奇跡は起こるよ 何度でも 南雲艦隊
南雲艦隊をはじめとする地球艦隊は異世界から帰還した。場所は択捉島沖である。が…
「どこだ?」
「天測急げ」
「電波入っていないか」
相変わらずである。特に初の経験となった南雲艦隊以外が酷く混乱していた。
「帰ってきたようだな。山口君」
「そのようですね。南雲さん」
「長官、択捉島駐留部隊からです『おかえりなさい』」
「「うむ」」
一旦横須賀に移動した後、各艦に分かれ母港に帰った。アメリカ海軍はハワイに向かったが酷い損傷艦は分離させて横須賀に預ける形を取る。
帰還後、前回のような騒ぎにはならなかった。活躍が目に見えないから。それよりも問題が多く起きる。
損害の多さ。浪漫を信じ手伝いで行ったようなものだ。それで酷い損害が出ている。比叡と霧島の損傷も酷いが大和は上構部がボロボロだった。他には沈んだ艦もある。日本から条約型巡洋艦が無くなってしまった。戦死傷者も多い。
海軍内部ではかなりの騒ぎとなる。
アメリカ海軍も同様だった。アメリカ海軍にもお土産は有るということだった。
ただ責任問題で右往左往する日本と違い、アメリカでは正義のヒーローとして迎えられた。もちろん戦死者の遺族から文句が出たが。
イギリスでのサフォークの出迎えは地味だった。
横須賀鎮守府に帰投した南雲艦隊。
「お土産がいくらかありますが、これで納得してくれるかどうか」
「そうだな。儂はもう司令長官ではないのでな。貴様に任せる」
「酷くないですか」
南雲艦隊の管理するお土産を見に総理大臣がやってきた。
「これがお土産なのかね」
「迷惑料と言っていましたが、次回も期待すると」
「次回が有るだと?」
「ぼかしていましたが、他にも困っている世界は少なからず有るようなことをほのめかしていました」
「軍備の再編と増強か。困るな」
「地球向けではなく異世界向け戦力として整備するなら良いのでは」
「そうは言うが政治的には難しい」
二週間後、異世界帰りの土産がバレた。バレない方が不思議だったがこうも早いと思っていなかった政府と関係者だった。漏れたのはアメリカで、遺族と傷病者への補償問題で土産がバレた。
「この金はいかなるものか。山口南雲艦隊司令官に伺いたい」
そして山口南雲艦隊司令官は国会でつるし上げられていた。
「異世界の管理者と称する存在から、ご苦労賃と戦死者への供養としてです。やましい物ではありません」
「何故早く公表しなかったのですか」
「それは政府とも協議の上、遺族の周辺に混乱を招き迷惑になるとして公表は日を置くことにしたのです」
「何故混乱するのですか」
「このような大金をいきなり渡されてバレたら大変だと愚考します。そしてまだ四十九日も過ぎていない。静かにしてやりたかったのです」
「それは…正しい判断だったと思います。しかし、アメリカで公表した後にまだ公表を控えていましたね」
「それでも静かにさせてやりたい。いけないのでしょうか」
「いえ。これにて終わります」
「**君」
「山口南雲艦隊司令長官に伺います。異世界の管理者とは、神ではないのですか」
「神というと様々に差し障りがありますので管理者としております。また向こうから『自分たちは管理者である。一部では神とも呼ばれるが、自由にしていい』というお言葉を聞いております。管理者が正しい呼び方です」
「ありがとうございます」
遺族には補償として二階級特進時の俸給を年金として支払うことになった。破格の年金であるが原資は土産で賄える。それを聞いた様々な戦争の戦死者遺族が怒るが遺族年金の増額で誤魔化す。戦病傷者にも支援金の増額を行う。
なにしろ土産は破格だった。日本軍に金一千二百トン銀二千トン白金八百トンが渡された。アメリカ軍には金九百トン銀一千五百トン白金六百トンだった。
市場に流せば、日本は連合艦隊の再建が、アメリカは太平洋艦隊の再建が可能になる金額だった。もちろんこんな量を一気に市場に流せば混乱して相場はガクッと下がる。日米とも政府が買い入れ軍備再建と死傷者への補償の原資とした。
日本政府は財布が空なので大いに助かった。イギリスもサフォークに艦の安定を脅かすような金三十トン銀六十トン白金二十トンという土産を積んで帰還したのに驚いた。
そして、この土産を見た政治家が考えるのは日米英共通だった。再度あるなら儲かる。
日米英で軍備増強が始まる。ただ制限付きだ。
地球艦隊全員が管理者と話をして「技術的にはこのくらいまでの所にまたお願いするかもしれません」と言われたのだ。そして、艦隊首脳部のみにこのくらいの所と渡された資料がある。
プロペラ機のみ。誘導兵器無し。致死性の毒ガスは使うな。
地雷や機雷と不発弾は派遣艦隊帰還時に現地から消える。
既存の兵器のみ。今回の装備ならいい。
そういう世界を担当してもらえたら嬉しい。
現地での略奪や暴行などの犯罪を自ら罰せない場合は担当から外します。
次は五年後くらいでしょう。
ほのめかすどころではなく、再度ありますよと明言しているようなものだ。
とても酷い。
軍備再建は五年後に向けての準備なのだった。
各国に向けては「最新兵器ではない。再度の救援要請に向けての準備だ」と明言。他国は、ジェットもない、最新戦車もない、ということで勝手にやればいいと嘲笑していた。
四年半後。
やはり択捉島沖で日米英の艦隊と陸軍部隊を乗せた輸送艦などが再び光り共に消えた。
六年後択捉島沖に帰還。
土産は前回と同等以上だった。イギリス軍は増えた分増えている。イギリスもアメリカに返す戦時債券が多くこれは助かった。
これを聞きつけた各国が参加させろと喚く。共産圏国家を参加させる気はなかった。海軍力皆無だし。もっとも日米英と較べればフランス・イタリア・ドイツ以外は皆無になってしまう。
次は財政が厳しいフランス・イタリア・ドイツを参加させようとなった。
五年後
択捉島沖大艦隊が光と共に消える。帰還は何時になるのか。ブックメーカーで賭けの対象になった。
六年後、択捉島沖に帰還。
単冠湾には一大補給施設が作られている。
また五年後
そうして何時まで続くのか。
奇跡はあるのだった、何度でも。
最後までありがとございます。
貴金属は当時の相場なので安いです。でも量があるので大金です。




