河豚ちゃん【WEB】
河豚ちゃん
「ねえフグ子ちゃん! ほんとのに行くの?」
「ブグ実が行きたくないんなら、付いて来なくて良いんだよ?」
「ウツボギャングに食べられちゃうよ?」
「大丈夫! 今の時間は鼻提灯膨らませて爆睡してるから!」
「ほんとに? 大丈夫かな? でも起きちゃったらどうするのよ!」
「ブグ実は心配しょうすぎだよ! ここにいればいいじゃん! わたしだけで行くからさ!」
「ブグ子ちゃんは怖いもの知らず何だもん……わたしウツボギャングに追っかけられて怖かったの、今でもトラウマだからさ……」
「ブグ実はここにいて! わたしだけ魅惑の藻食べくるからさ!」
「ブグ子ちゃんモテモテなのってその魅惑の藻食べてるからなんでしょ? わたしモテモテになりたいもん!」
「トラウマ乗り越えれる自身あるの! ブグ実!」
ジッと円らな瞳で見詰め合う……。
静かな海水が流れてゆく……。
「わたし! フグ子ちゃん! わたし乗り越えるよ! だってモテモテになってわたしの子供たち増やしたいもん!」
「そう! なら行きましょう! ウツボギャングなんて怖くない!」
「うん! ウツボ……ギャング……な……んて……怖く……ない!」
「いいわよ! フグ実! 希望の海がわたしたちを祝福してくれるわ! さあ行きましょう! 魅惑の藻を食しに!」
「うん! 魅惑の藻いっぱい食べて、男フグどもを振り向かせて見せるわ!」
「そうよ! フグ実になら絶対てわきるわよ! 行きましょ! 魅惑の藻へと! 案内するわ!」
「うん!」
天狗草紙の影からチラッ覗いたそこには、魅惑も藻が生い茂っていました。
でも今日は……ウツボギャングが目をギンギンにギラつかせてパクパクしてました。
「フグ実! 帰ろっか! 魅惑のヒトデにする?」
「えっ! 魅惑のヒトデもあるの?」
「あるよ!」