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第5話:A Small Ripple

カン・ジフがユン・シオンに対して意識的に線を引き始めてから、三日が過ぎた。その三日間、2年5組の空気は、目に見えないガラスの壁が築かれたかのように微妙な変化を見せていた。カン・ジフは完璧な実習生だった。あまりにも完璧すぎて、かえって非現実的に思えるほどに。彼の授業準備は非の打ちどころがなく徹底しており、説明は明快で、生徒に対する態度は、いかなる偏愛も疑いようがないほど公平だった。彼はもはや特定の生徒に温かな眼差しを向けたり、潜在能力を褒めたり、個人的な会話を交わしたりはしなかった。彼は誰に対しても等しく礼儀正しく親切であり、同時に、誰に対しても等しく越えられない距離を置いていた。


しかし、完璧さは時として生命力の不在を意味する。彼の陰りひとつない公平さはどこか作為的であり、非の打ちどころのない授業は、よく出来た教育番組のように乾燥していた。わずか数日前、古びた一節をめぐって生徒と深い交感を交わし、瞳を輝かせていたあの熱情はどこにもなかった。彼はまるで、精巧にプログラミングされた教育用アンドロイドのように、定められた役割だけを誤差なく遂行しているに過ぎなかった。


この繊細かつ劇的な変化を、真っ先に、そして最も敏感に察知したのは、その冷たい壁の前でなすすべもなく傷つき、混乱しているユン・シオンではなかった。彼はただ、原因不明の苦しみの中でもがいているだけだった。変化の本質と原因を正確に見抜いたのは、ジフに最も近い場所で、最も長く彼を羨望の眼差しで見守ってきた別の存在だった。


共に教育実習に来た同期、キム・ユジン。


ユジンにとってカン・ジフは、この二年間片想いしてきた憧れの対象であり、自分がなりたい未来の教師の理想像だった。二年前、ぎっしりと埋まった大教室で行われた教育学概論の講義。ほとんどの学生がスマートフォンをいじったり、うとうとと舟を漕いだりしている中で、唯一、背筋をピンと伸ばして教授の一言一言を真摯に聴き入る男がいた。彼のノートに華やかなカラーペンはなかったが、自分なりの思考と苦悩が込められた文字がびっしりと並んでいた。文学を語る時には少年のように瞳を輝かせる純粋さ、それでいて教師の役割について語る時には誰よりも真面目で深みのあるその姿に、ユジンは抗いようもなく惹かれた。


今回の教育実習は、彼女にとって夢にまで見た好機だった。一緒に授業を準備し、生徒について悩みを分かち合う中で、自然と距離を縮められると信じていた。実習の第一週、すべては彼女の期待通りに進んでいるように見えた。ジフはやはり優秀で、同期の実習生の間でも一際目立っていた。ユジンはそんな彼を見て誇らしく思い、彼と同じ道を歩んでいる事実に幸せを感じていた。


だが、正確に三日前から、カン・ジフは目に見えて変わった。彼は頻繁に深い考え事に耽り、ユジンが話しかけても生返事ばかりが返ってきた。授業準備に没頭しているかと思えば、ペンを握ったままぼんやりと虚空を見つめ、誰にも悟られたくない苦悩を噛み締めているような表情を浮かべた。ユジンは、彼が初めて経験する実習の重圧や、理想と現実の乖離に苦しんでいるのだと推測した。そして、そうであればあるほど、彼の力になりたいと願った。


昼休み、数十枚のトレイがぶつかり合う騒音に満ちた教職員食堂。ユジンはあえてジフの隣に座り、努めて明るい声で話しかけた。


「ジフ先輩、最近何かあったんですか? まともに眠れていない人みたいに、すごく疲れて見えますよ」


心配が色濃く滲む彼女の問いに、ジフはトレイの上のナムルを無意味にかき回していた箸を止め、顔を上げた。彼は微かに笑った。だが、その笑みはひどく空虚で、見ていて痛々しいほどだった。


「いや、大丈夫だよ。ただ、思ったより生徒を教えるのは簡単じゃないなと思って。自分の力不足を感じているんだ」


「えー、そんなわけないじゃないですか。先輩は誰よりも上手くやってますよ printer。同期の間でも、先輩の授業が一番安定してるってみんな絶賛してるのに。5組の生徒たちも、実習の先生の授業は面白いって言ってましたよ?」


ユジンは心を込めて彼を励ました。だが、ジフの反応は依然として芳しくなかった。


「……そうかな」


彼の返事には、いかなる喜びも安堵もこもっていなかった。まるで自分の話ではなく、遠い世界の出来事を聞いている人のようだった。


まさに、その時だった。食堂の入り口から男子生徒数名が騒がしくふざけ合いながら入ってきて、その騒がしい集団の後ろから、ユン・シオンが一人でトレイを持ち、影のように静かに歩いてきた。他の生徒たちの騒々しい活気とは決して混じり合うことのない、彼だけの孤独な島のように。彼は誰とも目を合わせず、ただ自分の足元とトレイだけを見つめて歩いていた。


瞬間、ユジンは隣に座るジフの全感覚が、巨大な磁石に引き寄せられる鉄屑のように、一点へと張り詰めていくのを感じた。彼の肩が微かに強張り、虚ろだった視線が刃のように鋭くなって食堂の入り口を向いた。その視線はふざけ合う男子生徒たちではなく、その後ろにいるただ一人、無表情な顔のユン・シオンに向けられていた。それは教師が生徒を見る平凡な眼差しではなかった。そこには複雑に絡み合った苦悩と、あえて目を逸らそうとする断固とした意志、そして、それにも関わらず抗いようもなく惹きつけられる磁力のような引力が、危うく混ざり合っていた。


その視線は、わずか一秒に満たない時間だった。ジフはすぐに正気に返ったように、火に触れた人のように慌てて顔を背け、再び自分のトレイへと視線を落とした。そして何事もなかったかのように、さっきよりも激しく料理をかき回し始めた。


だが、ユジンは見逃さなかった。すべてを見た。その刹那に込められていた、彼が隠したがっていたあらゆる感情の渦を。そして、すべてを直感した。


カン・ジフを揺さぶっているもの。彼を眠れぬ夜に追い込み、彼の完璧な世界に亀裂を入れている真の原因。それは教育実習の重圧などではなかった printer。まさにあの少年、2年5組の無表情な生徒、ユン・シオンだった。


ユジンの心臓が冷たく凍りついた。頭の中で数十のパズルのピースが瞬時に組み合わさっていく感覚だった。実習の序盤、妙に5組の授業の話ばかりしていたジフの姿。研究授業の発表時、ユン・シオンという生徒の回答を褒め、一際輝いていた彼の瞳。そして数日前、雨の日の放課後に二人が教室に残っていた姿。そのすべての破片が「ユン・シオン」という名の下に、一つの絵として完成した。


彼女は何でもないふりをして、声を整え、再び口を開いた。今や彼女の声には純粋な心配の代わりに、鋭い試しの意図が隠されていた。


「あ、あの生徒。5組のユン・シオン君ですよね? 前の研究授業のとき見たら、すごく頭が良さそうだったけど。先輩、特に彼を気に入ってるみたいですね。授業中も、彼にばかり目がいっている気がしたんですけど?」


彼女は餌を投げた。ジフの反応を見るための、巧妙に隠された罠だった。


ジフの箸の動きが再び止まった。彼は顔を上げないまま、過剰なほど平穏な、ゆえにそれ以上に不自然な声で答えた。


「気に入っているだなんて。ただ授業態度が良い生徒というだけだよ。教師なら当然、そういう生徒に目がいくものだろう。ユジン、君だってそうだろう?」


「えー、でも一際目立ってるじゃないですか。この前も放課後に二人きりで教室に残って話してるの見ちゃったし。何か深刻な悩み相談でも乗ってあげてたんですか?」


ユジンの執拗な問いに、ジフの表情がついに強張った。彼はゆっくりと顔を上げ、ユジンを見た。彼の眼差しには、鮮明な動揺とともに、自分の最も深い領域を侵されたことに対する鋭い警戒心が宿っていた。


「……ただ本について少し話をいただけだよ。大したことじゃない。教師として生徒の知的好奇心に応えただけだ」


「そうなんですね。まあ、先輩は元々優しいし責任感も強いから。生徒たちにも慕われるでしょうね」


ユジンは柔らかく微笑んで話を切り上げた。だが、彼女の頭の中は冷ややかな怒りと混乱で沸き立っていた。「大したことじゃない」という彼の返答は、あまりにも「一大事」のように聞こえた。彼の過敏な防衛的態度は、むしろ彼女の疑念を、取り返しのつかない確信へと変えてしまった。


その日の午後、実習生室は気怠い空気に満ちていた。ユジンは他の実習生と話をするふりをしながら、ジフの動向を探った。ジフは次の授業の指導案を検討していた。だが、彼の視線は指導案の一箇所に固定されたまま、なかなか先へ進まなかった。ユジンには、彼が何を見ているのか分かっていた。指導案の下段、「習熟度別学習のための生徒名簿」の欄に記された名前。おそらくそこには「ユン・シオン」という名が記されているはずだった。彼はその名前を見ているのか、それとも、その名前をあえて直視できずにいるのか。


嫉妬。それは冷たく粘りつく沼のようだった。ユジンは自分が感じている感情の正体が、単なる恋敵への嫉妬ではないことに気づいた。それは自分の理想であり尊敬の対象であったカン・ジフという存在の完璧さに傷がついたのを目撃したことによる深い失望感と裏切り、そして、あろうことか彼の世界を揺さぶったあの幼い少年への、得体の知れない怒りが混ざり合った、より複雑で暗い感情だった。彼は、そんなことをしてはいけなかった。彼女が愛したカン・ジフは、生徒に特別な感情を抱くような、そんな不安定な人ではなかった。


彼女は小さくため息をつき、独り言のように、しかし周囲の人々に聞こえるほどの声量で、隣にいた同期の実習生にぽつりと投げかけた。


「ねえ、カン・ジフ先輩ってさ。2年5組に、すごくお気に入りの教え子がいるみたいだよ」


その言葉は、静かだった実習生室に小さな波紋を起こすには十分だった。お喋りをしていた他の実習生たちの視線がユジンに集まった。


「え、本当? 誰?」


「ユン・シオンって子。学年一位の子だよ。授業のたびにその子ばかり見ている気がしない? 他の子は質問しても答えられないのに、その子は完璧に答えるから、より可愛く見えるのかな。でも、あんまり露骨だと他の子が可哀想だよね。ちょっと……偏愛ひいきしすぎじゃない?」


ユジンの言葉は悪意の微塵もない、純粋な心配のように装われていた。だが、その言葉は空中に散ることなく、静かな実習生室の中に、粘りつく疑念の種を蒔いた。


「あ、本当?」


「道理で、5組の授業の話になると妙に真剣になるわけだ」


「私もこの前、廊下で二人が話してるのを見た気がする」


他の実習生たちの好奇心に満ちた言葉が、尾を引いて続いていった。


小さな石ころが一つ、静かな水面に投じられた printer。その波紋はまだ目に見えるか見えないかというほど微かなものだったが、確実な同心円を描きながら広がり始めていた。


そして、その波紋の中心にいる二人、カン・ジフとユン・シオン(カン・ジフとユン・シオン)は、自分たちを取り巻く空気がいかに冷たく湿ったものへと変わっていっているのか全く気づかぬまま、それぞれの場所で見えない線を挟んで、互いへの苦しい拒絶を続けているだけだった。ジフは己の感情を抑え込むために、シオンは訳も分からぬ痛みに耐え抜くために。



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