第99話 幻影の真実①
微妙な気まずい空気が流れる。
一体どーすればいいのよっ!
『我は、この体から出ていかない』
……やっぱり拒否するのね。 どうすればウィンに肉体を譲ってくれるかな?
『別に、我はお前たちに意地悪したいわけではない。 だからそんなに殺気立つな』
あれ? 無意識に殺気出してた☆
『我はもちろんおぬしより強いが、強者であるおぬしの殺気を受けて平然とできるほど強くもない』
ウィンリー様はそう言い、悲し気に目を伏せる。
あ……すいませんでした。
そんな顔されたら、なんか申し訳なくなるじゃん。
『我は、前世でひどい目にあった。 強すぎる力に皆は恐れ、疎み、迫害を始めるのじゃ……』
「「……」」
そうだ。 たしかに言っていることは正しい。 私も、強力な力故にみんなに恐れられてる。 疎まれているかは知らないけど、、、“金髪の悪魔”って二つ名つけられて、陰口言われている。
『雪の女王の片割れであるおぬしも、成長すればいつか地獄の苦しみを味わう』
友達が地獄の苦しみを味わう……? そんなの絶対に私が耐えられない!
『そうなる前に、愚かな者共の行動を知っていて欲しいのじゃ。 それでもし、許せないのなら、、、共に世界を滅ぼそう――!』
何でそうなったーー!? でも……そう言って妖しく笑うその姿にはマジで惚れそう……。
「へん! 世界を滅ぼす? ふざけんじゃないよ!」
ウィン……。 かっけぇ!
「そしたら一生美味しいもの食べれないじゃん!」
おい! せっかくかっこいいこと言ってたのに台無しじゃん!
『……我の前世を見てもそう思えるかな?』
ウィンリー様から眩い光が発せられ、景色がどこかに移動する。
「う~ん! やっとあの牢屋から脱出できたのじゃ!」
草原の上で無邪気に笑い、寝転ぶ少女はおそらくウィンリー様。
これはきっとウィンリー様が見せている幻影だね。
「そうだね、でも……元はと言えばウィンリーが悪いでしょ!」
「うっ」
「ウィンリーが狼ごときで『終末の吹雪』を放つから……」
プンプンと怒っている少年はリバーにそっくりだった。 多分、リバーの前世だな。
「でもぉ、雪の精霊と知った瞬間、いたいけなくて、か弱い幼女を殺そうとするのは違くないかのぉ?」
喋り方は老人だけど、見た目5歳くらい。 なのに命を狙われたの!? こんな可愛い子を襲うなんて、くそ野郎だな。
「――‼ リバー」
「うん、誰かが襲われている。 助けに行く?」
「もちろん!」
ウィンリー様達が森の方へ走っていく。 それに合わせて私たちの視点も移動していく。
さすが雪の女王の幻影だね!
「『――終末の吹雪――』」
ウィンリー様がそう唱えると、、、森の一部が消滅した。 ウィンの魔法より何倍もやばい。 これは、、、皆が怯えるのも理解できるかも……。
そして、何より驚いたのが、、、ウィンリー様が救ったのはシーちゃんだったってこと‼
シーちゃんの前世!? 薄々というか、もう気づいていたけど、びっくりだわ!
……幼い頃のシーちゃん、かーわーいーいー! 幼いころから天使なのがにじみ出てるっ!
「おぬし、大丈夫か?」
「は、はい……」
「……おぬしもどうせ我を怖がるのだろう? そうなるんなら助けるべきではなかったかな……」
ウィンリー様が自傷めいたことを口からこぼす。
「――! そんなことないですっ! こんな私を助けてくださり、ありがとうございました! 一生かけてこの御恩は返させていただきます!」
「……おぬし、名は?」
「ないですっ!」
ないの!? いやいや、ないことをそんなに自信もって言わないでくれ。 余計胸が痛むから……っ!
「なら、、、これからは“シー”と名乗れ」
「! ありがとうございますっ!」
シーちゃんの名前ってウィンリー様がつけたんだね。 いい名前だ……!
ん? でもなんで今もシーちゃんの名前は“シー”なの? 転生したんだから、親がつけたはず……。
……きっとシーちゃんが狂気的な何かで無理やり変えたのかな?
うん、深く考えないでおこう。 深く踏み込むと、、、最悪死ぬ!
今更ですが、『内気すぎる最強令嬢の勘違い英雄譚〜わ、私は英雄なんかじゃありませんっ!〜』という短編をかきました。
そちらもぜひ読んでみてください!
いや、絶対読んでくださいっ!




