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第6話: An Unconcealable Heart

五月の最終週。中間試験の疲れを吹き飛ばすかのように, 学校は体育祭の熱気に包まれていた。灰色に沈んでいた教室や廊下を抜け出した生徒たちは, 鮮やかな日差しの中, 色とりどりのクラスTシャツに身を包み, 解放されたエネルギーを思う存분(ぞんぶん)に爆発させていた。応援の歓声と小気味よい音楽, 土埃が舞うグラウンドは, 巨大な溶鉱炉のように熱く昂っていた。


実習生たちにとって, 体育祭は授業の負担から離れ, 生徒たちと一気に距離を縮める好機だった。キム・ユジンをはじめとするほとんどの実習生は, 担当クラスの生徒たちに混じって写真を撮ったり応援したりと, 祭りを満喫していた。しかし, カン・ジフはその騒がしい熱気の中で, 異邦人のように浮いていた。彼は2年5組の生徒が集まるテントの近くに立ってはいたが, 生徒たちの応援や冗談の輪には加わらず, 一定の距離を保っていた。その顔には相変わらず薄い微笑が浮かんでいたが, その笑みは陽光の下でも温かくは見えなかった。まるで精巧に作られた仮面のように。


ユン・シオンもまた, その祭りの熱狂から完全に隔離されていた。彼は5組のテントの隅, 影になった場所に座り, シェイクスピアの戯曲集を読んでいた。周囲の歓声は, 彼にとって意味のないホワイトノイズに過ぎなかった。彼は本の活字によって築かれた堅固な城壁の中に立てこもり, 混乱した感情や外の世界から自分を守っていた。カン・ジフに線を引かれて以来, シオンは再び以前の自分へ, いや, 以前よりも深い孤独の中へと沈み込んでいた。彼の世界は再びモノクロームに戻り, 感じたはずの短い春は, まるで真夏の夜の夢のように遠く霞んで見えた。


ソ・ハジュンがそんなシオンの背中を叩き, ペットボトルの水を差し出した。


「おい, こんな時まで本読んでんのかよ。お前、本当すげえな。ちょっとは立って応援しろよ。後でリレー走るんだから, 体ほぐしとけよ」


「……面倒くさい」


「怪我するぞ。クラス対抗リレー, 去年うちが優勝したの知ってるだろ? 今年もお前次第なんだからな」


シオンは2年5組のリレーのアンカーだった。彼が持ち合わせている唯一の運動神経は, 速くも遅くもなく, 定められたトラックに沿って走る短距離走だけだった。彼にとって走るという行為は感情を排した, 単なる効率的なエネルギー分配と身体力学の問題に過ぎなかった。


午後になり, 体育祭のハイライトである学年別リレーが始まる頃, グラウンドの熱気は最高潮に達した。カン・ジフは実習生という立場上, 生徒の安全管理と秩序維持を手伝わなければならなかった。彼はスタートラインの近くで, 生徒たちがラインを越えないよう制止していた。彼の視線は意識的に, 5組の生徒が集まるトラックの向かい側へ向かないよう努めていた。しかし, 彼のすべての神経は, 生徒の群れの中で無表情にストレッチをしている一人, ユン・シオンに注がれていた。


『怪我をしなければいいが……』


教師として教え子を案ずる, ごく当たり前の心情なのだと, 彼は自分に何度も言い聞かせた。しかし, その心の奥底には当たり前以上の, はるかに深く複雑な感情が渦巻いていた。ここ数日, 彼はシオンを徹底的に避け続けてきた。それはシオンのためでもあり, 何より自分自身を守るための必死の防衛本能だった。生徒に対して特別な感情を抱くことは, 教師として断じて許されないことだった。彼は自分の端正な世界が崩れることを望まなかった。だから仮面を被った。誰に対しても公平な実習生。しかしその仮面の下で, 彼の内面は毎日, 激しい戦争を繰り広げていた。


「パンッ!」


スタートの合図とともに, リレーが始まった。各クラスの第一走者たちが猛烈な勢いで飛び出していく。5組は序盤から順調に首位をキープした。第三走者のソ・ハジュンが次の走者にバトンを渡した時, 二位との差はかなり開いていた。いよいよアンカーのユン・シオンにバトンが渡る番だった。


シオンは定められた位置に立ち, 走ってくるチームメイトを待った。彼の目には, 自分に近づいてくるバトンと, ゴールラインだけが見えていた。周囲の歓声も, ライバルクラスの走者も, 何も意識に入らなかった。


ところがその時, 予期せぬ事態が起きた。

隣のレーンを走っていた3組の走者がコーナーを曲がりきれず, バランスを崩して激しく転倒したのだ。問題は, 彼が転んだ拍子に手放したバトンだった。アルミ製のバトンは無情にも転がり, あろうことかシオンが走り出すべきコースの真ん前へと弾け飛んだ。すべては一瞬の出来事だった。

シオンのチームメイトが目前に迫り, シオンがバトンを受け取ろうと体を前に投げ出した瞬間だった。彼の視界にコースを塞ぐ3組のバトンが飛び込んできたが, すでに加速し始めた体を止めることも避けることも不可能だった。「危ない」と思った瞬間, 彼の足は宙を舞っていた。


「シオン!」


ソ・ハジュンの悲鳴が上がった。5組の応援は一瞬にして驚愕へと変わった。


その時だった。

スタートライン付近で状況を見守っていたカン・ジフの体が, 理性的な判断よりも先に反応した。彼の目にはもう, 他のものは何も映らなかった。ただバランスを崩し, トラックへ叩きつけられようとするシオンの姿だけが, スローモーションのように焼き付いた。心臓がドクリと止まるかのようだった。


「危ない!」


誰が叫ぶよりも早く, ジフはラインを越えてトラックの中へと身を投げ出した。わずか数歩の距離だったが, 彼にはそれが永遠のように感じられた。彼は倒れゆくシオンの背後へと自分の体を滑り込ませた。硬い土の地面の代わりに, 彼の腕がシオンを受け止めた。


ドサッ。二人の体が重なり合い, トラックの上を転がった。ジフは本能的にシオンの頭を抱え込み, 自分の方へと引き寄せた。シオンの体から伝わる衝撃と, 地面に擦れた肘から走る鋭い痛みが全身に広がった。


グラウンドのあらゆる騒音が, 嘘のように止まった。生徒たちの歓声も, 賑やかな音楽もすべて消え去った。数百の視線が, トラックの真ん中で重なっている二人に集中した。


どれほどの時間が流れただろうか。ジフは荒い息をつきながら, ゆっくりと体を起こした。その腕の中には, 驚きのあまり硬直したシオンがいた。


「大丈夫か? 怪我はないか?」


ジフの声は激しく震えていた。彼はシオンの肩を掴み, その顔や手足を必死に確かめた。彼の瞳には, 教師が生徒の安否を気遣うレベルを超えた, はるかに切実で愛惜に満ちた感情が溢れていた。仮面が剥がれ落ちた, 彼の素顔だった。


シオンは何も言えなかった。彼はジフの腕に抱かれたまま, 自分を見下ろす彼の瞳を呆然と見つめることしかできなかった。数日間自分を凍りつかせたあの冷ややかな眼差しは, どこにもなかった。今の彼の目には, ただ自分への心配と安堵だけが満ちていた。土埃のついたジフの頬, 荒い吐息, そして自分を支えるその手から伝わる強い力。シオンは, このすべてが夢のように非現実的に感じられた。


「カン先生, 大丈夫か!」


周囲にいた他の教員や生徒たちが駆け寄ってきた。そこでようやく, ジフは我に返った。彼は慌ててシオンから体を離し, その場に立ち上がった。


「はい, 大丈夫です。生徒の方は……無事なようです」


彼は再び仮面を被ろうとしたが, すでに遅かった。彼の昂った感情は, あまりにも多くの人々に目撃された後だった。特に, 遠くない場所でこの光景を一部始終見守っていたキム・ユジンの目には。


ユジンは氷のように固まっていた。ジフがラインを越えて身を投げ出したあの瞬間, 彼女は見た。それは危険に晒された「生徒」を救おうとする教師の自己犠牲ではなかった。それは愛する人が傷つくのを耐えられず, 本能的に身を投げ出した一人の男の切実さだった。彼の行動には, 一片の迷いもなかった。あの瞬間, ジフの世界にはユン・シオンというただ一人しか存在していなかった。


ユジンの心臓が, 嫉妬と絶望で痛いほど締め付けられた。彼女が切望していたあの必死な眼差し, あの愛おしげな手つき。そのすべてが自分ではなく, はるかに年下の男子生徒に向けられているという残酷な現実が, 彼女を襲った。


騒動の中で, シオンは他の生徒に支えられてゆっくりと立ち上がった。幸い, 大きな怪我はないようだった。しかし彼の視線は, 自分を支える友人ではなく, 人々の中で肘の傷を確認しているカン・ジフに固定されていた。ジフの白いシャツの袖は破れ, その下から赤い血が滲み出していた。


「先生……」


シオンの口から, ほとんど聞こえないほどの小さな声が漏れた。


「血が……」


その声が届いたのか, ジフがわずかにシオンの方を振り返った。二人の視線が空中で再び交差した。数日ぶりのことだった。ジフの瞳が複雑に揺れた。彼は努めて平静を装い, 顔を背けた。


「大丈夫だ。保健室に行って手当てしてくる。競技は中断されたから, クラスに戻って休んでいなさい」


彼の声は再び事務的なトーンに戻っていたが, その中に含まれる微かな震えまでは隠しきれなかった。


その瞬間, 二人は悟った。

カン・ジフは, どんなに抗ってもこの少年から目を逸らすことはできないのだと。

ユン・シオンは, 彼が築き上げた冷たい壁が, 実はいかに危うく脆いものだったのかを。


必死に目を逸らし, 突き放し, 線を引こうとしたあらゆる努力が, たった一度の予期せぬ出来事で崩れ去った。隠そうとすればするほど鮮明になる想い。抑え込もうとすればするほど激しく溢れ出す感情。


体育祭の喧騒の中で, 二人の世界は再び巨大な衝突を起こしていた。そしてその衝突の破片は, もはや二人だけの秘密ではなく, 疑念と嫉妬に満ちた第三者の視線にまで届き, はるかに危険な波紋を予感させていた。


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