発見
「うっ!…ぐっ!!やめ…はなし……て!」
「お前……今グラドに何をしようとした…。」
く、苦し…息が……
「ちょ、ちょっと!!!ダージリ様!ヒューナは俺の角を少し触っただけです!!攻撃なんかされてません!それに、魔獣と魔族の違いもわかってました!!」
ドサッ!
「…うぅ…。」
(し、死ぬかと思った………。)
公爵様は私の首をつかんでいた手を離し、私を宙から落とした。
(う、さっき蹴られた背中が……。…あぁ、思い出したくないのに…また震えが…)
「…こいつが?…ガタガタ震えているが?」
「いやそりゃダージリ様が突然首をしめるからでしょ!?」
あぁ…なんだか視界がクラクラする…公爵様とグラドが言い合いをしてる…?公爵様に婚約破棄をなくしてもらわないといけないのに…。
(…もう、限界…)
「…だからぁ!…?ヒューナ!?大丈夫!?……あれ?寝た?」
「ほっておけ。勝手に野垂れ死ねばいい。」
「ちょっと………俺、そんな事言うならダージリ様、大っきらいになるよ!!!それが嫌なら今すぐヒューナを家に入れてあげて!!」
「…勝手にしろ。俺は関わらない。」
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「………?」
(あれ?…ここって……)
私は目が覚めるとふかふかのベッドの上にいた。
「あ!ヒューナ起きた?」
「うわっ!びっくりしたぁ!グラド?」
「へへ!よく眠れた?」
グラドはそう言ってベッドに潜り込んでくる。
「えぇ。……あの…ここって公爵様の家?」
「そうだよ〜。昨日はごめんね?ダージリ様、前にも言った通り悪い人じゃないんだ。でもやっぱり人間を信用できないんだと思う。ダージリ様、昔何があったのか分からないけどよく夜にうなされてるんだ…。」
「……そっか。そうなんだ…。」
(そういえば私、家から出たい一心で嫁ぎ先の公爵様のこと何も知らないな)
…知らない?
(……まって。そういえば昨日公爵様に首を絞められかけた時、心の声…聞こえなかった…?)
(いやまって、グラドの角を触った時も?……違う。もっと前、私が舞踏会で公爵様に寄りかかった時も…)
「グラド、!!ちょっと手を触ってみてもいい?!!?」
「え!?う、うん?いいけど…」
でももし勘違いだったら?
心の中で私を罵倒していたら?
(…やめよう。グラドはそんな子じゃない)
私は意を決して、グラドの手にそっと触れた。
「……っ!」
……聞こえない…!
触れても聞こえない、!
「……うっ、う、うわああああ!!グラドおお!!」
どうしよう涙が止まらない。
「え?!?ちょ!なんで泣いて??!」
「うううああ!!ずっと!ずっと嫌だったの!!やっと!やっとおおおおうわあああ!」
「ヒューナ…」
グラドは私のただ事ではない雰囲気を察したのか、そっと私の名前を呟き、優しくハグをしてくれた。
そのハグはとても優しく温かく
なぜかとても懐かしい気分になった。