終わりの始まり
「……ま…ヒューナ様!」
「……あ…ごめんなさい。少しボーっとしていたわ。」
少し目を瞑るだけであの時のことを思い出してしまう。まぶたの裏にずっとこびりついている。
「ヒューナ様…!今日も自分で支度をされるのですか…?」
「ええ。自分でやりたいのよ。」
「ですか、!今日は舞踏会ですよ!それに、婚約者様にも会うのですよ…。」
「……」
「…今日だけでも協力させてください!」
そう言って私の侍女のサタが肩に触れた。
『すごくきれ』
「触らないでっ!!!………前に言ったわよね!私に触れないでと!」
!!
────言い過ぎた、!
「…っ、!も、申し訳ありません…。」
サタの心配そうに私を見ていた目はとっくに消え、大きく瞳孔が開いていた。
「…気をつけなさい。次はないわ。」
私今どんな顔してる?ちゃんとできてる?
必死に取り繕っているこの仮面も、触れられたらすぐに崩れてしまう。
6歳の誕生日、その日私はいつものようにお母様に挨拶をしに行った。そして手が触れた瞬間、私の人生の道が崩れた音がした。
鼓膜の真横でお母様の心の声が望んでもないのに聞こえてくる。
私はひどく動揺し、取り乱してお母様から手を離した。するとあんなにうるさかった声は聞こえなくなっていた。
私はその時に初めて家族に使われるために生まれてきたのだと知った。
そして私は人に触れるとその人の心の声が聞こえる力があるということも。