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すぎていくおはなし

そうして、それと少女はいくつかの年を通りすぎました。

少女は少女ではなくなりました。

それは心を知りました。


春に花が咲き誇れば美しいと想うし、夏の暑さには辟易するし、秋の散り逝く命には寂しさを感じ、冬の冷たい空気には心まで震わせました。


けれど、言葉を話すことは出来ませんでした。



ああ、あれはあなたと昔に見た花よ。おぼえてるかしら?

勿論それは覚えていました。けれども少女にそれを告げることは叶いません。

もう、あなたったら、ちっとも返してはくれないのね。いーい?花よ、花。一言くらい話してみてよ。


それはだまったままでした。




そうしてまた年月は過ぎて行きます。


少女はそれに寄りかかりながら、語りかけました。


あなたはちっとも変わらないわね。


それはだまったままでした。


でもいいのよ、わかってたから。


それはだまったままでした。


私だけこんなにしわくちゃになっちゃったわ。


それはだまったままでした。


今まで付き合ってくれてありがとう。あなたがいてくれてよかったわ。


それはだまったままでした。


あ、ほら、花よ。あなたと、見た、花…


そう呟くと、少女はゆっくりそれに身を預けて、冷たくなっていきました。




それは、だまったままでした。





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