2話 宴会
つまり僕は転生していたのだった。
となると茶髪の男が父で金髪の女性が母なのだろう。
ベッドに下ろされた隙に床に降りてみる。
部屋の隅まで行くと鏡がある。
鏡を覗くと現在の自分の姿がうつっていた。
髪色は母親譲りで金髪だった。
そしてその頭にあったものは…猫耳だった。
まあ母の姿をみてからもしかしたらとは思っていた。
そのあとはすぐに母に抱き抱えられベッドに戻された。
その時扉が勢いよく開かれると小さな子どもが現れた。
まあ僕がいちばん小さいのだが。
「××××××××××××××」
何か話してるようだが何か分からない。
僕の知らない言葉なのだろうか。
どうみてもみんな日本人みたいではないようだし当たり前か。
その子どもは男の子で茶髪で猫耳がついていた。
特徴的に僕の兄弟なのかもしれない。
それから僕はすくすく育った。
最初は分からなかった言語も少しづつ分かるようになっていった。
そのうちに分かったこともある。
まず僕の家族について。
まず母はエリ・カティア。金髪の猫耳族である。
父はカイ・カティア。茶髪の人間族の男である。
そして僕には3歳年上の兄がいてあの時扉を開け放った子である。
名前はアル・カティアである。
そして僕はアオイ・カティアで、カティア家の次男として生まれた。
僕とアルは猫耳族と人間族のハーフである。
ちなみに父・カイはカティア商会の会長であり、ここソフィア王国、いやこの世界でも有数の大商人である。
ちなみに今、僕は自室に居てこの世界にある物語を読んでいる。
僕が住んでいる屋敷にはカティア商会の書庫があり、この世界にはどんな物語があるのかと気になって読み始めたのが始まりで、今ではすっかり日課となっている。
その時ドアがコンコンとノックされた。
ドアを開けるとそこには父がいた。
「アオイに話があってね。」
「なに、お父さん」
「今度カティア商会主催の宴会があってね、アオイも5歳になったことだし世間学習も兼ねて一緒に出席しないか?」
そういえば家族や商会関係以外の人と関わりがあまり持てていなかったので、参加してみるのも良いかもしれない。
「はい、お父さん。」
「そうと決まったら、宴会用の服とかも用意しないとな。じゃあ仕事に戻るよ。」
それから一週間後、宴会の日がやって来た。
僕は宴会用の服を着せられ、少し緊張していた。
兄もいたが、顔を覗くと兄も緊張しているように見える。
宴会は屋敷の5、6階の宴会場で行われる。
ちなみに屋敷の1~4階は商会の売場となっていて5、6階が宴会場や書庫など、7、8階が居住スペースとなっていた。
宴会場に向かい、出席する面々が集まると父は中央の壇上に上がり簡単に挨拶をした。
「皆さん今日はお集まりいただきありがとうございます。今日はぜひ楽しんで行かれてください。」
そのあとは父と一緒に僕と兄は着いていき挨拶回りをすることになった。
「あぁ、ガリウス様、今日はお越しいただきありがとうございます。こちら私の息子の…」
「アル・カティアです。」
「アオイ・カティアです。」
僕と兄は自己紹介する。
「おぉ、下の子に会うのは初めてですかな。かわいらしい息子さんですな。どちらかというと母親似ですかねぇ。」
「えぇ、たしかに髪色も母に似たようですから。」
「では、これからもよろしく頼みますよ。」
「ええ、もちろんです。」
父の話によるとさっきの男はカティア商会のお得意先の商人のガリウスらしく、付き合いも長いらしい。
その後も多くの人に挨拶をしていった。
「コリア様、先日は私どもの馬車を救っていただきありがとうございます。」
「いえいえ、一応元Sランク冒険者ですから、朝飯前です。」
「それはさすが。」
父が相手しているのは三十代くらいの男性で、その男は幼いツインテールの茶髪の少女を連れている。
「あぁ、紹介します。こっちが僕の娘のアイナです。」
「そういえばこちらも紹介していませんでしたね。こちらが私の息子のアルとアオイです。」
「アイナです。よろしく。それ猫耳?さわってみたい。」
アイナと名乗る少女は言う。
「そうです。僕は猫耳族と人間族のハーフなので。」
「ねぇ、さわっていい?」
「ああ、はい。」
するとアイナは両手で僕の両耳を撫でるようにさわり始める。
案外気持ちいい。
「娘がすみません。」
コリアが言う。
「いえ、早速仲良くなれたようで良かったです。」
その後は一通り挨拶を終えたようで席へと戻ることになった。
「お父さん、さっきのコリアって人どんな人なの?」
コリアという人が元冒険者というのを聞いて気になっていたこともあって聞いてみた。
「彼はコリアといってね。元Sランク、冒険者で最上位の称号を持つ冒険者でね。今は引退しているが、商会の馬車が魔獣に襲われているところを偶然通りかかったようで、そのときに助けてもらったこともあって特別に宴会に招待したんだ。」
「そうなんだ。すごい人なんだね。」
話を聞いて冒険者についてもっと知りたいこともできたので今度書庫で調べてみよう。
その後はしばらく宴会は続き、宴会が終わるまで僕たちは美味しい料理の数々に舌鼓を打ちながら宴会を楽しんだ。