第89話 魔王戦⑤―悪夢の走馬灯―
ここは――……私が生まれたところ?
……って、私なんか縮んでる⁉ 目線がいつもより低く、手もぷにぷにで小さい。 多分3歳くらいかな? ていうかなんで急に……? さっきまで戦って死にかけていたのに。 ……もしかしてこれ走馬灯?
ガヤガヤしていて、人が多い。 なんだか見覚えのある光景だ。
「キャー! 魔物よ!」
はッ! そうだった、魔物がいたんだった。
魔物のいる方を見ると、小さな女の子が取り残されており、泣きじゃくっていた。 小さい子って言っても、3歳児の私よりは大きいよ?
このままじゃ魔物に殺されちゃう! 周りの大人たちは逃げ惑い、助けようともしない。 は? このクソ貴族共がッ!
しょうがない、私が助けなくちゃっ!
「『――火球――』!」
――ッ⁉ 瞳が熱くなり、尋常じゃない魔力が私を駆け巡る。 13歳の私の時の魔力より、何倍も強い。 なんでこんなに強いの……? もう、抑えられないっ!
私は抑えられなかった魔力を乱雑に『火球』に込めて放つ。
常識的には考えられないほどの巨大な火の玉が出現し、噴水の水が全て蒸発するほどの熱気を放ちながら魔物へと直撃する。
――ドォォオオン
凄まじい音を立てて魔物が破裂した。 魔物の硬い皮膚だけを溶かした火の玉は消滅し、魔物の内臓と血だけを残した。
――ドチャァ
血が助けた女の子の全身を赤く染めた。 もちろん私も血塗れになった。
女の子が私を見る。 酷く怯えの色を浮かべていた。 何をそんなに怯えているの? 魔物は私がしっかり倒したよ?
「ば、ばけもの……ッ‼」
「え…………?」
この子は、、、何を言っているの……? 私が、、、“ばけもの”……?
「今の魔法見ました? 火球はあんな威力でませんわ」
「怖いッ!」
「あんなの、、、悪魔にしかできないわっ!」
「悪魔……」
周りにいた人たちが冷たく私を見下ろし、ひそひそと何かを言い出す。
な、なにを言っているの? 私は悪魔なんかじゃない! でも、怖くて声が出ない。
私が魔物を倒した。 女の子を救った。 私は正しいことをした! なのに……なんでそんな目で私を見るの……?
風景がめぐるましく変わり、王の玉座の部屋となる。 私も一応王族なのに兵士に囲まれ、血を分けた兄弟や父親である王から冷たく見下ろされる。
この場面もどこか見覚えがある。
「お前には酷く失望した。 魔物を一撃で殺したと聞いたが、、、まだ瞳孔すら開花させないとはな……。 更に、使用人などから見下されるとは。 貴様は即刻城から出ていけっ!」
「クスクス。 やっとあの悪魔が出ていくのね」
「ふふ、いい気味」
「せいせいするわ」
3歳児の幼児に向かって容赦ない言葉を浴びせられる。
「父様! 私に提案がございます!」
兄弟の一人が私を見て、ニヤリと笑う。
「なんだ?」
「この子はまだ3歳です! 温情をかけて、あの“魔境の森”に捨ててやるのはどうでしょう? なんせあの場には高級の肉が豊富。 この子もきっと喜ぶでしょう!」
なっ、何を言っているの⁉ あそこは強力な魔物がたくさんいるところでしょ? 肉って……3歳児に食えると思う?
ううん、思ってないと思う。 コイツはあえて言っているんだ。 王位継承権を持つ者が少しでも減るために。 私を殺すために。
「何をいっているんでしゅ――いたっ」
反論をしようとしたら、兵士の一人が乱暴に私の髪を引っ張って黙らせる。
「あぁ、それと、魔物に見つからないようにコイツを森の奥深くに運びましょう。」
はぁ!? 森の奥の方が強力な魔ののがたくさんいるでしょうが!
「うむ、そうしよう。 よく進言してくれたな、ビエーゼ。 兵士よ! この出来損ないを“魔境の森”の奥深くへ放り出せ!」
「「「はっ!」」」
私は無理やり立たされ、玉座をあとにする。 扉が閉まる瞬間、あの兄弟と目が合う。 あいつは、ニヤリと笑った。
長い廊下を歩いて馬車へと向かう。
その途中、私と同い年くらいの子達が楽しそうに遊んでいる姿が見えた。
ひどく羨ましいと思った。 私だって王族に転生したかった訳じゃない。 平凡でもいいから、ただ友達と楽しく……笑って生きていたかった……!
『あんなばけもの死んでしまえ!』
『お前は悪魔だ!』
散々浴びせられた言葉が耳から離れない。
やめて! こんな強い力なんか望んでない! いらないっ!
……そうだ、こんな力、封印してしまえばいいんだ。
そうして私は自分を呪った。
ひどく頑丈で何重にもなっている呪いの鎖を自分にかけて記憶と共に封印した。
そうだった。今思い出した。
私は自分で自分を呪い、瞳孔の力を無理やり封印させたんだ。
記憶も封印したせいで全然思い出せなかった……。
馬鹿で愚かで幼かった私。 思い出せなくてごめんね。 あなたはよく頑張ったよ。 あなたは耐えきれなくて塞ぎ込んでしまったけど……いつまでも塞ぎ込んではダメ。 今度は乗り越えなくてはいけない!
まだ怖い。 “悪魔”と言われたらまた泣いてしまうかもしれないけど、、、友達の居なかった昔の私じゃない! 今は頼もしい大好きな友達がいる!
友達がいるから頑張れる、友達が支えてくれているから生きていられた!
今度は恩返しをする番だ! 勇気をだして……封印されている力を解いて魔王を倒し、友達を救うのよ――‼
――バキン
そんな音が聞こえた気がした。 力が溢れかえってくる。 きっと呪いが解けたんだ。 さぁ――友達を助けに戻るよ!
「魔王、ありがとう。 あなたのおかげで力を取り戻せたわ」
【名前】パープ♀
【種族】獣人
【レベル】90
【年齢】13歳
【魔力値】1000/1000 ◁478up
【体力値】1/800 ◁300up
【スキル】
真実の鑑定Lv5◁2up 光魔法Lv10◁4up 大地魔法Lv3◁1up 水魔法Lv10◁5up 風魔法Lv10◁8up 火魔法Lv10◁8up 闇魔法Lv5◁3up 身体強化Lv10◁4up 隠密Lv5 体術Lv10◁5up
【称号】
転生した者 王族の隠し子 捨て子 神童 狼スレイヤー 金髪の悪魔ゴールデンデビル 大三賢者 ??の友達 狂人 覚醒者
【総合戦闘力】8500 ◁5600up
反撃だぁぁあああ!
さてさて、パープの瞳孔はどんな形に開花したでしょうかねぇ?
花言葉とか、結構重要だよねぇ〜?




