金色の錠前。
シャーロットは鳥籠の夢に戻された。乗り越えることが出来ず、生命を終えることになってしまったのだ。
「……一日早いとか、なんなの」
シャーロットは戻って早々、溜息をついた。
「……シャーリー」
「リッカ!」
鳥籠の向こうに、白い子犬の姿。リッカがそこにいた。彼の浮かない顔にシャーロットは実感せざるを得なかった。―今回は駄目だったのだと。
「……ごめんね、シャーリー。僕、嫌な予感がして。走ったんだ」
「ううん、リッカ……」
あのリッカは本物だった。彼はエーデル村から全力疾走で駆けつけてくれたのだろう。
「うう、シャーリー……」
「私の方が、ごめんね」
リッカにまた、辛いところを見せてしまったのだ。もっとやりようがあったのにだ。
「……でもね、無駄にはしないから」
「シャーリー……。うん、僕もメソメソしてちゃだめ」
シャーロットは諦めたわけではない。今回で得た情報もあったのだ。
「それで、得た情報なんだけど―」
「うん。うん―」
リッカに共有しておいた。し終えたところで、シャーロットに眠気が訪れる。
「私、眠くなってきちゃった。おやすみ……」
「うん、おやすみシャーリー」
リッカに見守られながら、シャーロットは寝転がった。起きたらまた、十二月の初めに戻るだろう。繰り返しの日々がまた始まる。さあ、寝ようとしたところ。
チャリ、チャリ。またあの音だ。鎖を引きずるような音がした。
「うー……」
リッカが唸り続けている。しばらく鳴っていた音も、音の主が去りでもしたのか。止んでいた。
「……リッカありがと。また、来たんだ」
「また?」
「うん、前にも来てね……」
今回はリッカが追い払ってくれたようなものだ。この件もリッカに共有しておいた。
「っと、寝る前に」
シャーロットは錠前の確認をしていた。大型が一個に、中型が三個。数は変わりないが。
「これは……」
中型の一つが変色してた。―磨きに磨かれた金色の錠前。鍵穴はいたってシンプルなものだが、機械仕掛けのそれは腕のようなものをいくつも伸ばしていた。
『君に対する執着、それが半端ない』
アルトが言っていたことだ。それはこの鳥籠、そしてこの錠前を指していた。
『あなただけです。私の心をこうもさせるのは。あなたが。―シャーロットさんが。あなたといると、私は『リヒター』ではいられなくなる』
あの錠前からどうしても繋がってしまった存在。―リヒターだった。
「……」
いよいよもって、わからなくなってきた。あのリヒターに執着されることはないだろうと。では 一体誰が。シャーロットは首を傾げた。
次から次まで、謎がつきなかった。
いつもの朝が訪れた。シャーロットは今日も生きていることと。
「おはよう、シャーリー」
「おはよう、リッカ」
リッカが側にいてくれることにも感謝し、シャーロットは一日を始めることにした。
繰り返しの日々がまた、始まる。
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