第97話 シーちゃんの愛が重すぎるっ!
「さ、さささぶいぃぃぃ‼」
ここは『呪いの雪山』。
以前、一回だけ来たことがある。ここにウィンの家があるから……しぶしぶね。もう絶対行くまいと思っていたけど、まさかもう一度来ることになるとは……。
シーちゃん曰く、ここにウィンの前世であるウィンリーの遺体が眠っているらしい。
『呪いの雪山』の伝説(?)というか噂は本当だったんだね……。
以前来た時、たしかシーちゃんが『ウィ……様…復…は……遂げ……ましたよ……』的な事言っていたけど、今思えば『ウィンリー様、復讐はちゃんと遂げましたよ』みたいなこと言っていたんだろうね……。
ちなみに、眠り姫となっているウィンは、ナイトがおんぶしてくれているよ!
誰がウィンをおんぶするか決める時、ナイトが自ら志願したんだけど、その時のシーちゃん、少し殺気立ってた……。 シーちゃんはナイトが好きだから、これは可愛い嫉妬ってことかな? でも、この嫉妬は全然可愛くない! 小突かれただけで死ぬよ? シーちゃんは怪力だからなぁ。
もちろん、ウィンの母のコヨウさんもおんぶに志願したけど、魔王の実験による怪我が治っていないから強制的に辞退させた。
体中の骨が折れ、魔力も元に戻ってないのによく志願出来たな……。
いいね、親に愛されてて。 私なんか親に間接的だけど殺されかけたもん。 私が生きてるって知ったら殺しに来るかも……。 瞳孔が完全に覚醒したから、今の私の目はすっごく目立つ。 いつかバレちゃうな……。
うーん、シーちゃんみたいに隠せたりできないかな?
ウィンを助けたら聞いてみようかな?
「着いたわ。 この洞窟の先にウィンリー様のご遺体があるわ」
山の頂上に大きな洞窟がある。 自然では絶対に出来なさそうな構造をしている。
なんかキラキラと輝いていて、感傷に浸っていたらシーちゃんがスタスタと洞窟に入って行ってしまった。 それにつられてみーんな私を置いて入って行く。 ちょっと待ってよぉ~! もうちょっと見たいのにぃ!
それにしても、この洞窟いろいろと道が枝分かれしてて複雑だぁ……。 グルグルしすぎて方向感覚分からないし、目がまわってきた!
「シーちゃ~ん、なんでこんなにグルグルしてるの~?」
「ん? 万が一この洞窟が見つかっても、ウィンリー様のご遺体を知らない人に荒らされないためよ」
な、なるほどね……(引……)
♢♢♢
あれから軽く3時間くらい歩いた。
重い……ウィンリーへの愛……。 3時間も彷徨うほどの巨大な迷路作るなんて……。 今シーちゃんに置いていかれたら死!
「シーちゃん、そんなにウィンリーのこと好きなの?」
「は? 様は?」
「「「――ッ‼」」」
これは、、、殺気!? 様つけないだけで友達に本気の殺気ぶつけるの!?!?
「ウィンリー様……」
「よろしい」
シーちゃんはそう言い、殺気を霧散させる。 こ、怖かったぁ……。 漏らさなかった私を褒めてくれっ!
シーちゃんの愛、マジでやべぇ! 一言間違えただけなのに、友達を殺す勢いで殺気ぶつけてくるんだよ? 本当に気をつけなきゃ……。
「着いたわ」
やっと着いたぁ~! 本当に長かった!
ここだけ雰囲気が違う。 ひんやりしているけど、なんだか幸せな気分になれる。
きっとシーちゃんがウィンリー様のために私達には知りえない魔法をかけたんだろうな。
奥に進むと祭壇みたいな物があった。 ここにきっとウィンリー様が眠っている。
いよいよだね。 失敗したらウィンは死ぬ。 覚悟を決めて、頑張るよっ!
愛が重すぎるシーちゃん……!
根はすっごい優しい子だよ?
ただ、ウィンリー様のことになると狂っちゃうだけっ!




