第7話 エトワール大武道大会①
―――ザワザワ
よし!着いたぞ!
『エトワール大武道大会』の会場、エトワール聖地へ!
人でいっぱいだ〜!
「なぁ、今年の大会では、海の国の末っ子姫様と、
何百万年ぶりに誕生した雪の精霊が出場するらしいぜ」
「はぁ? マジかよ…… 海の国の王族って、全員凄く強いらしいもんな。 ランク下がったらやだなぁ。」
「雪の精霊も、毎回規格外の強さだし…… 噂じゃ雪の精霊は記憶を持ったまま生まれ変わるらしいぜ」
ふむ……
今年は強い者がたくさんいるのか。
記憶を持ったまま生まれ変わる……か。
もしかして、雪の精霊も転生者?
うーむ、会って話してみないと分からないな……
まっ、いいや!
早く受付終わらせてキャロッティ食べよ。
「次の方、どうぞ」
「はーい!」
「こちらの箱から1つ、紙を引いてください」
くじ引き的なやつね。
無難な所がいいな。 真ん中とかが1番いいけど。
1番最初は論外。 まぁ、強運のパープ様なら真ん中引けるでしょっ!
んー、1番運命感じるこの紙にしよう!
「こちらでございますね? では……」
ドキドキ…… 真ん中! 真ん中!
「……!! Aブロックの1番! つまり、あなたは1番最初に戦います」
え……
えっ!?
「もう少しで始まるので、控え室へ急いでください」
「ええええぇぇぇ!!」
『さぁ、今年もやって参りました!エトワール大武道大会!
司会は私、ニックがお送り致します!
1回戦目は、可愛くてキュートな獣人!12歳の【パープ】選手! VS 何百万年ぶりに誕生した雪の精霊!12歳の【ウィン】選手です!』
まさか、初戦が雪の精霊とは!?
「ふふふ。この私に勝てると思うか?」
銀色に輝く髪を水色のふわふわの髪留めで左右2つにまとめ、黒色のコートを着た少女が入場してきた。
そして、何故かドヤ顔。
んー。
なんか、強そうには見えないね。
『それでは、試合開始!』
雪の精霊だから、精霊魔法を中心に攻撃してくるはず!
精霊魔法は謎に包まれているから、まずは様子見かな?
―――ファサァーー
雪の精霊が着ていた黒いコートを脱ぎ捨て、勿忘草色のワンピースに藍紫色の上着、水色の編み上げブーツの服が現れた。
雪の精霊っぽい服装に変わった!?
そしてすごく肌が露出している!
特に肩とか!
だからなんなんだ?
「この姿になった私は最強だぞっ!『――氷の剣――』」
雪の精霊の手に氷の剣が現れた。
――? それだけ……?
「かかってこい!」
本当にそれだけ……?
いや、何かの罠なはずだ……!
とりあえず剣を吹っ飛ばそう!
「えいっ!」
手加減はしない!
地面に手をついて、逆立ちをするようにして剣に蹴りをいれる。
―――ガキィィィン
「え?」
「え?」
呆気なく剣が折れ、剣先がクルクルと弧を描いて、地面に突き刺さった。
えっ?
きっと、まだ何かあるよね……?
「え……」
うん。 なさそう!
折れた剣を呆然と見てる!
とりあえず、魔法の杖を雪の精霊の首に突きつける。
「そこまで! 勝者、【パープ】選手!」
―――ワァァァァ
「まじか、あの雪の精霊相手にに『金髪の悪魔』が勝っちまったぜ」
「『金髪の悪魔』には関わらない方がいい……」
「なんかあの雪の精霊弱そうじゃね?」
なんか観客の人達、めちゃくちゃに言うじゃん……
もしかして、『金髪の悪魔』って私?
酷い名前つけるなぁ。
どうせなら『金髪の天使』にして欲しかったな……
雪の精霊、ウィンは重要な人物になります!
今は弱いですが、どんどん成長します!