5話 マリアン師匠
教室に戻り終礼が終わった後、さっきから気になっていた折り畳まれた羊皮紙を開いてみた。
開いてみるとまず目に入ったのは簡単な地図である。
そこには学院も示されており、罰印でなにかが示されていて、そこまでの道筋を表しているようだった。
そして上には一言
【放課後ここに来い】
とだけ書かれていた。
何が示されているのかはわからないが、何が示されているのか気になってしまうので、一度行ってみることにした。
学院を出て地図に示された道筋を辿ると罰印の場所にあったものなレンガ造りの建造物で天井はガラス張りでドーム状になっていた。
ここがいったいどのような施設なのだろうと考えていると、建物内から金髪のエルフ、マリアンがでてきた。
「おお、君やはり来てくれたか。まあ、まず中に入って。」
「あ、では失礼します。」
中に入ると謎の液体で満たされた鍋や禍々しいデザインの杖などいかにも怪しげなものが置いてあった。
「君は授業をした時から気になっていたんだよ。私魔法探知が使えるんだけど君から凄い量の魔力が溢れだしていてね。まあ、魔法探知なんてほんの一部の魔法使いしか使えないから多くの人は気づかないんだけど。」
「そんなにすごいんですか?」
「ああ。例えるならSランク冒険者の魔法使いにも匹敵する位にね。君には可能性がある。そこでだ、君、私の弟子にならない?」
「弟子って具体的にどんなことするんですか?」
「簡単だ。毎日放課後ここに来ると良い。私が魔法を教える。」
魔法は上手くなってみたいという憧れもあったのでSランク冒険者のマリアンに学ぶことは大きな経験になるかもしれない。
突然のことだったが一度弟子になってみるのも良いかもしれない。
「それなら、ぜひお願いいたします。」
僕は答えた。
「それなら決まりだな。とりあえず地下に行って魔法を放ってみない?さあ、こっちだ。」
そうするとマリアンは手招きする。
そこに行くと地下に続く階段があり僕はマリアンの後をついていき下っていった。
するとそこにはなんの変哲もない直方体の空間が広がっていた。
「ここは普段は住居兼魔法の研究室として使っていてここは試しに魔法を使うための空間だ。壁を魔法で強化しているから強力な魔法にもある程度耐えられる。」
マリアンが言う。
「なにを使えばいいですか?」
「そうだな、【破壊光】なんてどう?ある程度どのくらい威力出せるのかを見たいし。じゃあこれ持って。」
マリアンは杖を差し出た。
その杖は木でできていてそこに宝石が嵌め込まれたようなデザインをしていた。
僕はその杖を受け取ると杖を壁に向かって構えた。
「じゃあ、いきますね。」
「全力でいっちゃって。」
「じゃあ、【破壊光】」
すると杖の先から物凄い光が放射され、壁に激突した。
そうするとなんと壁や天井を破壊してしまい、天井の一部に空いた穴からは1階の部屋が覗ける。
「うわぁ、思った以上に凄い威力。魔法のバリア壊しちゃった。」
マリアが言う。
「ああ、壊しちゃってごめんなさい。」
僕は謝る。
「いや、全力でって言ったのは私だし謝ることはないよ。すぐに直せるしね。」
するとマリアンは壊れたほうに杖を向けて魔法を唱えた。
「【土創造】」
するとすぐに壊れた天井と壁を元通りにした。
「そうだ、その杖はそのまま貰ってくれ。魔法を使うのに杖は必要だからな。」
「いいんですか?」
「ああ、杖は私も何十本と持っているからな。」
「ありがとうございます。」
僕は感謝を伝える。
「じゃあ、今日はこれくらいにしとくか。明日から本格的に師匠として教えていこうか。」
「よろしくお願いしますマリアンさん。」
「ぜひ師匠と呼んでくれ。」
マリアンはおどけたように言う。
「はい、マリアン師匠。」
僕は笑顔でそう答えるとマリアンと別れて帰路についた。