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鍵の持ち主  作者: となり
日常編
1/52

東京から

 

 信号が青から赤に変わる。


 そして何人もの人が足を止める。


 この街の音はすべて車のエンジン音が支配している。


 東京都内。


 「やかましぃ~~」

 ニット帽を被っている15歳の少年が顔を青くしながらそう呟いた。彼の名前は 水月リリ。学校にも通っていない不真面目な男の子だ。

 そんな彼は今、電車に乗っている—————


 


 横の席のおじさんが不思議そうに聞いてきた。

「ボク、こんな時間になんでこの電車に乗ってるの?」

 

 話しかけてきやがったーだるいな、と心の中で愚痴を溢す。

 「おばあちゃんのところに帰省してるところー」

 適当にあしらいつつ、俺は席を立ち電車を降りる。

 乗り換えに乗り換えを重ねて、ようやく辿り着いた。

 

 

 東京から何時間もかけて来たのは兵庫県神戸市北区。

 

 お世辞にも栄えてるとは言えないなぁ、、、

 そんな事を考えてつつ、無心で歩く。

 いつものルートで山道をズンズン進んでいく。

 そして、人気のない場所にポツンと建っている小屋に入る。


 その小屋には地下に繋がる梯子があり、スルスルと地下に降りる。

 地下室には明らかに財産を隠してそうなボルトルームが存在する。その扉についている鍵穴に向かって一礼。おもむろにポケットから古びた鍵を取り出して、鍵穴に差し込む。




 ガチャ




 扉を開くとそこは—————————

 

 

 異世界である。

 

 空は青色。


 自由に飛び回る何匹もの鳥。

 

 この世界の音はキレイである。


 湖のほとり。


 東を向けばレンガ造りの家が並んでいる街。

 西を向けばツリーハウスの多いジャングル。


 思いっきり空気を吸い込む。

 「おいしぃーーー」

 味なんて感じないけどなんか美味しい気がする。多分。

 

 湖のほとりにポツンと建っているキレイな二階建ての家に入ると早速仕事の依頼が来ている。

 

 木造の観覧版に紙が貼られていて、依頼内容が書いてあるのだ。 

 

 「売りに出す果物の選別にうってつけのものを。果物を傷つけないものを。ソロモン王国三番商店」


 

 お!ちょうどいいじゃん、と興奮しながらカバンをゴソゴソと漁る。

 

 

 ショルダーバッグから百均で買って来たシールを取り出してすぐさまバックにシールや食料、その他もろもろを入れ込み、刀を装着して家を飛び出した。

 

 この世界の悪いところは倫理観がおかしいところだ。

 盗賊や山賊は躊躇なく殺してくるし、領土争いで皆殺しにされた、なんて話もよく聞く。

 なので武器を持っていないと攫われる対象になったり、舐められてしまう可能性もある。刀は重いから付けたくないけど、仕方ない。


 こうして依頼された商品を売ったりするのも俺の仕事の一環である。商品に限らず、情報や人、人以外の生き物も売ったりする。俺の仕事は商人と似ている。


 

 そんな事は気にせず、今日も困っている人のために足を一歩踏み出す。

 



 

 


 

 

 


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