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夢か現か(SIDE:ナギ)


夢を見た。




見知らぬ少女がベッドで寝息を立てている。


どこかウーの面影のある、小さくてあどけない少女だ。


ウーのいつもの寝方と同じように、両手の上に顔を乗せて眠っている。




(この子からも、ウーと同じような安らぎを感じるな。)


そう思いながら穏やかな寝顔を眺めていると、すーっと意識が沈んでいった。











ふと気がつくと、室内で何かが動く気配を感じる。



(大きさ的にウーではない、か。)


完全に覚醒したわけではないが、この手の勘はまだ鈍っていないようで安心する。



戦場でも生家でも、常に命の危険と隣り合わせで生きてきたこの十数年。

気配の察知は生き抜くための必須条件、生存本能ともいうべき能力だった。





どうやら対象は布団に(くる)まり、こちらに背を向けているようだ。

はなから敵意は感じていなかったが、迂闊(うかつ)に程がある。




何やらボソボソと声が聞こえる。



「まずそもそも、猫に戻ればいいのでは? ……よし、猫になーれ!」




一体何を言っているのか。




「……じゃあ服よ出てこい〜〜ぴったりの服着せて〜〜」




……頭がおかしい奴が忍び込んできたらしい。服を着ていないのか。




どうやらうまくいかず、この場を離れようとしていたので

ここに忍び込んだ目的を探るべく捕捉した。




とすっ。




あまりにもされるがままの侵入者に驚く。


いっそ体目的の痴女が紛れ込んだと考える方が妥当性がありそうだ。



「誰?」



念の為目的を吐かせようと相手の顔を覗き込み、驚いた。

その姿は、先ほど夢に出てきた少女そのものだった。






彼女は抵抗するでもなくポカンと私を見つめている。


それはそれは無防備な表情だった。


そして、一際輝く瑠璃色の瞳。




「……その瞳は……」





その色は、ウーの色だ。





よくよく見れば、髪も。

そして雰囲気までも、見れば見るほどウーそのものだった。






……でも、人間の姿をしている。



確かにウーは出会った時から不思議な気配がしてはいたが……

人間になる猫なんて、そんな存在ありえるのだろうか?



少なくとも今まで生きてきた中でそんな話は聞いたこともないし、

いくら考えても、目の前の彼女がウーと結びつく根拠はない。



でも、私の本能は感覚的に「彼女がウーだ」と言っていた。







これはどうしたものか……と思案していると、

囚われの彼女が何やら真剣な表情でこちらをみている。



「……あの、私は…優です! ごめんなさい悪気はないですすぐ出てい」


「ウー?」



「え?」



「……ウーだよね……?」




それは確信に近かった。

でも戸惑う彼女がなんと答えるか、聞きたかった。





「……はい、ウーです。」





安心した。

人になった彼女がもしウーであったならば

それを、これまでの関係を否定されなかったことが嬉しかった。






「よかった、変質者が忍び込んだのかと思ったよ。」



安堵のため息とともに、いつもの軽口が出てしまう。




「……!変質者じゃないです! 着たくないんじゃなくて、服がないんです!!!」




まるで毛を逆立てた猫のように、恥ずかしそうに大声をだすユウはいつものウーだった。


姿形は変わったけれど、いつもと変わらない挙動につい笑みが溢れる。





今までも言葉は通じなかったけれど、きっとこんなふうに色々言ってたんだろう。


こうして言葉が通じるようになって、珍しく自分が気を許した同居人(猫)が

本当の意味で自分の話し相手になったことは素直に嬉しい。


まあ、口ほどにものを言うあの瞳が、これまでも様々な感情を伝えてくれてはいたが。




(きっと今まで以上に、面白いものを見せてくれるだろうな。)




私は笑いを噛み殺しつつ、彼女の服になりそうなものを探した。


ちなみに優はめっちゃ色白です。

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