第8話 エトワール大武道大会②
1回戦目が終わってから、特に負けそうにもならずに午前の部が終わりました!
Aランクの人とかもいたけど、普通に勝てました!
もしかして私、強い……?
やったー!
約8年、頑張って修行したかいがあったわ……
ちなみにあの雪の精霊は全敗して、午後の部まで出場出来なかったよ☆
すっごい噂のネタになってるよ!
なんか可哀想。
雪の精霊って勝手に期待されて失望されるなんて……
次会ったら慰めてあげようかな。
ふふふ……
なんと、エトワール大武道大会にキャロッティが売ってたから買っちゃった!
ん〜!
おいしい……
これで午後の部も楽勝だね!
「パプリカ、これが例のブツだ」
? この会話は?
もしかして何かの取引?
よし! 物陰に隠れて盗み聞こう!
取引を見るのに夢中になっていた私は、背後から近ずいてくるもう一人の仲間に気づかなかった。
私はその男に毒薬を飲まされ、目が覚めたら……体が縮んでしまっていた。
……みたいにならないように、気をつけないとね!
「フフフフ…… これがあれば私が『大三賢者』にっ!」
もしかして、これはっ!?
ドーピングしようとしている!?!
パプリカって言ってたよね?
それって午後の部の海の国の姫様と戦う人じゃない?
大変だ!
伝えに行かないとっ!
―――ガチャン!!
あ……
「誰だ! 誰かいるのかっ!」
花瓶、割っちゃった……
逃げろっ!!
「パプリカ、追うんだっ!」
「了解!」
獣人の足を舐めんなよ!
この曲がり角を曲がって……
「キャッ!!」
「わっ!!」
イテテ……
誰かとぶつかっちゃった……
!?
……て、天使がいる……
まるで海を思わすマリンブルーの髪、蒼色と桃色の服を着た天使がいた。
羽は無いけど……
きょとんとした顔でこっちを見ている。
髪と同じ瞳の色がすごく綺麗。
あと、何故か頭に桃色のメンダコを乗せている……
「どこだ! 獣人っ!!」
あ、声が近づいてくる!
「あなた、追われているの?」
「う、うん」
「この部屋に入って!」
「ありがとっ!」
「ちっ! どこいったあいつ……」
よし、どんどん声が離れてく。
「助けてくれてありがとう! あと、ぶつかっちゃってごめんね」
「大丈夫よ。 私の名前はシーよ。 あなたは?」
「私はパープ! あなたもしかして、海の国の姫様?」
「そうよ。 でも、気軽に接して欲しいな。 シーちゃんって呼んで欲しい」
心まで天使っ!!
「あのね、シーちゃんの次の対戦相手がドーピングしてるのっ! それを盗み聞きしていたのがバレて、追われてたの! 一緒に訴えに行こう?」
「そうなの!? 教えてくれてありがとう! でも、大丈夫。
誰が相手でも負ける気ないから」
「でも……」
「大丈夫! 安心して見ててね♪」
『さぁ!エトワール大武道大会午後の部が始まりました!
1回戦目は、海の国からやってきたお姫様であり、海の精霊、12歳の【シー】 選手! VS つり目魔族、12歳の【パプリカ】選手! それでは、試合開始!』
シーちゃん大丈夫かな?
「行くぜぇっ! はぁっ!」
パプリカが鋭い爪でシーちゃんに襲いかかる。
『――海の盾――』
海水で出来た巨大な盾が出現し、攻撃を防ぐ。
「くっ! 爪がダメなら魔法だ!『――大爆発――』」
―――ドォォォォン
シーちゃん!?
すごい大爆発だけど、大丈夫かな!?
『――海の檻――』
「!? ブゴゴゴッ!?」
海水がどこからか現れてパプリカを閉じ込めた。
良かった、シーちゃん生きてた!
パプリカ、息できなくて苦しそっ。
『そこまで! 勝者、【シー】選手!』
―――ワァァァァ
「すごいぞ! あの可憐な少女が魔族に勝ったぞ!」
「可愛い……♡」
「天使だ……」
「結婚したい」
すごい! シーちゃんモテモテだ!
ドーピングした魔族に勝っちゃうなんて、凄いっ!
本気で戦ったら、きっと私が負けるな……
シーちゃんは天使です……!
ちなみに、メンダコの名前はクーちゃんです!