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03 一難去ってまた一難

 私は隣町ナイゼルの冒険者ギルドを訪ねると、ギルド長の依頼を終えたので、この町の住民であるツヨシが冒険者なのか確認しました。


「ツヨシ、ツヨシ……、ツヨシなんて名前の冒険者は、登録されていないね」


 ゴブリンを瞬殺したツヨシですが、冒険者リストに登録されていませんでした。

 ツヨシほどの実力があれば、特B級の冒険者になれると思います。


 クエストにはE〜Aランクの格付けがあり、同等級以上の冒険者しか受注できません。

 冒険者は通常、Eランク(エントリーランク)のクエストを数回こなして、D級に昇級としますが、冒険者ギルドスタッフの推薦があれば()()で、C、B級からスタートできるのです。


 つまり私の見立てでは、ツヨシの実力なら特B級の冒険者になれるでしょう。


「俺、仕事ある」


 ツヨシに説明すると、彼には仕事あり、馬車が突っ込んだゴブリンの巣穴には、仕事で向かっていたらしいです。

 冒険者じゃないツヨシが、仕事でゴブリンの巣穴に行くなんて、どういうことでしょうか。

 モンスターの徘徊するエリアは、一般人の立入禁止区域のはずです。


「あれ、ツヨシじゃないか? お前、ギルドスタッフと何を話しているんだ」

「マイセン! プロテイン!」


 B級のプレートを首から下げる冒険者マイセンが、ギルドの酒場にいた私とツヨシに声を掛けてきます。

 ツヨシは、マイセンが持参していた水筒を受取ると、あの呪文(?)プロテイン、プロテインと唱えて、一心不乱に飲んでいます。


「アリスさん、ツヨシに何か用ですか?」


 マイセンは、私のネームプレートを見て話を続けます。

 私は、馬車がゴブリンの巣穴に突っ込んで窮地に陥っていたところ、ツヨシに助けてもらったと話しました。


「ああ、そういうことですか。これは、ちょっと不味いことになりそうだな」


【何が不味いのでしょうか?】


「アリスさんも、ツヨシの強さが普通じゃないと解りますよね? ここでは、ツヨシの秘密を話せないので、店の外に出ませんか?」


 マイセンが顎をしゃくるので、私は後に続いて冒険者ギルドを出ました。

 ゴブリンの群れを素手で全滅したツヨシの秘密、今にして考えると、マイセンに誘われた私は、きっと好奇心に負けたのだと思います。

 マイセンは、私を人気のない裏路地に連れ込むと、壁際に追い込んで、逃さないように私の脚の間に、自分の脚を差込みました。


 またもや貞操のピンチかと思いましたが−−


「ツヨシは、この世界の人間じゃないから、金の稼ぎ方を知らなくてね。だからツヨシには、Bランクのクエストを受注した俺の代わりにゴブリンと戦わせて、その分け前を渡しているのさ」


 冒険者が受注したクエストを下請けに回すのは、禁止されています。

 クエストの格付けは、冒険者の安全性を考慮して等級毎に発注されており、それが許されるのなら、クエストの格付け、冒険者の等級など冒険者ギルドのシステムが崩壊してしまいます。


「アリスさんは、この金で黙っててくれるかな? それとも」


 マイセンは、私の胸元を開けると、豊満な乳房(小さくはない)の間に金の棒貨を差込みます。

 マイセンは、同時に剣の柄を指で押し上げました。


 たぶん頷かないと、命のピンチです。


 ツヨシは、まだ冒険者ギルドの酒場でプロテインとやらを飲んでいるのでしょうか。

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