第92話 断罪
シーちゃん目線!
ウィン達を先に行かせた私はパプリカを……魔族の神を軽く睨む。
また魔族の神は私の前に立ちはだかり、邪魔をする。 何万年も生きてきた私は一度も魔族の神と共存できたことがない。 何回か和平も申し出たけど、受け入れたふりをして殺そうとしてきた魔族もいたから、和平はとうの昔に諦めたわ。
なんだか胸騒ぎがする……。 早く魔族の神を戦闘不能にしないと。
え? なぜ、殺さないか? ふふ、それはね、殺さない方が惨めたらしく生き、周りに侮られ蔑まれ、自分は弱いんだと自傷し、永く苦しむことができるからよ。 魔族の神は、、、永く苦しんで死んでほしい。 だってウィンリー様を傷つけたんですもの。 パプリカが傷つけたわけじゃないわ。 でも、パプリカが将来、ウィンリー様を傷つけるかもしれないから、今のうちに芽をつぶしておく。 まぁ、八つ当たりっていうのもあるけどね☆
もう私たちに手を出さないように、魂に苦痛を刻み付けるのよ。
「あら、変身はしなくてもいいのかしら?」
変身……それは今はしない。 パプリカごときで使うのがもったいないわ。
「ふふ、そちらこそ早く攻撃してこないと為す術もなく……死ぬわよ?」
「――ッ!?」
気絶して恐怖が半減しないよう、手加減をしながら冷たい殺気をパプリカにぶつける。
パプリカは足をガクガクさせながらも歯を食いしばり、私へ突っ込んでくる。
「死ねぇぇぇええ!」
あらあら、この前まで貴族令嬢(偽)だったのに、そんなはしたない言葉を発するなんて……。
あなたの遅い攻撃を待つつもりはないわ。 待っていたら寝てしまうかもしてないから。
「『――苦痛――』」
死の痛みを指先から魔力に込めて放つ。
「ぐぎゃっ!?」
パプリカがまるで豚のような声をあげてうずくまる。 ……この比喩は豚が可哀そうね。 言い換えると、まるで世界から汚物を集めた塊のような悲鳴をパプリカはあげる。
「こ、この野郎……」
……まだ実力差が分からないのかしら?
パプリカに絶望を与えるために、私は動き出す。
パプリカが私に攻撃されたと理解できる程度に力を抑え、拳を勢いよくパプリカの手足へ殴打。 動けないよう、抵抗できないように手足の骨を折り、回復も出来ないように腱を切り裂き、粉砕させる。
これで絶望を与える準備はできたわ。
「『――断罪――』」
そう唱えると、裁判官の化身が闇から出現する。
この魔法は何百万年も前に禁術魔法になり、忘れ去られた古代魔法の一つ。 おそらくこの魔法を使えるのは私しかいないでしょう。
この魔法は、裁判官の化身であるヒストリエが対象の魂を読み取り、刻み込まれた罪の大きさによって対象を断罪する魔法。
つまり、前世の罪までもが等しく断罪される。 記憶がないなど関係ないのよ。 ヒストリエには何も誤魔化せないわ。
『魂粉砕の刑』から『腕立て伏せ5回』など、いろいろな刑がある。 対象に合った刑を執行してくれる正義の審判。
でも、いろいろな汚職をしてきた貴族は快く思わなく、禁術魔法にしてしまったのよね。 その貴族はとっくに死に、この魔法は存在すら知られていない。
「ヒストリエ、この方を断罪してくれる?」
『是』
「ひっ」
パプリカの口は恐怖で歪む。 いい感じね。 この調子で絶望してくれるかしら?
『……魔族の神は前世に大量の人族を殺した。 今世でも罪なき者を殺した。 よって刑は“死”とする』
「……は?」
そんな大罪でただの“死”ですって?
「ヒストリエ、しっかり考え直して」
『……刑は“死”だ。 それ以外は無い』
――ブワァァ
ヒストリエに対して本気の殺気をぶつける。 ヒストリエに命はないから殺せないけど、苦しめることはできる。 なんとしてでもさっきの刑を変えてもらう。 パプリカに“死”の安らぎは与えない。
「ヒストリエ、あなたを呼び出せるものは私以外いないわ。 あなたを一生呼ばずにあの“地獄”に居てもらっても私は構わないのよ? 賢いあなたならわかるわよね?」
『――‼ 刑を変更する。 新たな刑は“魂分散”とする。』
魂分散は、、、死んだ後に一生転生できなくする刑。 ……これなら別にいいわね。
「ありがとう、もう戻っていいわよ」
『是』
そう言うと、ヒストリエは霞のようになって消えた。
さてと……
「ひっ‼」
これをどう煮てやりましょうか?
♢♢♢
ふー、魔力を封印する装置、やっと見つけたわ。
え、パプリカがどうなったか? 内緒です☆ 殺してはいませんので安心してくださいね。
死鎌で装置を一瞬で壊す。 さあ、胸騒ぎがするから、はやくパープちゃんも所へ行きましょう。
シーちゃん怖すぎ。天使の見た目とは性格が真逆すぎる!
みんな……絶対怒らせちゃダメだよっ!




