夏の日のあなた
夏の夜に揺れる髪 生暖かく濡れた風
逃げ出した線走り 見上げる月はからっぽで
照らされた首筋に 模様を描く細い汗
映された影を見て 消えゆく時を予感する
あなたの顔にはいつだって 儚く漂う夜明けの月が
あなたの眼からはいつだって 糸のようにか細い視線が
小指の先で触れるだけで 削れてしまう堅い脆さ
爆ぜる姿に重なった 影が縫われた遠い過去
夏の夜のあなたの姿 見ずに通った橋の上
横に居た冬の日々 一人で歩く夏の夜
見ることのできなかった 暑さを泳ぐ臆病さ
目を閉じる夜明けまで 見ることのない夏のあなた