世界設定
【惑星の法則】
『テッラ』という地球に似た惑星が本作の世界の基盤となる惑星である。周囲には太陽系に近しい惑星系が存在し、大気の成分や天気、物理法則などは現実世界と同じ。
ただし、魔力と呼ばれるエネルギーの種類が存在し、既存の物理法則に当てはまらない事象を引き起こしている。
また、テッラに生きる全ての生物は魂を持ち、魂は転生を繰り返す。人は人として、草は草として、過去の記憶を持つことなく、まっさらな状態で生まれ変わる。
《陸海空》
大陸と海は2:8の割合で存在し、大きく4つの大陸に分けることが出来る。
①東に存在する寒暖差の少ない大陸、科学技術の先進国がしのぎを削る『鋼鉄大陸』
②西に存在する、後進的かつ砂漠が多くを占める過酷な大地『砂漠大陸』
③南に存在する、自然と資源豊かな世界最大の大陸『蕃境大陸』
④北に存在する、海産と芸術に恵まれた極寒の陸地『凛冽大陸』
【時間】
人間の間で普及している暦は、現実と同じように1年365日、1週間7日(7曜)。
現実世界のような時計は、人工衛星の情報をもとにした高精度のものが出来ている。豊かな国では『時計を携帯していること=富の象徴』とされているが、貧しい国では街中にすら時計はなく、時報を教会の鐘撞き役が行っている。
また、異種族(長命な龍種や魚人種)は季節の感じ方が異なり、人間と同じ四季に加えて、500年ごとに切り替わる『活動節』と『休眠節』が存在する。
人間が春と呼ぶ季節は1つしかないが、長命種には活動節の春と休眠節の春の2種類が存在するのである。
【言語】
世界共通語として、トゥラーゾ教の発祥国の言葉であるゾストリコ語を使う。
トゥラーゾ教が広まる前は、大まかな地域ごとに、使う言語が存在していた。しかしトゥラーゾ教による、大規模な異教徒狩りにより多くが廃れ、訛りへと変化。現在では考古学者や地政学者、トゥラーゾ教に入信していない国や集団だけが、地域独自の言語を使用している。
人間と異種族でも、住んでいる陸地が同じかつ知性が高ければ、会話や文通が可能。ただし魚人族は海域に合わせた言葉を使う(文字の文化は無い)ため、交流が難しい。
【宗教】
世界ヒト口の99%が一神教である『トゥラーゾ教』に入信している。良き神聖典に天使は存在しないものの、トゥラーゾ教の聖職者が、現実世界における天使のような役割を果たしている。悪魔は完全人型のナムゥを筆頭とする、魔術を使う生き物達が該当する。特にナムゥはヒトと外見が酷似していることから、ヒトを害する悪魔として最も苛烈な差別を受ける。
「過去より受け継がれしものを尊び、自己を確立せよ」
という教義のもと、良くも悪くも伝統的な価値観を重視する。過去の文化や信仰を大切にし、新しい考え方や技術に対して疑いを持つ傾向がある。
また共通の敵が目に見えていることで、団結しやすいのも信者の特徴である。
苛烈なトゥラーゾ教の教義に反し、別宗教を大々的に信仰する国もあるが、多くが孤立状態なのが現状だ。
【交通】
豊かな国では、現実世界に似た形状の電気自動車を、庶民であっても保有していることが多い。化石燃料で動くものもあったが、これらの資源が枯渇したことと代替となる燃料がヒトの手では発見できなかったため、乗り物の動力は専ら電気。
貧しい国では馬やロバ、砂漠や平原地帯ではラクダを利用している。勿論車も存在するが、保有できるのは金持ちや国の要人、警官隊や救急隊のみ。多くがインフラの一環として電車はあるものの、貨物運送用途にしか使用されていない。
【通信・情報】
電子技術が大いに発達しているため、タンマツと呼ばれる現実世界におけるスマートフォンから情報を得ている。国ごとのニュースが、毎日指定のネットページやSNSで更新される他、ラジオやテレビも老人達の間で活用されている。そのため、紙媒体の書籍はほとんどなく、新聞もない。図書館の蔵書は電子書籍として読むのが常であり、本の実物は『書籍保管庫』として、国家公務員以外立ち入り禁止となっている。
貧しい国では、未だに街の触れ書きなどの紙媒体による情報収集が基本。図書館では窃盗防止のため、常に司書という名の監視員が同行する。
遠方の人と通信する方法もまた、タンマツを利用する国や集団がほとんど。固定電話代わりのタンマツも存在し、各家、会社内に1つは存在する。手紙文化はほぼ廃れているが、教育を受けた証明として、公的な書類は手書きで書くルールが世界規模で存在している。
【経済】
貨幣制度は殆どの国や地域で施行されており、基軸通貨は『ゾストロ・バローナ』。1バローナは日本円にすると200円にあたる。他にも国ごとに通貨はあるが、多すぎる為割愛。
【人類】
トゥラーゾ教において、ヒトは創造神トゥライゼワにによって創られた被造物とされる。類人猿の化石などが見つかっていないため、世界的に「人類は神(もしくはそれに値する上位存在)が作った」と認識している。
【異種族(幻想種)】
魔術を行使する生き物を総じて、この世界では『幻想種』と呼ぶ。ナムゥと同様、こちらも社会的な地位などは剥奪され、多くがヒトより劣る存在として蔑視されている。そのため命の権利を無視した密猟や、生体売買、奴隷化が1部権力者の間で横行している。
そのため、人間と異なる種族は多数存在しているが、多くが人間と敵対関係にある。ナムゥと分かれば、態度が軟化する種族もいるが、数は少ない。
彼らはトゥラーゾ教徒の迫害から逃れるために、人間の居住地から離れたところで生活している。魔力を多く有し、魔術の扱いに長ける種族は、ヒト避けの魔術などを使用して土地全体を隠す者も。
《生活》
種族によって異なるが、多くが人間と比べて原始的かつ動物的な生活をしている。特に『渡り』をする鳥人や魚人はその傾向が顕著。
《世界との繋がり》
類似する特徴を持つ種族は、同じ住処を共存するため友好的な関係を築くことが多い。また、幻想種同士でも食物連鎖があるため、力の弱い妖精などは他種族と共生をすることで身を守るものも存在する。
ちなみに、ヒトの要素を持つ種族(〇人と分類される種族)は人間と交配可能。その際に生まれた子どもはナムゥとして扱われ、ほとんどが強力な魔術を会得する。
【魔術】
《概要》
魔力エネルギーによって非科学的事象を起こす能力であり、ナムゥや幻想種であれば、練習すれば誰でも使える。使用する魔力量や、効果発現の場所などの指定、術者のイマジネーションにより、同じ魔術を使用したとしても効果が異なることも。魔術習得にも個人差が生まれ、想像力が豊かな者程習得が早く、上達する傾向にある。
魔術に使われる魔力さえあれば、永続的に魔術を使用することが可能。だがその前に、術者や物が劣化する方が早い。そんな魔術でも実現できない事象は『全知全能』など、論理学的に不可能であるものに限られる。
また、ナムゥ同士協力しあって、強大な魔術を行使することは可能。個々人の力量や使用した魔力量によって、規模や効果は柔軟に変化する。
《魔力》
生物の他、惑星テッラに存在する物全てが保有している、エネルギーの総称。テッラの自転により発生する莫大なエネルギーであるため、幻想種などの魔術を使用する生物がいくら使っても枯渇することはない。
全ての生物は食物や空気から魔力を取り入れており、体内に(個人差はあるが)貯蓄することが可能。実はヒトも魔術が使えないだけで魔力を有しており、魔道具によっては魔力だけを取り出すことも可能。
《魔術とトゥラーゾ教》
原理の解明されていないこの能力はヒトに嫌悪されており、魔術が使える者を悪とする風潮が生まれた。
ちなみにトゥラーゾ教には神の力を借りる『奇跡』『神の力』という概念が存在するが、魔術と本質的には全く同じである。使用する者が聖職者であるか、ナムゥや幻想種であるかというだけだ。
トゥラーゾ教を国教とする国では、ナムゥの行動を制約する法が定められている。ヒト前で魔術を使わない(ヒトのみを助ける場合は例外とする)のは最も多くの国が採用している。
法律を破るナムゥや幻想種が現れた場合は、トゥラーゾ教の教会より愛育の師と呼ばれる聖職者が派遣され、儀式として行われる虐殺の為に捕縛しようとする。
《魔力と体力》
生物が魔術行使をする際には、魔力だけでなく体力も必要となる。肉体的な体力と直結している。つまり魔術を使えば使うほど、魔力は消耗し肉体にも疲労が溜まる。また、老化によって体力が無くなると魔力切れも早くなる。
使いすぎると『魔力切れ』となり、初期で貧血や脱水症状、頭痛腹痛など人によって様々な症状を引き起こす。初期状態でも尚魔術を行使すると、『魔力欠乏症』となり、意識の混濁や正常な判断が困難となる。欠乏症の後遺症により、魔術を使用できなくなったり、最悪死亡することもある。
《魔術発動の特徴》
ナムゥや幻想種の魔術発動の際には、目立つ特徴として瞳が魔力の残滓で煌めくことが挙げられる。実は魔術行使の際には血液や粘膜も光っているのだが、瞳と比べると微弱であり、暗闇においても非常に分かりにくい。
《発動までのアクション》
魔術に特殊な動きは原則不要。魔力を使用し、望む効果が得られるように念ずるだけ。
儀式、魔術陣(所謂魔術陣)などを使用する魔術も存在しており、使用用途は3つに分類される。
1)固有魔術を、当人ではない別の者が使用する場合
2)魔力の出力や効果などが全く同じ魔術を、誰でも発動できるようにする場合
3)高度かつ複雑な結果をもたらす魔術を行使する場合
呪文という概念は存在しないが、魔術発動の際に周りへの注意喚起として、魔術の名称を宣言することもある。名称は所属組織によって大まかに決められ、多くが効果を由来とする名付けを行う。
ただし固有魔術に関しては個々人で異なるので、思い思い好きな名付けをする。
ヴァーサ・オーリにおける魔術の名称は、知名度の低いマウレタ語(モントリア王国の旧言語)が使用される。
《固有魔術》
基本1人1つ、固有魔術と呼ばれる魔術を使うことが出来る。中には固有魔術を2つ、3つ有している者も。4つ以上扱えるポテンシャルを有していたとしても、3歳で殆どが誕生日に死に至る(原因不明)。
固有魔術は『極少量の魔力で、多大な効果を発揮出来る魔術』が該当するため、魔力量を問わずやろうと思えば、誰でも使用可能。故に固有魔術が1つしかない者の場合、気付いていないだけで第2、第3が存在する可能性もある。
《魔道具》
魔術の使えないヒトであっても、魔術を出力する道具と魔力を発する物が存在すれば、魔術を使用することが出来る。これを魔道具と呼び、様々な形のものが存在する。ものによって(魔力だけを込めた魔力ビーズなど、魔力のみに関係するもの)は大量生産可能だが、多くは完成までに莫大な時間と材料、魔力に金を有する。
魔道具の効果は、道具に込められた魔力が切れるまで継続する。破壊された場合は、破損した場合の魔術が定められていないものであれば、想定していない魔術の発動(魔術事故)が起こり得る。込められた魔力量により事故の損害は変化するため、魔力が多く込められたもの程、扱いは慎重になる。
《研究・開発》
魔術の研究・開発は進めることすらタブーとされ、国や地域によっては処刑されることも。しかしヴァーサ・オーリ等のナムゥ等が主体となる組織や、ナムゥや幻想種信仰が存在する国では、予算に魔術研究費が多く充てられている。
ナムゥ信仰の厚い群島国家、『聖コリュティオール共和国』では魔術を教える為の国立6年制学校が建てられ、トゥラーゾ教信仰国から大顰蹙を買った。入学資格は『魔術が使えるようになったばかりの者ならばいい』と言う緩さから、老若男女種族問わず、入学者が存在する。