cs_747
cs_747
マップ製作:Stephen"Judas"Superville
テクスチャー製作:"The Postman"
ボーイング747。ジャンボジェットと呼ばれるその大型旅客機は優れた性能・安全性から現在でも生産されている。だが、時に安全性を機体の性能でカバーできないことがある。その代表的な例が「ハイジャック」だ。
「ヤツは約80グラムの爆薬を所持している!・・・しくじるなよ」
激励の言葉としてはやや軽いが、それでも十分足は動かせた。ルートは1つのみ。飛行機の前方貨物室へと繋がるゲートだけだ。燃料を補給しなければならないと機長が嘘を言って飛行機を停めさせ、貨物ゲートを開いているのだ。窓の死角からゲートへ向かう。ちらりと遠方にテレビカメラとリポーターが見えた。あっちは気楽でいい、この馬鹿でかい飛行機が爆発しようがしまいが懐が暖かくなるのだから。
「よし、潜入しろ」
無線で連絡が入った。感づかれぬよう微かな物音にも気を配りながら貨物室内に入る。
こっちは6人。中にいる民族解放運動は2人。つい何時間か前に銃器と爆発物を所持しているとかぬかしやがったクソッタレどもだ。ムショにぶち込まれた仲間全員の釈放を求めている。政府はもちろん応じてなんかいない。そして燃料の到着が遅れているというのは間違いだ、遅れて到着したのは俺達GSG-9だった。無論ヤツらは知る由も無いが。
薄暗い貨物室に進入してすぐに、上へと続く階段を見つけた。ここからが気合の入れどころだ。一歩間違えれば気づかれて終わりだ。マガジンをジャングルスタイルに改造したMP5A5のストックをしっかりと右肩に宛がってゆっくりと進む。慎重かつ迅速に。階段の一段目に足が差し掛かる。足音に気を遣いそうな素材だ。と、不意に横から音が聞こえた。何の音か認識する前に向けた銃口の先には犬の入ったケージがあった。犬は牙をむいてうなっている。・・・最悪だ。もしこいつが吠えでもすればヤツらも異変を感じ取るはずだ。だが、進むしかなかった。犬は1秒とさえ考える暇を与えず馬鹿でかい声で吠えだしたからだ。階段の天井は網のゲートで塞がれていたが難なく開けることができた。素早く階段を上る途中に壁の向こうがわずかに確認できる小さな通気孔を見つけた。向こうにはカーテンが見える。先頭の俺はカーテンから焦点を外さぬまま後ろに合図を送る。「この位置で待機しろ」と。この小さな通気孔のついた壁の向こう側は、今俺達がいる階段とすぐ繋がっている。階段を上りきって網状の扉を開いて右にターンすればカーテンはすぐ左の目の前だ。急襲は可能だが敵の位置が分からない。一人は機長室にいると連絡が入ったが、もう一人は客室後方のどこかということしか分かっていない。下手にドンパチやって乗客に被害が及んだりすれば・・・と、ここまで考えてやめた。冷静さを欠けば命に関わる。
15秒ぐらい待機した頃だろうか。もう既に犬の鳴き声は止んでいたが、つい先ほどまで鳴っていたそれに釣られたバカ1人が近づいてきた。足音を立てないよう慎重に進んでいるようだがカーテンの下の隙間からわずかに足が動くのが見える。一瞬乗務員や乗客の可能性も考えたが、こんな挙動不審なヤツはいない。