02.女神との出会い
俺の目の前に広がっているのは、紛れもない俺が昔、転移してきた異世界だ。
だが、知らない建物がたくさん並んでいる。
俺は、いろいろな人に話を聞きまくった。
でもわかったことは、この世界で魔王と神様が生活しているということ、文字が日本の文字からこの世界独自の文字になっていてその文字は異世界共通だということ、今俺がいる場所は街ではなくなっていて、都市になっているということ。
今も冒険者というのは残っているらしいが、俺がいた時とは仕組みが違うらしい。どうやらこの都市の中心部分に100層まであるダンジョンがあり、そのダンジョンのモンスターを倒してドロップしたアイテムや魔障石というモンスターの核を売って得たのが主な収入源らしい。
冒険者になるには、条件があるらしい。
その条件とは、神様に恩恵を授けてもらい、その神様の家族になることだそうだ。神様に恩恵を授けられるとその神様の家族になるらしい。
とりあえず、冒険者になるには神に恩恵を授けて貰わなければ、何も出来ないので俺は神様を探す事にした。
人に神様とその家族が住んでいる場所を教えてもらっては門前払いされ、また教えてもらっては門前払いの工程を何度も繰り返し、もう諦めようとしたとき、遠くから声が聞こえてくる。
聞き覚えのある声だ。この声は俺を異世界に転移する前に聞いた声。
つまり、この異世界に転移させたのは今俺の前で止まった、日本では目にかかれないくらいのプロポーションをもつ女性だ。
「やっと見つけたよ。スザクくん。ごめんね本当は、ボクの前に転移させようと思ったんだけど、調整をミスってしまって。まぁ、この事は置いといて、今はボクについてきてくれるかな。」
「は、はい。」
俺は何も言わずについて行った。それで、ついた先はもう誰も住んでいなさそうな廃墟だった。
「自己紹介がまだだったね。ボクの名前はアルテミス。神様だ。君にこの異世界に転移したのは、ボクの家族になってほしいからなんだ。」
急にそんな事言われてもと思ったが、せっかく家族にするって言ってるんだから、ここは、
「いいですよ。俺冒険者になりたいから、神様に家族にしてくださいと頼んでいたんだ。けど、全部門前払いで。」と俺は微笑を浮かべながら言った。
「本当かい。スザクくん。嬉しいよ。それじゃあ今から、さっそく家族になるための儀式を始めようか。」
「はい。神様!」
儀式は知らないうちに終わっていた。
俺は寝てしまっていたらしい。無事に家族になったのだから、早いうちに冒険者登録をしようということで、俺は神様と共にバベルの塔に行く事になった。
神様の話によると、バベルの塔にギルドがあるらしい。それと俺は神様に、
「神様。どうして俺なんかをこの世界に転移させたんですか?他にもいっぱい人はいるのに。」
「君に言いたい事があったのと、君がティアーナを心配してたから転移させたんだ。」
確かに俺はティアを心配していた。でも今は、
「言いたいこと?」と聞き返すと、神様は、
「君が魔王達に殺されたあと、魔王達はこの世界を創り変えたんだ。始まりの街 アルシアを中心に広大な草原を都市 レアトにし、都市の中心部分に大きな穴を開けダンジョンを作り、そのダンジョンの上に魔王の城を建てた。ボクたち神はこのダンジョンと魔王の城二つ合わせてバベルの塔と呼んでいる。後、君が心配していた、ティアーナは君と同じ転移者と共に魔王の家族になってまだ生きていて、魔王と共にいた神や天使は天界から追放され、今は魔王軍となり活動しているんだ。ボクたち神は魔王軍を討伐するために君を呼んだんだ。ごめんね。スザクくん。」
神様は申し訳なさそうな顔をしていた。だから俺は、
「どうして神様が謝るんですか。ティアは無事、それだけで俺は満足です!」
その時、俺は新たに心に決めたのだ。魔王から神様を守るために、魔王からティアを取り戻しまた守るために、強くなると。