死を迎えるということ。
シャーロットの手にはすでに推薦状がある。もう学園に向かえる状態だ。支度を終えて、今にでもシャーロットは発とうとしていた。
「シャーリー。僕も行く」
リッカが玄関までついてきた。シャーロットはあの時のことを思い出す。リッカがカイゼリンを襲撃したとみなされてしまったことだ。ただ、間が悪かっただけだったが。
「リッカは……」
シャーロットと出会う前までは、リッカは学園で怯えて暮らしていた。まだトラウマがあったのだ。今回のシャーロットだと、リッカとの時間もほとんどとれていない。
「……僕、お散歩行かない。大人しくしてる。でも、シャーリーと離れたくない」
リッカはぴたりとくっついてきた。シャーロットはリッカに合わせて屈む。
「そっか。うん、私もだよ」
シャーロットだって、リッカとは離れがたい。モルゲンも申請のことを触れていた。ちゃんと手続きさえすれば、リッカも暮らしやすくなるだろう。
「お願いしてみるからね。ほら、カイゼリン様なら許可してくれそうだし」
「……うん!カイゼリン、良い人!」
「だよね」
ちゃんと言えるようになったリッカをシャーロットは撫でた。リッカも嬉しい。
「じゃ、行こうか。アルト来た時の為に、貼り紙も貼っておこうね」
アルトがまだ来ていない。前回のループの時とは違い、さすがにシャーロットが生存していることはわかってはいるだろう。
「アルト、お店の前うろうろしてる」
リッカが鼻をクンクンしていた。
「えっと、いつから?」
「結構前。でも入りたがらない」
「……そっか」
生存しているとわかっていても。アルトは、彼は―。
シャーロットは玄関の扉を開けて、施錠する。そこにいたのは、―泣いてはいないものの、辛そうな顔のアルトだった。
「……シャーロット、はは」
いつもシャーロットを見ると笑顔のアルト。笑顔にはなったものの、泣き笑いであった。
「……生きてるけどさ。……きっついな」
アルトからしてみれば、いきなり放送が鳴って、いきなり彼女を失ったようなものだ。何も出来なかったと無力感にも囚われていた。
「アルト。私はちゃんと生きているから。ほら」
「うん……」
シャーロットの方から彼の手に触れた。温もりが伝わるようにと。ここでいつもなら大喜びのアルトも、沈んだ表情のままだ。
「……学園、行くんでしょ。俺も行く」
それでも、アルトはシャーロットを、前を。まっすぐに見た。
「……ごめん。俺、多分毎回こんなだけど。それでも、君が頑張っているってのに、ぐだついてるわけにもいかないから」
「……うん」
触れてくれたシャーロットの手を、彼はそっと離した。
「ほんとは、このまま手ぎゅってして、そのまま繋ぎたいけど。今は我慢します。行こ、シャーロット、リッカ」
「うん、そうだね―」
家を出発後、都に立ち寄っていく。郵便のことを済ますと、シャーロットは広場へ向かった。アルトとリッカは彼女を待っている間に、女神像への祈りをしていた。都での用が終わると、次は学園へ。




