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本当の気持ち(SIDE:ナギ)


ユウが人になったあの日。


一通り話し合った後で


「君のことについて教えてくれないか。」


ついそう聞いてしまいそうになり、なんとか言葉を押しとどめた。




ユウが自分で話す気になるまで待っていようと決めていたのに。


本人も急に人になって困惑しているだろうし、状況を整理する時間が必要だと思い、ひとまず当面は生活できるようにはした。


が、勝手に世話を焼いてどう思われただろうか、とかこの先どうすべきか、と自分の不安が優ってしまい、焦ってしまった。



すんでの所で我に返り、ついでに彼女がこの生活を気に入ってくれていることがわかったのは僥倖だったが。



彼女もこの生活を続けたいと思ってくれているのであれば、私も今できることをしなければ。

そう思い立ち家を出たが、その時彼女がどんな表情で私を見送ったのか、私は全く気づいていなかった。







(……ひとまず現状把握のために情報を集めなければ。)



正規のルートで手紙を送ると送り先を知られてしまうため、おかみさんが息子へ送る手紙に同封してもらった。

今までそんなこと一度もなかったのに、急に息子に伝えたいことがあるからと言われて何も聞いてこないのは、さすがに勘のいい人だなと思う。


(親譲りの勘で、あいつも上手いことやってくれるだろう。)




おかみさんとの世間話ついでに、面白い話を聞くことができた。


今年は春の牧草がよく育ち、村の酪農家は乳の生産量が増えて大喜びなのだとか。

気候は例年とさほど変わっていないとのことだが、牧草以外も好調だったようで原因不明の豊作祭りに村が沸いているらしい。


小麦も豊作だったらしく、おかみさんは朝食用のパンの材料が安く買えたから最近ちょっと豪華にして、常連の宿泊客が驚く顔をみるのが楽しいと笑顔で語っていた。




言われてみれば、最近の村の様子は私が来た頃とはずいぶん違っている。

豊作により食料が安くなり村人の生活にも余裕が生まれたのか、村は来た頃よりも活気に溢れている気がする。


(私の生活はユウが来たから楽しくなったと思っていたが、実際村の雰囲気も明るくなっていたのか……)



「豊作の件もそうだけど、ここ半年ほどあたしの周りじゃいい話しか聞かないね。あ、これ例の子にあげな!また今度顔でも見せに来ておくれ。 あ、はーい、今行くよ!」


おかみさんはそう言って例の豪華仕様の朝食パンを私に手渡すと、宿泊客の手続きで呼ばれていった。






その日は帰宅すると、彼女はすでに寝ていた。

帰りが遅くなってしまったのもあり、先に食事を済ませたようだ。



翌日もなかなか起きてこないので、猫の頃の方が寝起きは良かったな、なんて考えていたが、起きてきた時の顔色が少し悪そうだった。


表情も少し暗く、体調を心配したが「大丈夫」の一点張り。



その日のうちに顔色は戻ったので特に気にせず過ごしていたのだが、

そのあたりの時期から、彼女はたまに寝込むようになった。

生気がない顔で、調子が悪そうにしている時間も増えたように思う。



食欲もあまりないようで、夏バテかもしれないと思ったが

暑さが和らいできた頃には、彼女は好物の甘いパン1つでさえ食べきれなくなっていた。

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