13話 アルランの大鬼戦
「おはよう、アオイ。」
「おはよう。」
今日は冒険者生活一日目であり、ギルド【青龍】本部でアイナと待ち合わせしていた。
僕たちはどの依頼を受けようかと依頼板を見ていた。
それぞれの依頼が貼ってあって、それぞれ推奨ランクが示されている。
薬草採取など簡単なものから魔物の群れの討伐まで色々ある。
「アオイーどの依頼受ける?」
「そうだな、この大鬼の討伐とかどう?一応僕、前大鬼と戦ったことあるし。」
「大鬼と戦ったことあるの?」
「うん。前マリアン師匠と迷宮探索をした時にね。」
「そっか。やっぱすごいね。じゃあやってみよう。」
その後受付に行き依頼を正式に受けることにした。
依頼の詳細な内容はここ王都テシリアから北方に20キロメートルほどの町アルラン周辺に最近大鬼が頻繁に出現するらしく、その討伐をすることで推奨ランクはBとなっていた。
まあ僕には今まで師匠の元や学院で学んだ魔法がある。
少し位高いランクでも大丈夫だろう。
僕たちは移動のため乗り合いの馬車に乗り、アルランまで向かうことにした。
この馬車は王都アルランから北に向かいサルヴァという町まで向かう馬車で、その途中のアルラで下車することとなる。
しばらく馬車に乗ってアルランに到着した。
アルランは西を海に面する人口一万人程の町である。
馬車から下車するとどこからか騒ぐ声が聞こえた。
「アイナ、行ってみよう。」
「うん。」
そうして声のする方向に向かっていくと、大鬼が二体、町の通りを堂々と歩いていた。
「【破壊光】」
僕は魔法を唱え、大鬼一匹を仕留める。
「とりゃあ。」
アイナがもう一匹が振り下ろした金棒を受け流し、そして剣で大鬼を仕留める。
「おお。」
「やったぞ。」
町の人々から歓声が上がっている。
すると向こうから茶髪の男性が駆けつけてきた。
「もしかして、依頼を受けてくれた冒険者かい?」
「はい、大鬼の討伐依頼を。」
「やはりそうでしたか。私はこの町周辺の領主をしております、ラデン・ディトールといいます。」
「冒険者のアオイです。」
「アイナです。」
僕とアイナは名乗った。
「早速ですが、大鬼の現状について話していきますね。一月ほど前のことです。町中に数匹の大鬼の侵入を許してしまいまして、住人などにも負傷者が出てしまったんです。元々この辺りで見るような魔物でもなく、住民からの心配の声もあり、傭兵にこの周辺を調査させたのですが、そこで多数の大鬼がこの町周辺に出現していることがわかったのです。その後も大鬼による住民への被害が相次いでいてぜひとも討伐をしてもらいたいと依頼したのです。」
「討伐は任せてください。」
僕は言った。
「大鬼討伐するぞー!」
アイナも続けて元気よく言った。
「それは頼もしい。ぜひともお願いします。」
「はい。」
「はい。」
僕とアイナは返事をした。
その後僕とアイナは大鬼が多く出現しているというアルランの町の東方の森林に来ていた。
「うわぁ、めっちゃいる。大丈夫なのこれ。」
「結構いるね。でもどうにかっ【雷】」
咄嗟に迫ってきた大鬼に魔法を放つ。
領主さんが言っていたように大鬼がうじゃうじゃいた。
大鬼がここまでたくさんいるのも迷宮以外だと大分珍しい。
「【破壊光】」
眼前に迫る三匹の大鬼をまとめて倒す。
その間にアイナも斬撃によって数匹大鬼を倒す。
「そろそろ本格的に倒していくぞー」
アイナがそう言うと大鬼相手にどんどん勝利していく。
さすがは学院で剣術トップの成績を修めていたアイナだ。
僕も負けてられない。
本格的にアルラン周辺の大鬼の殲滅に取りかかろう。
「【光触手】」
僕が唱えた魔法から放たれる光は幾重にも別れ、前方の大鬼をまとめて倒す。
「【防御】」
そのすきに後ろから迫ってきた大鬼の振り下ろした金棒を防御魔法によって防ぐ。
「【破壊光】」
そして魔法によって倒していく。
それからどれくらい戦っただろうか。
ここ周辺の大鬼はほとんど倒したようだ。
辺りには倒した大鬼が落とした魔石がたくさん散乱している。
「よし、大鬼もいなくなったみたいだし、魔石を回収しよう。」
魔石は討伐の証となるのでしっかり回収しなければ。
「わかったアオイ。すぐ集めるよ。」
アイナがいった。
一応まだ残っている大鬼が居ないか【魔力探知】を使って調べてみよう。
「【魔力探知】」
すると東の方向に大きな魔力を感じた。
いったい何がいるのか。
僕は嫌な予感がしながらも東の方向に目を凝らしてみる。
すると遠くに見えたのは大鬼の大群だった。
およそ三百匹程の群れがこちらのアルランの町のある方に向けて歩いてくる。
このままでは町が危険にはさらされてしまう。
「アイナ、あっち!」
僕はまずアイナに危険を知らせた。
「うわ、あれはまだあんなに大鬼が!」
「このまま進むと町の方に行っちゃう。食い止めないと。」
「よし、あれくらい全部倒してやる。」
アイナはやる気を出したようだ。
そして僕たちは大鬼の群れに向かっていった。