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第11話:The Scarlet Letter

冷たい廊下の壁に背を預けていたキム・ユジンは、ユン・シオンが実習生室を離れ、角を曲がって完全に姿を消すまで、微動だにしなかった。彼女の足元には、ひしゃげた贈り物の箱が、捨てられた感情のように転がっていた。廊下の薄暗い蛍光灯の下、彼女の顔は涙と怒り、そして静かな決意で固まっていた。口づけ、そして未来を誓う約束。彼女がこの二年間夢見てきたすべてを、あの一八歳の少年が、一瞬にして奪い去った。


彼女の片思いは粉々に砕け散り、尊敬していた先輩は、倫理を捨てた破廉恥な男へと成り下がった。しかし、彼女をより一層苦しめたのは、単純な嫉妬や裏切られたという思いではなかった。それは、一種の歪んだ正義感だった。これは間違っている。教師と生徒の関係は神聖なものであり、カン・ジフはその一線を越えた。あの無垢な顔をした少年は、もしかしたらこの関係の危険性を知らない被害者なのかもしれない。あるいは、その逆か。どちらにせよ、この不道徳な関係を正さなければならない。大人として、そして教師を目指す者として、これは自らの義務なのだと、彼女は自分を正当化した。


彼女は震える手でスマートフォンを取り出した。そして、二年生五組の担任であるパク教諭の番号を探し、通話ボタンを押した。数回の呼び出し音の後、疲労の滲むパク教諭の声が聞こえてきた。


「もしもし?」


「はい、先生。私です、実習生のキム・ユジンです」


「おお、ユジンさん。こんな時間にどうしたんだ? まだ退勤してないのか?」


「……お話ししたいことがありまして。その、カン・ジフ先輩のことについてなんです」


ユジンの声は、最大限に冷静で、かつ心配しているように聞こえるよう、細心の注意を払って調整されていた。


「ジフ先輩が最近、ひどく悩んでいるようで。特に、うちのクラスのユン・シオン君のことで。二人の関係が……私の目には少し、心配になるほど近く見えて。教師と生徒としての一線を越えているように見える時が……」


彼女は直接的な告発ではなく、巧妙に疑念の種を蒔いた。それだけで十分だった。老練な教師であるパク教諭は、その言葉の重みを即座に察するはずだ。受話器の向こうで、パク教諭の声が一瞬にして強張るのが伝わってきた。


翌日の金曜日。教育実習の荷物をまとめる最後の日。


学校の空気は、前日とは一変していた。生徒たちは相変わらず、最後の日という名残惜しさと解放感に浮き足立っていたが、職員室を中心に、目に見えない冷気が広がっていた。


カン・ジフは、ほとんど一睡もできないまま登校した。ユン・シオンと顔を合わせるのが怖かったが、同時に最後にもう一度、あの少年の顔を目に焼き付けたいと思っていた。しかし、職員室に入った瞬間、彼は何かが決定的に狂っていることを直感した。パク教諭が冷ややかな目で彼を射抜き、他の教師たちも彼を見ながら意味深な囁きを交わしていた。昨日まで彼を励ましていた温かい視線は、どこにもなかった。


「カン実習生、ちょっといいか」


パク教諭が彼を職員室の隅へと呼び出した。


「昨日、ユン・シオン君と実習生室で二人きりで会ったか?」


「えっ? あ、それは……相談に乗ってほしいと言われまして……」


「相談? 一体どんな相談をすれば、生徒が泣きながら部屋を出て行ったという噂が立つんだ。君、正直に言いなさい。ユン・シオン君とはどういう関係だ。最近、君たちについて良からぬ噂が流れているのを、知っているか?」


パク教諭の追及は鋭かった。ジフは心臓が止まるかと思った。噂。キム・ユジンの顔が脳裏をよぎる。彼女が何か行動を起こしたのだと、その時悟った。


ジフがまともに答えられずにいると、教頭が彼の肩を叩いた。


「カン実習生、校長室へ来なさい」


教頭の顔は硬く強張っていた。ジフは足が震えるのを感じながら、刑場へと引き立てられる罪人のように教頭の後を追った。


その頃、ユン・シオンは教室の席に座っていた。彼は昨日の約束を反芻し、一方では不安に、もう一方では微かな希望に胸を膨らませていた。カン・ジフが教室に現れないのは、最終日ゆえに職員室で整理することが多いからだろうと考えていた。しかし、休み時間が過ぎ、一時間目が始まっても、彼は現れなかった。代わりに、担任のパク教諭が厳しい表情で教壇に立った。


「今日から国語の授業は私が再び担当する。カン実習生の授業は昨日で終わりだったのは知っているな?」

その一言に、生徒たちは落胆の声を上げた。


「えー、残念。カン先生の方が良かったのに」


「ほら、静かに。授業に集中しなさい」


パク教諭は生徒たちの声を軽く受け流すと、冷ややかな視線で教室を見渡した。そしてその視線は最後に、ユン・シオンに向かって正確に突き刺さった。それは、叱責と軽蔑が入り混じった、刺すような眼差しだった。シオンはその視線の意味を図りかねたが、全身の血が凍りつくのを感じた。


それからだった。休み時間に廊下を通り過ぎるたび、生徒たちが彼を見て囁き合うのが聞こえてきた。


「あいつがユン・シオンだって」


「カン先生とデキてたんだってさ」


「デキてたどころか、付き合ってたんじゃない? 昨日、実習生室でキスしてるところを他の実習生に見られたらしいよ」


「マジかよ。だから先生、実習が終わる前にクビ同然で追い出されたんだ? あいつ、完全にタヌキじゃん」


噂はウイルスの如く瞬く間に、そして執拗に広まった。真実と虚偽が混ざり合い、悪意に満ちた想像力が付け加えられ、シオンは瞬く間に「若い実習生を誘惑して堕落させた問題児」に仕立て上げられていた。昨日まで彼を全校一位の模範生として見ていた生徒たちの視線は、今や好奇心と軽蔑、そして嫉妬の入り混じった鋭い刃となり、彼の全身を突き刺した。


シオンは、何の反論もできなかった。彼は噂の出処を探そうとしたが、誰もが匿名の仮面の裏に隠れ、彼を指差すばかりだった。昼休み、一人で食堂へ行く勇気が出ず教室に残っていたシオンに、ソ・ハジュンがパンと牛乳を買ってきて、慎重に尋ねた。


「なあ……本当なのか? みんなの言ってることは全部事実なのか?」


最も親しい友人の目からさえ疑念を読み取った瞬間、シオンの世界は完全に崩壊した。


彼は狂ったようにカン・ジフを探し回った。職員室にも、実習生室にも、彼の姿はなかった。彼のデスクは、すでに綺麗に片付けられていた。電話をかけても繋がらず、メッセージの返信もなかった。彼はそうして、跡形もなく消えてしまった。


すべての授業が終わり、生徒たちが皆下校した後の空っぽの教室。シオンは自分の席に呆然と座っていた。彼は、今や悟っていた。実習生だったキム・ユジンが目撃し、彼女がすべてを暴露したことを。そしてカン・ジフは……数多の噂の中から自分を保護するために、すべての責任を一人で背負って去ったのだということを。実際には、懲罰委員会において彼は「生徒に対し不適切な言動で物議を醸した」不道徳な実習生として烙印を押された。彼の教師としての未来は、昨日という日をもって完全に断たれてしまったのかもしれなかった。


シオンの目から、熱い涙が溢れ出した。申し訳なさ、罪悪感、そして自分を守るためにすべてを捨てた彼への哀惜が混ざり合い、心臓を切り刻まれるようだった。彼が口にした拒絶の言葉が、あの痛切な約束が、ようやく本当の意味で理解できた。彼は最初から最後まで、シオンを守ろうとしていたのだ。しかし、無慈悲な噂は、彼が守ろうとしたシオンをも守ってはくれなかった。


あの日以来、ユン・シオンの名の前には「緋文字」が刻まれた。公式な懲戒はなかったものの、彼は噂と冷ややかな視線という見えない監獄に閉じ込められた。生徒たちは彼を避け、教師たちは彼を問題児として扱った。彼の完璧だった世界は、完全に破壊された。


下校時刻。誰もいない教室で、シオンはズボンのポケットから、数日前の夜に書き綴ったくしゃくしゃの手紙を取り出した。もはや届けることのできなくなったその手紙の上に、彼の涙が染みを作った。


「先生……好きです」


どうしても書けなかったその最後の一文が、彼の泣き声に混じり、空っぽの教室を満たした。

そしてカン・ジフは、生徒を惑わした不道徳な実習生という汚名を着せられたまま、自らの夢と共に消えた。二人の時間はそうして、最も残酷な形で強制的に止められた。互いに手の届かない孤島となり、それぞれの苦痛の中で、あてのない約束一つだけを握りしめているしかなかった。


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