ヴァーサ・オーリ
【概要】 ナムゥを中心とした、排斥された者達による新進気鋭の闇組織
【本拠点】 モントリア王国ティスキウ火山
【目標・野望】 裏社会に、ナムゥの人権が保障される社会を作ること。理想郷計画と名付けられたこれは、バシャルが考案したもの。
表社会で排除されたナムゥや、弾圧された異教徒達を中心に、新たなコミュニティを形成しようとしている。活動としては2つ。未だに迫害され続ける同胞達の保護や支援を通じて、ヴァーサ・オーリの組員化を推進する事。もうひとつがナムゥを差別する組織を潰し、縄張りと勢力の拡大を図る。
トゥラーゾ教への復讐は、今の所考えていない。
【活動拠点】
■ジグリス:旧城塞都市にある高級宿を買い取り改装したもの。従業員としてヴァーサ・オーリの支援者が働いている。
■フッサム:本拠点のあるティスキウ火山から少し離れた所にある、ヤラナン地区の廃ビルを再利用したアジト。多くの支援者がそこで生活している。
■キンダージュ:ヤラナン地区の隣、ロズウェル地区の繁華街にある娼館『アドンミン』。社員は全員組員であり、人気嬢のクティータは幹部でもある。
■サロストロ:海向こうの共和国、聖コリュティオールに存在する支部。世界各地からナムゥの親を持って生まれ、捨てられた子どもの養育を行う非営利団体の活動拠点。しかしその実態は、共和国から支援金を巻き上げ、従順な組員を選別し育成する人員補充機関。貿易会社よりも発足が遅かったこともあり、サロストロにおける子どもの数は少ないが、近年徐々に増えつつある。
【組員数】 約100名(拠点で住まわせている組員の親族や、支援者等も含めると10倍以上にもなる)
【特徴】 構成員は人間だけではなく、様々な種族で構成されている。その大半はナムゥ、もしくは異教徒であるが故に、人間社会から追い出された者。他には家族を失った孤児、奴隷商人に売られた幻想種、異教徒であることが多い。人間が多数を占めるものの、意思疎通が可能な幻想種も多く所属している
【仕事内容】 主に詐欺、武器の製造と密輸が主力。近年麻薬の需要の増大を受けて、独自の麻薬開発を進めている。それ以外にもダミー会社『タリク・アル・マジュド』貿易会社の経営、意思疎通不可能な幻想種の密猟・販売もしている。
【資金源】 主な収入源は犯罪行為によって得た金銭(詐欺の割合が高い)と貿易会社の収益が殆どだが、最近では密猟等の副業の収入も増えてきている。また、支援者からの金銭的援助も少なからず存在している
【組員数】 約100名(拠点で住まわせている組員の親族や、支援者等も含めると10倍以上にもなる)
【特徴】 構成員は人間だけではなく、様々な種族で構成されている。その多くは元奴隷であったり、何らかの理由で家族を失った孤児。人間が多数を占めるものの、意思疎通が可能な幻想種も多く所属している
【首領】 バシャル
【首領補佐】 サーラブ
【部隊構成】 大きく『外向4部隊』『内政3部隊』と分類される。
『外向4部隊』
■戦闘部隊:戦闘行為が得意な者が所属する部隊。基本的に全員が戦闘技能を有しており、銃火器、近接格闘など幅広い武器を使いこなす。敵組織との抗争の他、商売相手とのトラブル対応に駆り出されることもあって、所属組員は非常に多い。普段は各拠点とダミー会社の警備などを行なっている。彼らはパックと呼ばれる10人1チームで行動を共にしており、メンバーは仕事内容によって入れ替わることがある。
統括官はライカ、副統括官はワヒドカル。尚ライカはまだ14歳と幼いため、リカオンとクダー両方に所属している幹部、ワヒドカルが時折顔を出している
■商品売買部隊:詐欺・武器製造・密輸の計画と実行の他、取引先との交渉などを行うのが主な仕事。拠点内での事務作業が多くを占め、経営戦略などもここが立てる。また、ダミー会社やサロストロにおける非営利法人の経営にも関与しており、他の部隊の資金調達も行っている。また外界と隔絶された本拠点に物資を購入し、運び入れるのもここの仕事。
これらの仕事は組員と同様に本拠点に住まう組員関係者が担当しており、大半は非戦闘員。仕事内容によっては本拠点を離れ、世界各地のダミー会社の支社で働く者も。
統括官はポルスク、副統括官はクドゥ。
■情報収集部隊:裏社会における、あらゆる情報を収集・解析し、構成員に提供するのが仕事。特に裏社会やその関係者、各組織の動向を探ることに重点を置く。
所属組員はヒトとナムゥ、幻想種がバランスよく存在し、男女比も同等。また子供や老人も所属しているばかりか、組員の関係者も組織への忠誠度テストに高得点で合格して所属しているため、非常に多様性がある。所属組員の大半は、各地に点在するダミー会社とその支社に数名ずつ常駐している。仕事内容によっては世界各国を飛び回るため、高い知識と知能指数、演技力などが複合的に求められる。
フロックと呼ばれる5人1チームで行動しており、よほどのことがない限りメンバー変更はない。
統括官はブーム(刻印の儀でカルーフの傍によってきた婆)、副統括官はハナシュ。
■医療部隊:医術に心得のある者が所属する部隊。基本的に戦闘員ではないが、有事の際には負傷者や重症患者の対応にあたる。戦闘行為こそできないものの、その役割は非常に重要。また、治療が必要な負傷を負った際、組員に応急処置を施すこともある。各拠点に最低1人は配属されており、ほとんどがヒト。ヒサーンの統括官を務めるレンを中心に、本拠点内に大きな診療所を設けている。
統括官は前述の通りレン、副統括官はオセロット(3人全員)。
1章時点で、統括官であるはずのレンがフッサム拠点支部にいたのは、本来着任していた組員が産休に入ったため。
『内政3部隊』
■魔術研究開発部隊:拠点内に充満する魔力の管理や、刻印による火山内の熱や火山ガスへの順応性の監視が主な仕事。他にも、商品や組員として抱えている幻想種やナムゥの研究、新魔術や魔術陣の開発などを行っている。研究内容は多岐にわたるが、基本的には新魔術の開発が大部分を占める。
また、所属組員はナムゥや幻想種が多い。この研究には魔術師組合のある海向こうの島国、『聖コリュティオール共和国』から多額の支援を受けている。世界が魔術黎明期であるため、組織内でも多額の予算を割かれている。
統括官はムダッラー、副統括官はラークーン。
■技術研究開発部隊:機械技術や新商品の開発から、本拠点内にあるインフラ整備を行う部署。本拠点内で行われる機械的な技術開発の殆どが、ここに属している。特に重要である本拠点の設備や装置の整備はここで行われており、ヴァーサ・オーリが本拠点の維持に大きく寄与している。構成員の殆どが世界各地から引き抜いてきた、もしくは彼らから知識を授かった、選りすぐりの技術者。当然ながら非戦闘員であり、ヒトの所属率が高い。
統括官はアンザー、副統括官は最近高齢で亡くなったため不在。
アルスとリームは同じ研究開発部であるため、よく部隊の垣根を越えたプロジェクトを行っている。刻印を組員に与える魔術具や、火山内におけるマグマの通り道(本拠点内における青いマグマの柱)などは、2部隊の共同開発の賜物。
■内政・人材管理部隊:構成員たちの住居の清掃や食事の提供、教育や衛生面などの生活全般をサポートする。また、組員が希望すればその子供の世話や教育も請け負う。ほとんどがどこかの部隊との二重所属だが、一部独立した者も。
殆どが組員の血縁者や本拠点内に住まう彼らの友人、知人で構成されており、ヴァーサ・オーリ内でも断トツで所属人数が多い。仕事内容も掃除や炊事洗濯といった家事が主で、比較的安全な環境にある。
統括官はフォーネ、副統括官はデイン。
【現状の問題】 ヴァーサ・オーリは発足して間も無いため、資金が足りていない。そこで、貿易会社を経営する一方で『世界各地のナムゥの間に生まれた子供の保護と支援』活動をもって聖コリュティオール共和国からの支援を受けらるように仕組んだ。これにより、共和国政府からの印象を良くし、組織運営の足場固めと資金調達を行っている。
近年では麻薬製造にも意欲を見せ、ナムゥだからこそ扱える幻想植物(魔力や魔術を保有した植物類)を加工して、製薬を試みている。
【給与・報酬】
■基本給:部隊により固定給・固定給+歩合給と制度が異なるが、毎月支払われる。
固定給制なのは身の危険がないアサド、リーム、クダーの3部隊。研究職であるアサドとリームは、開発した機構、研究内容の成果と有用性に応じて特別手当が支給される。
一方リカオン、クルキ、アルス、ヒサーンは身の危険が伴うため、基本給に加え、危険度に応じた手当(逃亡手当など)も支給される。そのためこの4部隊は仕事による収入差が大きく、部隊内でも所得格差が激しい。
■支払方法:ヴァーサ・オーリ組織内で特別に作られた、専用口座に居住費と食費などを天引きした金額が振り込まれ、自由に使えるお金となる。ただし、現金化出来るのは外出の必要がある任務時のみで、普段はタンマツ内の専用機構で管理する仕組み。
■副業:特に制限なし。ただし、組織の活動に支障をきたさないこと、情報漏洩の恐れがある業務(カジノや、無許可での風俗店勤務など)は禁止される。
■勤務時間:フレックスタイム制だが、人数に偏りがある場合は勤務時間の交渉を行うことも。毎月行動予定を報告することが義務付けられており、労働時間(未成年の場合は勉学も含む)の割り当てを決める。ただし毎月第1月曜日の10時から12時は、組員は全員出勤義務が生じる他、幹部はその日の午後から、それぞれの所属部隊における定期報告の義務が発生する。
【刻印】 ヴァーサ・オーリ組員が体のどこかに入れている、三日月に剣が突き刺さった模様の刺青に似た何か。傍から見れば弓矢のようにも見える。火山内の一酸化炭素ガスと硫化水素、細かな火山灰に800度を超える高温への耐性および無効化を約束する契約の証……だが、実は火山の化身とも言える幻想種、『マルガラ』の加護を人体に直接刻み込むために、特殊な魔術を用いて作られた、超高度な魔術陣である。
刻印を入れる際の激しい痛みは個人差があるが、大体1日ちょうどで終わる。気絶もしくは眠っている間に現れる鳥籠の世界と喋る三日月は、刻印を通してマルガラが見せる幻覚であり、ヴァーサ・オーリ組員として生きる上での注意説明を兼ねたもの。
刻印は削り落とすことはできず、色褪せていく場合は火山の加護が薄れていることを指す。定期的に本拠点に戻らないと、加護が薄れて本拠点外で呼吸困難に陥る。それでも戻らない場合、最後には刻印消滅と同時に肉体が徐々に砂になって消える。
裏切り発覚の際には、皮膚が削り取られるような感覚と同時に刻印が瞬時に消え、強制的に砂になって消滅する。あまりにも突然のことから、『砂の呪い』をヒトに掛ける幻想種がいると、砂漠大陸では噂されている。
刻印の色は、組員ならば紺であり、加護が薄れると紺→青→水色→無 へと変わる。
外に出ることがほとんどない組員の関係者は白。外に出る時は時計を持たされ、定刻を1秒でも過ぎると瞬く間に砂にされる。
白よりも紺の方が、加護の力は強め。外での活動時間も多く設定されている。
【罰則】 組織内および部隊での決まりを破った場合、または規律を著しく逸脱した場合、もしくは組織運営において著しい支障をきたす恐れのある行為をした場合などには、ヴァーサ・オーリ本拠点より懲罰が下される。
■即刻死刑:脱走、任務放棄、裏切りの場合に与えられる刑罰。刻印を剥ぎ取られて即死となる。
■拷問刑:命令違反、組員同士での殺人や強姦、ナムゥ差別などの『他者に苦痛を酷く与える行為』、組織に対して非常な不利益をもたらした場合執行される。拷問内容は多岐にわたるが、1番多いのは執務区の懲罰室における禁錮刑。時々『悦刑』と呼ばれる、部屋の中に麻薬を薄めた煙を充満させて、正気を削るものもある。性犯罪をした時に下される『見るもの全てが、中年男性の汚らしい局部に見える』刑は、死刑を超えて「されたくない刑罰」堂々の1位だったり……
■減給:軽微なものから重罪まで様々なものがある。不正会計の処罰はだいたいここ。
他、無償奉仕や降格・異動処分があるが、余程のことがない限り命は取らない主義。