06.強くなるには
「ちょこさん。今日から特訓お願いします。」
「うん。じゃあ、移動しよう。」
「どこに?」
「都市外れの橋。」
「どうして、そんなとこまで?」
「邪魔が入らないから。」
「ふーん。まぁどこでもいいけど。そういえば、ちょこさん。」
「何?」
「何か雰囲気変わった?」
「そうかな。普通だと思うけど。」
いや、めっちゃ変わった。
丸わかりなんですけど。
「スザクくん、着いたよ。」
「はい。それじゃあ早速お願いします。」
「うん。まずは普通にかかってきて。」
「はい。じゃあ、行きますよ。」
俺は、ちょこさんとの間を詰め、攻撃を仕掛ける。
攻撃は当たるかと思ったら、剣で弾かれ、また仕掛けると、避けられた。
それで、
「ねぇ、スザクくん。キミのステータス見せてくれない?」
「?別に良いですけど。」
俺はステータスを見せた。
「スザクくん、はっきり言うよ。キミは戦いに慣れてないから、せっかくのステータスを活かしきれてない。だから、攻撃を簡単に弾かれるし、避けられる。」
「なら、どうしたらいいんですか?」
「キミは相手しか見ていない。だから、簡単に弾かれるし、避けられる。だから、相手だけじゃなくて、周りを見る。そして、感じるんだ。相手が何を考えてるのか、どう動くのか。それを感じ取ることが出来れば、攻撃は当たると思う。それを出来るようになるには、実戦で覚えるしかない。だから、次は私から行くよ。」
何を言ってるのかわからないけど、
「はい!お願いします!」
ちょこさんは俺との間合いを一瞬で詰め、左から攻撃を仕掛けてきた。
だから、俺は左の攻撃を弾き、安心していたら、俺は攻撃を受けていた。
わからなかった。
なぜ、攻撃を受けているのか。
だが、その答えはすぐに出た。
「スザクくんは、私のレイピアの攻撃しか見ていなかった。だから、右からのパンチに対応出来なかった。キミは、私の動きの全体を見ていなかった。だから攻撃を受けた。」
俺は、ちょこさんの言っていた事が、全て出来ていなかった。
次は、攻撃を受けないようにする。
絶対だ。
「次、お願いします。」
「分かった。行くよ。」
ちょこさんの武器は、片手剣。
だが、普通の片手剣ではない。
とても 軽い。
だから 一回、一回の攻撃が早い。
目では、追いつけないほどに。
感じなければ、ちょこさんの動きを考えを。
ちょこさんは、俺の背後に周り、切りかかってくる。
俺は、右の手に持っている、ティルファングで弾き、左手に持っている、支給品の短刀で反撃する。
だが、当たらなかった。
ちょこさんは後ろに下がり、剣を構えた。
俺も、二本の短刀を構え待った。
ちょこさんは、8連撃の攻撃を仕掛けてきた。
高速の8連撃を何とか捌き、俺は右足で蹴りを繰り出した。
ちょこさんは華麗にかわしたが、俺の攻撃は終わってない。
右の斬りあげ、そして左の斬りさげ、さらに背後に回り込む勢いで、回転斬り。
でも、当たらない。
「速すぎるよ、ちょこさん。」
「スザクくんもさっきよりは、動けてる。」
「まだまだ、行くよ。」
「はい。」
これが、1週間続いたある日のこと。
俺は、やっと攻撃が当たった。
「うん。スザクくん。キミはもう、ちゃんと周りを見てるし、感じとれている。もう、特訓しなくてもいいかな。」
「ありがとうございました。ちょこさん。それじゃあ、帰りましょう。」
「うん。」
俺たちはまだ知る由もなかった。
これから起きる戦いを。